5つの「壁」を知っていますか? | サイコセラピスト(心理療法士) 棚田克彦 公式ブログ

こんにちは、心理セラピストのたなだかつひこです。

 

 

 

“つらい子ども時代”の影響を克服してココロとカラダの健康と幸福を取り戻すには、悩みや症状の原因を正しく特定して根本から取り除くことが必要です。

 

ただし、その過程で、乗り越えなければならない5つの「壁」が存在します。

 

 

 

【5つの壁】

①「否認」の壁

②「硬直性」の壁

③「沈黙」の壁

④「孤立」の壁

⑤「無力感」の壁

 

 

 

これら5つの壁の中でも、特に、最初にして最大の壁、それが、一つ目に挙げた①「否認」の壁です。

 

今回は、“つらい子ども時代”の影響を克服してココロとカラダの健康と幸福を取り戻す上で、最初にして最大の壁となる、この①「否認」の壁についてお話しします(残りはまた別の機会に)。

 

 

 

「否認」とは、人がつらい経験をしたとき等に、事実を無視して無かったことにしてショックを和らげようとする無意識レベルの心の働きのことをいいます(精神分析で防衛機制と呼ばれているものです)。

 

たとえば、肺ガンと診断されても喫煙を止めようとしない男性や、自分の娘が継父から性的な被害を受けているにもかかわらず証拠にまったく気付こうとしない母親には、否認が起きています。

 

前者の男性は、喫煙を続けることによって死亡するリスクを否認しています(「この私が死ぬわけがない」)。

 

後者の女性は、事件となる出来事の存在そのものを否認しています(「私の家の中でそんな酷いことが起こるわけがない」)。

 

否認が問題なのは、否認によって悩みや問題の存在そのものが無いことにされてしまうので、悩みが解消されなかったり、問題の解決が手遅れになってしまうことです。

 

 

 

細かく見ると、否認は2つに分類できます。

 

1つは、「問題の否認」です。

 

「私には悩みがありません」「私たち夫婦には何も問題がありません」「私のお父さんはお酒が好きなだけで依存症ではありません」「お母さんが私を叩くのは私が悪い子だからで、私のことを思っての躾なんです」「私はたしかに両親から暴力を振るわれて育ちましたが、それはどこの家庭にでもよくあることです」・・・といったように、「問題の存在そのものを認めない」という否認です。

 

 

 

2つ目は、「感情の否認」です。

 

「怒り」「悲しみ」「恐れ」「寂しさ」「孤独感」「空虚感」「嫉妬心」「ねたみ」・・・など、自分の中に湧き上がってくるつらい感情を我慢したり、無視したりすることで、「私は大したことありません」「私は平気です」「両親のことはもう許しました」「母親から愛されたいとは思いません」という態度をとるとき、「感情の否認」が起きています。

 

当然のことながら、「問題の否認」が起きているときは、同時に必ず、「感情の否認」も起きています。

 

 

 

私の講座の受講生の中で決して少なくない割合の方が、「私は何の悩みもありません」とか、「私はセラピストになって人の悩みを解決してあげたくて参加しただけです」といったように、「否認」の状態で講座の初日をスタートします。

 

その後、講座が進行するに連れて徐々に受講生たちの否認が解けてくると、本当は自分に悩みがあることや夫婦・家族が問題を抱えていることに気づきはじめ、すると悩みや問題の解決に向けた動きが一気に本格化してきます。

 

ここまで来れば、あとは時間の問題です。

 

あとは根気よくセラピーを重ねることで、やったらやった分だけ、つらい子ども時代の影響を克服することができます。

 

つまり、問題を解決するためには原因を正しく特定して取り除くことが重要ですが、しかしその前に、「私は悩んでいます」「私は困っています」と事実を認めて受け入れる勇気、そして、「私は助けを必要としています」「私は変わりたいです」という言葉を人に伝える勇気が必要になります。

 

これが、①「否認」の壁を乗り越える、ということです。

 

 

 

“つらい子ども時代”を経験した人にとって、自分自身や自分の家族が悩みや問題を抱えているという事実を認めて受け入れることや、自分が他人の助けを必要としているということを口に出して人にお願いすることは、とても大きな勇気を必要とします。

 

しかし、“つらい子ども時代”の影響を克服してココロとカラダの健康と幸福を取り戻すプロセスにおいて、①「否認」の壁は、どうしても越えなければならないものです。

 

以下の私の講座を修了生の体験談をお読みください。

 

参考になると良いのですが・・・・・

 

 

 

 

