kiki harajuku

明治神宮前駅から明治通りの一本東側の完全な裏通りを渋谷方面に3分

人通りの多い通り沿いではなく、なかなか見つけにくい隠れ家レストランですが、いつも満席
この日も予約なしで来店したカップルが諦めて帰っていました

魚屋を営む祖父母と母の元で育ち、専門学校を卒業後地元静岡県のフランス料理店ボン コラージュに入店、ル・マエストロ・ポール・ボキューズ出身の萩原雅之シェフの元でクラッシックスタイルのフレンチを約3年間学び、22歳で渡仏、パリのTailleventPetit TroquetGoumardで3年間腕を磨き、帰国後神楽坂のルグドゥノム・ブション・リヨネで3年間スー・シェフを務めたオーナーのkikiこと野田雄紀シェフのお店


子供の頃はパイナップル入りの酢豚が嫌いだったと語るシェフが、フルーツを料理に使うようになったのは、フランス料理を修行するうちに、ブーダン・ノワールには林檎を、フォアグラには苺を添えることで料理としての完成度が増す事を知ったからだそう


2011年8月にフレンチ・タパス・キキという名前でオープン
当時も、タパス(小皿料理)以外に本格的料理をカジュアルな雰囲気の中で提供していたようですが、新鮮で個性溢れるフルーツを求め各地の生産者を訪れ信頼関係を築き上げると、自らの思いを表現する為に2012年にアラカルト中心のkiki harajukuに変身

さらに2014年1月、店名をKIKI HARAJUKU fruit de ma passionに変え、季節のフルーツを組み合わせたフランス料理という明確なコンセプトを打ち出し、その後一時お任せコース1本にした後、2015年11月、kikiと変え、お任せコースに加えて選べる楽しさを味わえるプリュフィクススタイルのお店となった頃ランチで伺って以来の訪問です

この3年の間にお任せコースとアラカルトの2本立てメニューに和テイストが増殖して創作感が一層増した印象です

店名やメニューの変遷から進化し続けるシェフの料理の歴史が伺えますね

今回(2/8)は、最近このお店を訪れていきなり超お気に入り店リスト入りした氏と、行きたいと言い続けていた女史を伴っての来店です


この日は、4品+デザート3種付き¥5,000コースのメインを鶏むね肉と黒毛和牛+¥1,000に変更し、合わせてノンアルコールのペアリング4種¥2,000をチョイス



TERRINE

Tomatowater with strawberries, cherry blossom

苺とトマト水のテリーヌ 桜風味



鮮度が命と直送で仕入れる和歌山の大粒苺まりひめを贅沢に使ったテリーヌ

西瓜に塩をあてる感覚でトッピングされた塩がまりひめの甘みを引き出します


合わせるノンアルドリンクは
ほうじ茶スパークリング

シャンパンの色合いと“トースト”と呼ばれるほのかな香ばしさを彷彿とさせるノンアルコールスパークリング


FISH

Tuna Seaweed Frit in Roasted Tea Soup

蓮根蕎麦がき 鮪の磯辺揚げ ほうじ茶風味の鰹だし


見てのとおり“和”です

根元はもっちりと、先端はシャキシャキと部位ごと味が違う1本で約8キロの蓮根をまるごと仕入れて今年はすりおろして蕎麦がきに

隠し味にチーズの発想



立派などんこ椎茸と食感がシンクロします


鮪の磯辺揚げに黒海苔トッピング

オリーブオイルで伸ばした山形産コシアブラのタプナード

かつてこの木の樹脂を絞り、濾したものを漆のように塗料として使われていたからコシアブラ
タラの芽やウドと同じウコギ科で、「山菜の女王」と呼ばれる希少品の自然の緑とわずかな苦味で味変を楽しみます

合わせるのは
カフィアライム緑茶

静岡産カフィアライム緑茶、そうこぶみかんの葉っぱです
日本では一般的ではありませんが、東南アジアでは非常に幅広い料理に使用されていて、例えばタイの代表的なスープであるトムヤムクンの中で強い香気を放っている緑色の葉がこれ

