iPhoneユーザーがいかに有料が嫌いか ~食べログ有料化に見る~ | スマホアプリ開発記

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前回の記事で、無料アプリを有料につなげるのかがいかに難しいかを書いたのですが、本日、またまた思い知らされる事件が起きました。

食べログがiPhoneアプリのリニューアルを行ったのですが、一部機能をプレミアム会員向けとして有料化したところ、総スカン状態となっています。

食べログユーザーレビュー 2010/9/13 0:00現在
中村智武のCTO記

上が、今回のアップデートに対する評価で、下はこれまでの食べログに対する評価です。
平均評価にすると、5段階評価で1.1という見たこともない数字です。

レビューの中身を見ると、ほぼ全てが「有料化するとは残念」「月額315円高すぎ」「評価順の並び替えが有料でないとできなくなった」というもので、要は有料に対する批判の嵐となっています。

App Storeのレビューは辛口とはいえ、数百という標本が集まっている上でほぼ総意となっているというのは恐ろしいものがあります。

■ アップデートにより食べログは何が変わったのか?


これまでは全て無料で利用できたものが、プレミアム会員という制度を導入し、月額315円を支払うことで、有料会員向けのサービスが受けられるようになりました。

ブックマークやクーポンといった食べログアプリ自体の新機能の内、更に使いやすくなる機能に対しての課金がほとんどです。

リニューアルの詳しい内容は食べログのリリースに掲載されています。

ランキングとクチコミのグルメサイト『食べログ』、iPhoneアプリを大幅リニューアル サービス形態を通常版とプレミアム版の2タイプで展開
中村智武のCTO記

これを見る限り、プレミアムサービスが導入されたことによるユーザーの不利益はソート機能が使えなくなったのみ。
実際にどれほどのものかと使ってみましたが、別に食べログというサービスが無料で使えなくなったわけでは全くありません。個人的感想を言うと、過剰反応ではないかとも思えます。

おそらく、私がユーザーというよりデベロッパよ寄りの意識だからかもしれませんが、食べログというサービスの本質は変わっていないのに、有料サービス導入というだけでこれだけ批判が巻き起こったということにむしろ愕然としました

■ 確かにやり方はよくなかった、かもしれない。でも・・・


ユーザー心理を考えれば、これまで無料で使えたものに対していきなり金を払えと言われても納得できないというのは理解できます。

今回、ソート機能が無料では使えなくなったことがあり、そこに対する反発も大きいとは思うのですが、仮にこのソート機能が有料化対象にならず、完全に新機能のみがプレミアム機能だったとしても、同じ程度の批判が起きたのではないかなと思います。正直、ソート機能使えなくなったことがそこまでの大事だとは思えません。 (追記:この部分に対して「いや、ソート機能は重要だ」という突っ込みが多いので、少し訂正します。ユーザーにとってはソート機能も重要であると理解しています。言いたかったのは、無料で使えたソート機能が有料化されたことだけをもってここまで問題が大きくなったわけではないだろう、ということで、次の記事につながります。)

基本機能を無料で提供し、プレミアム機能に対して課金するフリーミアムモデルは、むしろWebサービスでは一般的だったはずです。

月額315円という課金体系もありふれていますし、モバイルサイトも大体月額315円です。

しかし、iPhoneユーザーには全く受け入れられなかった。

これは、デベロッパからすれば大きな参考事例です。
なぜここまで総批判状態になってしまったのか、とか、どうすればよかったのか、等、考えるべきこと、参考にできることがありそうです。

追記:参考にできそうなことをまとめてみました。 ⇒ 「食べログに学ぶサービス有料化における7のアンチパターン