【講座名】「ビリーフチェンジ・プロセラピスト養成講座」

【女性】Y.K.さん

激務が恒常的に続くストレスの多い職場環境で10年弱過ごした結果、睡眠障害になりました。

小さな組織で行われる社内政治や足の引っ張り合い、パワハラに神経を擦り減らしました。

夜何時に寝ても、毎朝4:00頃に目が覚めてしまい、身体に様々な不調が出るようになりました。

「弱いからこの壁を乗り越えられないんだ」と自分を責め、鞭打つ毎日。

そんな極限状態の中で自己肯定感の低さが、炙り出されました。

心身共に疲れ果て、新しい仕事を始める気力も余力も自信もありませんでした。

人員削減があり、多くの社員が入れ替わりました。

人数が増え、まるで別の会社のようになっても、早期覚醒はなくならず、それまでのことを思い出すと動悸がして胸が苦しくなりました。

今回講座を受ける4~5年くらい前に一度、棚田先生の2時間の公開カウンセリングを見に行きました。 

初めて見た感想は、失礼を承知で書かせていただくと「セッションを受けた人は仕込みだったのかな?」でした(棚田注:「仕込みじゃないよ~」)。

過去に遡り、怒りや悲しみを解放するということが、その当時の私にはどうしても理解できませんでした。

それでも、公開カウンセリングへの参加と同時に購読を始めた棚田先生のメルマガやPodCastに、とても興味をひかれました。



最終的に、申し込みを考えた理由は3つありました。

一つは早期覚醒を解決し、自己肯定をできるようになりたいと思ったこと。

二つ目は棚田先生が多くのクライアントと向き合い、問題を解決してきた方法であれば、効果があるのではないかと思い始めたこと。

三つ目はセラピストの仕事に興味をもったこと、でした。

この講座を受けることによって新しい一歩が踏み出せるかもしれない、一か八かやってみよう、と申し込みを決めました。



一番良かったことは、自分の悩みや多くの人の問題がなぜ起きているのか、その因果関係や心のメカニズムを、頭と心の両方で理解できたことです。

講座を受け、このカウンセリング手法が、広く深い知識、理論、成功に裏打ちされていることが分かりました。

さらに、自分がカウンセリングを受けてみて、過去の感情が溢れ出すのに驚きました。

ただし、たとえカウンセリングが本物でも、心を固く閉ざし、信じないと決めている人には通じないかもしれません。

公開カウンセリングを見に行った頃の私がそうでした。

感情というものを軽視し、ネガティブな感情に至っては、ただひたすら我慢して自分の中に溜めこんできた私。

そして、一体なぜそういう自分ができあがったのか?

講座を受けた今ならわかります。すべてに理由がありました。

今回の講座で、頭と心に同時に働きかけられ、何度も揺さぶられ、カウンセリングを受け入れる心の準備が徐々に整うことによって、解決の糸口をつかむことができたのではないかと感じています。


(棚田注:下線部の記述から、当初、否認が起きていたことがわかります。その後、否認が解かれていることもわかります)




講師の先生方が、注意深く私たち受講生を見てくれていたことに感謝をしています。

何気ない雑談の中で、悩みの原因の核心をさらりと言い当てられ、稲妻が走るように驚いたことが何度もありました。

講座の空間を「安心、安全な場所」にしてくれた先生方、受講者の皆さん、本当にありがとうございました。

内容がとても多く、深かったので、まだ十分に消化できていませんが、これから復習し、しっかりと自分のものにしてきたいと思います。


もっと他の受講生の体験談も読んでみる。
→ http://pro-therapist.or.jp/voice/beliefchange4/

 

 

 

“つらい子ども時代”を経験した人にとって、「否認」の壁を超えることが、なぜそれほどまでに難しいことなのか、あなたには想像がつきますか?

 
そこから逃げ出すことを許されない過酷な家庭環境の中に身を置いて育った小さい子どもにとって、これから先の長い人生を誰にも頼ることなくたった一人の力で生き延びていくためには、家の中で次々と起こるつらい出来事や自分の中に湧き上がってくるネガティブな感情を、すべて無視して無いことにするより他に良い方法がなかったのです。
 
すなわち、非力な小さい子どもが過酷な環境の中を一人で生き延びていくために身に付けざるを得なかった生存戦略、それが「否認」と呼ばれる防衛機制の本質です。
 
だから、自分が抱えている悩みや自分の家族に起きている問題、自分の中に湧き上がってくるネガティブな感情等の存在を認めて受け入れようとすると、子どもの頃に経験したのと同じような恐怖心や絶望感が湧いてきて、そうした感情が事実をありのままに受け入れることを難しくするのです。
 
 
 
しかし、安心してください。
 
もう大丈夫です。
 
闘いは終わりました。
 
もう怖い出来事は起こりません。
 
あなた一人が犠牲にならなくてもいいのです。
 
我慢しなくてもいいです。
 
あなたは悪くありません。
 
誰もあなたのことを責めたりしません。
 
あなたはすでに許されています。
 
しかも、あなたはもう、あの頃の非力な小さい子どもではありません。
 
必要なときは、周りに助けを求めてください。
 
「悩んでいます」「困っています」「助けてください」と勇気を出して伝えてください。
 
私もあなたの力になりたいと思っています。
 
 
 
心理セラピスト 棚田克彦
P.S. このブログの内容の続きは、近々開催予定の無料Facebookライブセミナーに引き継ぐ予定をしています。