皮膚を考える 感覚編 | PTイワマの探究日誌

PTイワマの探究日誌

PT(理学療法士)イワマが
『人の心と身体を動かすセラピスト』としてどう歩むべきか考え、感じたことを記すブログです。

今日は皮膚について考えたいと思います。
今回は感覚についてです。


まず、
感覚を担うのは神経というのは常識になっていると思います。


生理学を勉強した人なら
表皮中の自由神経終末メルケル細胞
真皮下のマイスナー小体ルフィニ小体パチニ小体が思い浮かぶかもしれません。

これらは神経の末端にある感覚受容器です。

分布密度は最も多い痛覚の自由神経終末で1mm四方に1~2個。
単純計算で神経終末間の距離は500~1,000ミクロン(0.5~1ミリ)あることになります。

痛覚以外ではもっと距離は広がり、
圧覚で4,000ミクロン(4ミリ)、
冷覚で8,000ミクロン(8ミリ)以上、
温覚24,000ミクロン(24ミリ)以上
にもなります。


ここで考えてみてほしいのですが
人間の感覚ってもっと微細だと思いませんか?


例えば
ガラス板の上に髪の毛を置いて
指で存在を感じることができると思います。


髪の毛の太さは
通常、70~80ミクロン(0.07~0.08ミリ)程度です。


圧覚で感じるとすると
人差し指で80ミクロンの髪の毛を触れるとき
対応できる感覚受容器は
0.3個の計算になります。
これだけの受容器では髪の毛の形を感じることは到底できません。


では
何故髪の毛を感じることができるのでしょうか?


この秘密はケラチノサイトにあります。
ケラチノサイトは表皮表層を成す細胞です。


刺激に反応し電気刺激を発生させる
TRPというタンパク質があります。

これは当然のように自由神経終末に存在するのですが
実はケラチノサイトにも存在することが確認されています。


ケラチノサイトはTRPで刺激を感知し、自由神経終末に伝達します。


皮膚感覚は無数のケラチノサイトの働きによって成り立っています。
だから80ミクロンの髪の毛も感じられるんですね。


このことは知っている人もいると思いますが
教科書には載っていないかもしれません。


それこそ僕たちリハビリセラピストは
感覚受容器の種類や特徴は学びましたが
現実の感覚とは違っている場合があります。


数字に囚われず
探求してみると新しい発見があるかもしれません。


本日は最後までお付き合いいただきありがとうございました!