ほんのり香る山椒風味が料理と上質のマリアージュを奏でます


自家製のオーガニックパン


クラストのばりんとクラムのもちぃ~の食感を愉しむパン



SALAD

Mimolette, Mango & Grapefruit Salad

ミモレットとマンゴーのレタスサラダ


静岡の高原レタスとたっぷりのミモレットがベース

そこに完熟マンゴーの甘み、シェフのおじいちゃんの甘夏の爽やかな酸味にカシューナッツとクルトンの食感の組み合わせ


ハーフカットのレタスにこれでもかと盛られたミモレットチーズ

野菜中心なのにこの食べ応え


風味付けは、パプリカと玉ねぎと粒マスタードのドレッシング

そして、なんと言っても今回のキーパーソンがニューカレドニアの天使の海老🦐ビックリマーク


以前伺った時にいただいたミモレットとレタスのサラダはグレープフルーツの酸味が絶妙のアクセントでしたが、今回は完成形と思えたメニューにシェフの感性で加えられた天使の海老の存在感に全くの別メニューに仕上がりました

同じメニューに見えても実は進化しているんですね



洋梨グリーンティー


はてなマークグリーンティーに洋梨!?

合うんです



MAIN

Chicken & Beef in Black Vinegar Flavor

富士鶏むねと黒毛和牛静岡そだち 黒酢風味  春野菜と


黒酢を纏わせ、57℃の低温で調理

生七味をフォンドボーとコンソメでのばしたソースがOnlyを創り出します



ガルニはアサリの出汁で和えたタケノコ、ブロッコリー、カリフラワーで春が近いことを予感させます



赤ぶどうジュース



松崎さんちのぶどうジュース アメージンググレープ


足利市立中学校で特殊学級の中学生たちとその担任をしていた川田昇先生によって昭和33年に開墾された足利市田島町の山林の葡萄畑をルーツに持つココ・ファームも60年の間に各地の志を同じくする農家さんを契約栽培農家さんに指定して生産量を増やし、今や国内有数のワイナリーに成長しました


横浜市出身の松崎氏がパンづくりの仕事に携わる中トルコ産やチリ産がほとんどのレーズンを自分で作ってみたいと山梨に移住、萩原フルーツ農園での修行を経て独立して設立したカノハタもそのココ・ファームの契約栽培農家のひとつ

マスカット・べーリーA、巨峰、ピオーネ、ブラックビートなど1ビンに3~4房分の完熟葡萄が入った果汁100%のジュースは粘度が高くトロトロの喉越しと自然の甘みで肉と見事にマリアージュ



DESSERT3種



Citrus Bavarois

柑橘のババロア


グランマニエで風味付けしたババロアに種無し金柑ぷちまるの砂糖漬けのトッピング


糖度16〜21度とただでさえ超甘の金柑の砂糖漬けとババロアの上品な甘酸っぱさのコントラストが刺激的



Kiwi & Green Apple Icecream

キウイとグラニースミス


キウイの甘酸っぱさonグラニースミスの甘酸っぱさを塩を当ててさらに引き出す野田シェフの技

Dried Persimon & Chocolate Sand

干し柿とチョコレートのサンド


貴重な紅柿を蔵王吹き降ろしの寒風でつくる絶品紅干柿をチョコとパンドエピスで挟んだ野田シェフのオリジナルスイーツ


フルーツ使いの魔術師はフレッシュフルーツのみならず、干柿をも素敵に変身させてくれます



ラテ

深いコクを感じる優しいラテで〆ます



クラッシックスタイルのフレンチのたしかな技術に裏付けされた郷里の静岡の食材をふんだんに盛り込んだ和テイストのOnly1野田フレンチは、伺うたびに新たな発見と感動が味わえます

次回は3年もあけずに伺いますね