ドラゴンタトゥーの女 トラウマと戦いながら生きてゆく ハリウッド第二部は2015年か? |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

久々の映画評論みたいなやつ・・・です(^^;)

今回は2年前にヒットした「ドラゴンタトゥーの女」。


なんといってもスターティングがお気に入り。

レッド・ツェッペリンの「移民の歌」が流れて本題とは関係ないような凄いCGがいいですね。



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(youtube Trent Reznor and Karen O 「Immigrant Song」)


もちろんこの移民の歌はツェッペリンを知らないような人でも一度は聞いたことがある曲なのではないでしょうか。

ツェッペリンは映画に自分の曲を使わせるのを嫌う人なのだそうで、許可を得るのに一苦労したと、以前の何かの記事に書いてありました。

そういえば映画「シン・シティー」は、コミック作者のフランク・ミラーが映画化に反対で、監督のロバート・ロドリゲスが練習用の映画を撮るから遊びい来ないかというような作戦でフランクミラーを現場に呼び出して、実はそれが本番だったみたいな撮影を行ったこともありましたね。

そうやって考えてみると映画はいろんな人間のプライドや我儘・主張が入り混じって、大変なものだなと感じます。

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(youtube  Led Zeppelin 「Immigrant Song」)


これから始まるのはミステリーではなくて「エイリアン」じゃないのか?
と言いたくなるようなオープニング。


ついでにこの映画の監督は「エイリアン3」と同じデヴィット・フィンチャー監督。


エイリアンといえばシガニー・ウィーバーですが、この監督とは仲が悪い。

「あんたがエイリアンじゃないの」とまで言うほどの仲の悪さ。

なんでかというと、多分ですが、デヴィット・フィンチャー監督は何度も何度もしつこいほどテイクを撮る監督なのだそうで、シガニー・ウィーバーはそれが我慢できないタイプだったのではないでしょうか

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主人公は多分記者のダニエル・クレイグではなくてドラゴンタトゥーのリスベット役であるルーニー・マーラーだと思うのですが、眉毛を剃ったままのパンクスタイルはなかなかの迫力です。

背中にはドラゴン、首には雀蜂のタトゥー。

映画でのことですが彼女は小さい時に父親にレイプされてとうとう父親を殺害し、出所後に保護観察が付きます。
その保護観察員がまた問題なのですが、それは映画を見てください。


虐待を受けた人間が攻撃的になるのは、自己防衛の本能からでしょうか。

これは映画だけではなくて、現実でもそうだとおもいます。


場所はスエーデン。

原作者はスティーグ・ラーソン。

しかし、原作本が出版される前に心臓発作で他界しています。

映画の中では、ポルノに開放的なスエーデンでも男尊女卑の風潮があるのだなということを垣間見ました。

ともあれ、リサーチのアルバイトをしながら生きてゆくリスベット。
実は彼女は有能なハッカーだったという設定です。(ワスプ -スズメバチ- と呼ばれ恐れられていたハッカー)


調べてみますと、原作者のラーソン(故人)は15歳の時に目の前で女性が輪姦されるのを止めることもできずに逃げてしまい、翌日になって被害者に謝りに行ったが強く拒絶されたらしいです。

(当然でしょうね)。ラーソンはこのこと(自らが臆病だったこと、女性を軽く見ることへの怒り)がトラウマになって生涯自分の意識に付きまとったそうです。そしてその時の女性の名がリスベット。


映画に出るリスベットがその時の女性を表現しているとは思えませんが、脚本としては女性が襲われるところが盛り込まれています。


とある大富豪の殺人失踪事件を引き受けた記者のミカエルとその助手になったリスベット。
リスベットはこの事件に自分の過去の共通点を感じたのか、積極的に動き始めます。

人を信じず、男を信じずに生きてきたリスベットがミカエルに好意と信頼を持ち始め、しかし「友達」とまでしか言い切れない微妙な女心にも注目したいですね。


幸せを信じなくなって生きていた矢先に、急に信じてみたい人物が現れる。そんな時に、すっと相手に対して素直にはなれても、相手の心にはなかなか入れないジレンマに悩みます。

そして、もがいているうちにその人物は去ってゆく。

みんなは気づかないかもしれませんが、私はこの映画のなかで共感した部分がこれでした。

なぜでしょう・・・それは、内緒ですね。


リスベットは奇抜なファッションで体はものすごく華奢。いかにも育ちには恵まれなかった女性のように演じていますが、本当のルーニー・マーラーはとんでもない大金持ちの娘でした。

ニューヨーク・ジャイアンツ(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)の創始者から続くルーニー家が彼女の家族。

そんな富豪のお嬢ちゃん?・・・がよくもまぁこんな女性を演じたものですね。

私たちが映画を見て、ちょっとでもいいから役者やってみたいな・・・などといったものならぶっ飛ばされそうなほどの演技で、プロ根性あるなぁと感心します。



この「ドラゴンタトゥーの女」は2013年に第二弾が出るという噂がありましたが、結局出ませんでした。


原作の「ミレニアム」は


① ドラゴン・タトゥーの女 (原題は 女を憎む男)

② 火と戯れた女 (原題は 火と戯れる女)

③ 雀蜂の巣を蹴った女 (原題は 眠れる女と狂卓の騎士)


からなる三部作だからです。


スエーデン版ではすでに三部作の映画化ドラマ化がされており、私が今回紹介したのはハリウッド版の第一作。


スエーデン版は見れていないので、ハリウッド版の第二作が来年くらいにできないかなと期待しています。(すでに脚本やキャストはほぼ決まっているとか)