ウィザード、本編最終話前に、晴人くんのこれまでについて、初期から順を追ってまとめてみたい。
終わってからの方がいいかもしれんけど、自分の中である程度まとめてから最終話を見たいのね。
何しろ晴人くんの印象は話数を重ねる毎に(主にマイナス方向に)変化していってしまっているので…><
ツイッタで呟こうっと思ってたけど時間無いのでこちらに^^;



ではまず序盤の晴人くん。
日蝕の日のサバトの絶望を乗り越えた彼は、その時目の当たりにした「絶望した人々を食い破り生まれるファントム」の脅威に対し、同じような悲劇を繰り返させないために、「最後の希望」を名乗り魔法使いとして戦う、というのが基本スタンス。
中々にヒロイックで、この段階ではかなり期待して見てたのだけど…><

で、当初は不明だった「最後の希望」を名乗る理由。
これが、フレイムドラゴン回で晴人の過去(の一部)と共に明かされる。
事故死した両親に「最後の希望」と呼ばれたことがそのきっかけで、
ここで晴人くんにとって、魔法使いとして人々を守って戦う事が、イコール「最後の希望」であることだと明示される。

そして同時に、「最後の希望」として戦いながらも人々を守れなかった時に、恐らく晴人くんは絶望する事、それを晴人くん自身恐れている様子が描かれる。
つまり、この時点で、"魔法使いとして人々を守り戦う=「最後の希望」である"事が、晴人くんのアイデンティティになっていると示されているかと。


"魔法使いとして人々を守り戦う=「最後の希望」である"ためには、敵であるファントムに容赦してはいられない。
凛子ちゃんがフェニックス/ユウゴとの接触に惑ったときも、晴人は揺らがなかった。
というより揺らげなかったんだろうなと。
幸い、ファントムはそのほとんどが悪辣な怪物だったのだけれど。

また、ファントムを喰らわねば生きられない仁藤/ビーストに対しても、晴人くんは割とドライに接していた。
これもドライに接さなければならなかったとも言えるかもしれない。
例えファントムを喰えずに仁藤が死ぬとしても、ファントムは晴人にとって生まれてはならない存在なのだから。

ドラゴタイマーやミサちゃんがらみでの白魔さんの怪しい行動に、晴人くんが必要以上に頓着していなかったのも、
"魔法使いとして人々を守り戦う=「最後の希望」である"ことの根底は、白魔さんにドライバーもらってコヨミを託されたところに始まるのだから、
そこを疑うとアイデンティティが崩壊してしまう。

要するに、"魔法使いとして人々を守り戦う=「最後の希望」である"という晴人くんのアイデンティティを守るために、いわゆる本筋のお話(ワイズマン/白魔さん絡みのお話)は不可触なものになってしまっていて、故に今週のゲートのお話とファントム退治が続けられていた(作品構成的な意味で)という感すらあると。


また酷い言い方になっちゃったけど…
そんな触れれば壊れそうな晴人くんのアイデンティティに一石を投じたのがインフィニティ回。
魔法使いの力を失うというのは、晴人くんにとってはまさにアイデンティティ崩壊クラスの出来事だったと言えるわけです。

それがこの回、コヨミのために体一つで戦う事で、晴人くんは魔法使いの力を取り戻すと。
先週を見るに、どうも取り戻したというよりも、別次元の力を得たという意図のありそうなインフィニティリングですが、
晴人くん的にはこれまでを踏まえると、やはりアイデンティティの回復という面が重そうに見えます。

一方で、"コヨミのために"頑張って得た新たな"魔法使いの力"という点は、
これまでも魔力供給などであった"コヨミのために"という点が、"魔法使いの力"と繋がる事で、イコール「最後の希望」である事にもなった。
すなわち晴人くんのもう一つのアイデンティティになったんじゃないかと。

つまりこの時点で、晴人くんのアイデンティティは、
"魔法使いとして人々を守り戦う=「最後の希望」である"ことと、
"コヨミにとっての「最後の希望」である"ことの2つが、
「最後の希望」と言うキメ台詞で二重になっている状態だと言えるのではないかと。


この変化を経た後、
晴人くんはファントムでありながら人間の意思を持つソラ/グレムリンと触れ合うことで、
晴人くん自身が凛子ちゃんが感じた惑いを引き受ける事になります。
人間ソラの殺人鬼としての貌により、ファントムと人間の境界は曖昧になりながらも、晴人くんは魔法使いとして戦えた訳ですが。

次ぐサッカー回では、
今の晴人が、友の希望を奪ったが為に一度諦めたかつてのサッカー選手としての夢を、
現在の"魔法使いとして人々を守り戦う=「最後の希望」である"ことに託しているところを描き、
揺らげさせたアイデンティティをもう一度盤石なものにしようとしています。

ただ、当初の晴人くんに見えたようなヒーロー的なアイデンティティの磐石さは、
ここまでの展開で相当にガラスであることが浮き彫りになってしまっていて、
しかも"コヨミのために"で更にブラすことで、
曖昧な"「最後の希望」である"ことがイコール晴人くんのアイデンティティみたいになって、更に弱くなってしまってるんですよね。

しかもこの「最後の希望」という晴人くんのアイデンティティの二重性は、
終盤ようやく話が進んで、ワイズマン/白魔さん絡みの事情が判明するにつれ、
"魔法使いとして人々を守り戦う"より"コヨミのために"に傾いていってしまうんですよね。
まさにコヨミの命がかかっているので、仕方が無いことでもあるんですけど…。


笛木=白魔さん=ワイズマンと判明してからは、
晴人くんはコヨミのために自分の命どころかミサちゃんたち他の魔法使いや東京中の人々を危険に晒して"魔法使いとして人々を守り戦う"をほぼ放棄してしまい、
そのコヨミもソラから守れず、今や"コヨミのために"というアイデンティティすら失ってしまっています。

晴人くんのこの状態は、方々で指摘されてる通り、娘の暦を失いながらも魔の力に縋って辛うじて絶望せずに足掻いていた笛木と同じ状況です。
アイデンティティを失い絶望寸前の晴人くんは、次回最終話、笛木同様に、まだコヨミを救おうともがくようですが…。

しかし、だからこそここで、"魔法使いとして人々を守り戦う"というアイデンティティが、晴人くんを立ち上がらせてくれるのではないかと予想します。
"コヨミのために"というのは、既に彼女自身が否定しています。
一度失われたヒーローとしてのアイデンティティこそが、もう一度取り戻される事で、インフィニティリングのように強く輝くのではないかと。


…それが晴人くんにとって幸せかどうかは、微妙なところではあります。
非日常の住人であるヒーローたることをアイデンティティとすることは、日常への回帰の断念でもあると思います。
晴人くんにはもう、普通の人間の生活や幸せを拠り所にすることはできなさそうに感じます。

(それがきださん・香村さんが晴人くんに科したヒーローとしての有り様だとすれば、個人的には、あまりに酷ではないかと思わざるを得ないのですが、それは置いておきます。最終回はまだですし。)

ただそれでも、
Wの翔ちゃんとフィリップのように、ドーパントと化した犯罪者と戦うことが日常のライダーもいる訳で、
ヒーローとして悪と戦う日常をこれから晴人くんが生きていくことも、それはそれでありなのかもしれませんね。
…最終話の後には、なんかアイツが来るらしいですし…><



そんなところで、まとまったようなまとまらないような。
ともかく最終回、どのような着地を見せるのか、期待しています。
…リアルタイムではきっと見れないんだけどな!><