アプリマーケットのダークホースとなるか?ドコモマーケット(iモード)始動前に詳しく見てみる | スマホアプリ開発記

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携帯電話におけるアプリというと、今やiPhoneかAndroidといった感じで、10年近い歴史を持つはずのiアプリは「どこ行った?」なんて声も聞こえてきます。
そのドコモが、ついにiアプリのアプリマーケットを今年12月に開設する予定です。
ただ、世の中の反応をみると、ニュースサイトでもそれほど大きく取り上げられず、Twitterなんかでも「ガラケーとか終わってるし」「今さらかよ」という冷やかな意見が目立ちます。

果たして本当にそうでしょうか?

「ガラパゴス」と揶揄される、スマートフォンではないケータイの総称ともなっているいわゆるガラケーですが、未だもって利便性はスマートフォンを圧倒しています。
特に私の周りを見ているとほとんどの人がiPhoneやAndroid端末を所有しているので、まるで日本人みんながこれらを持っているのではと錯覚しがちですが、少し東京を出てみると、ガラケーの所有率の高さに驚きます。
これは断言できますが、日本全体で見ればガラケーは全く終わっていません。

現に、ガラケーでしか楽しむことができないモバゲーやグリーの躍進を見ても明らかです。

個人的にも、昔から「ガラパゴスで何が悪い?」と心の中では思っています。普段は仕事柄iPhoneを2台を持ち歩いていながら、ガラケーの仕組みは素晴らしいと改めて思います。

というわけで、従来は厳しい審査に通った法人しか提供できなかったガラケー用iアプリを、App Storeのようにアプリを開発できる人は誰でもアプリを売ることができるマーケットがドコモマーケット(iモード)です。

中身を見てみると、iPhoneやAndroidマーケットにはない魅力も見えてきます。個人的には、スマートフォンばかりが騒がれる中でのダークホースともなりうるのではと思いますので、少し詳細を見てみましょう。
開発者受付が10月中旬(もう下旬になるよ!)、マーケットオープンが12月とのことです。

※ちなみに、10/19現在、まだ開発者申し込みの受付がスタートしていない段階なので、今後以下の内容が変わる可能性があります。詳細は次のサイトから確認できます。
ドコモマーケット iアプリ提供者向け情報

■ ドコモマーケット(iモード)って何?


言うなら、iアプリ版App Store。
まずは、基本的なところから。

  • 個人でも登録できる
  • 審査あり
  • アプリダウンロードはドコモのサーバーから行われるので配信サーバーは必要ない
  • 新着やランキング表示
  • レビュー機能あり

もう、まんまApp Storeですね。デベロッパからすれば、個人にも解放されたというのが一番大きいですね。
ユーザーからすれば、今までもiアプリで遊べていたので、アプリの量が今後劇的に増えるだろうというのがメリットでしょうか(同時に平均的な質が下がればデメリットでもあるかも?)。
対して、今までiアプリを出していた企業にとっては、新たにマーケットに同じアプリを登録した方がいいのかどうかはまだよくわかりません。
マーケットの画面が洗練されていれば、そちらのランキング上位に位置させた方が売上が向上するようになるかもしれません。

■マーケット規模がはんぱない


iPhone全世界で8500万台、Androidそれ以上、という台数に比べてドコモは日本国内だけで5000万台と、数字だけで見ると小さいかもしれませんが、iPhoneアプリは結局ほとんど日本でしか売れない。日本の台数は300万台。更にAndroidはそれ以下だし有料アプリはiPhone以上に売れないという現実の中では、課金の仕組みが整っていて月額課金等の文化があって国内で5000万台というのは、iPhone&Androidの10倍以上のマーケット規模があるといっても過言ではないのではと思います。

■何といっても魅力は課金の仕組み


ユーザー・デベロッパから見た場合、App StoreやAndroidの大きなデメリットはアプリの代金をキャリア課金できないことです。
せっかく携帯電話を使っているのに、アプリを買うときは別請求なのです。
そのため、結構な数の人がクレジットカード登録がめんどくさい、怖いという理由で無料アプリしか落とさないのです。
実際、iPhoneを持っているけど有料アプリを落としたことないという人には結構会いました。特に女性に多いようです。

キャリア課金できない理由は明白で、マーケットの運営とキャリアが別会社であるからです。
ちなみに、Androidについてはキャリア課金できるようにしようとしているようですが、現段階ではどうなるか未知数です。

その点、ドコモマーケットはキャリア=マーケット運営という構図になるので、全てがワンストップになります。
だからガラパゴスになるのですが、とはいえ絶対的優位であることには変わりありません。

課金の仕組みもかなり柔軟です。

  • ケータイ払いで課金
  • 月額課金も可
  • 期間限定アプリも可
  • 10円から5,250円まで1円単位で料金設定できる
  • ドコモポイントとの交換ができる

全てドコモならではです。特に、月額課金ができるというのは大きいですね。開発者よりも、コンテンツホルダーが喜びそうです。

■良心的な手数料


iPhoneもAndroidも30%なところに対し、ドコモは良心的な20%。開発者としてモチベーションが上がるところですね。

■ジャンル分けもケータイならでは


特徴的なのは、これらでしょうか。

  • おサイフケータイ
  • 待受/デコレーション
  • コミック
  • 芸能/グラビア
  • グルメ/レシピ
  • ゲーム(アーケード/PC/家庭用連動)
  • ゲーム(乙女・萌え)

おサイフケータイや待受はiPhoneではありえないジャンルですね。
書籍とコミックとグラビアが分かれているのもうれしい。iPhoneのブックカテゴリは昔はグラビアに占拠され、一掃されたかと思ったら今はコミックに占拠されがちなので。

■ユーザーレビュー


  • レビューを一度投稿したら再度そのアプリにはレビューできない
  • 開発者はレビューを制限できない

再レビュー不可という仕様は改善してもらった方がいいかなとも思います。思い付きで批判したことが実は間違っていたとか、バージョンアップによって改善されたとか出てくるはずです。

■審査はどうなる?


ドコモマーケットでは、アプリの申請時に審査が必要です。

  • 審査期間は2週間
  • ドコモの掲載基準によって判断

この辺は始まってみないとわかりませんね。ただ、iPhoneでは一律禁止されてしまったグラビアはカテゴリがあるくらいなので認められるでしょう。
基準も一応細かく定められているので、理不尽なリジェクトはあまり起こらないのではと期待しています。

■開発環境はEclipse/JavaME


これはAndroidと同じで、iPhone開発のXcode/Objective-Cに比べてれば遥かにエンジニアの数も多いですし、開発環境も優れています。
iアプリ開発環境はEclipseのプラグインという形で提供されます。
Eclipseの既存プラグイン資産を流用できるというのは、圧倒的優位性ですね。
これこそオープン性というものじゃないでしょうか。

■というわけで


個人的に非常に魅力を感じているドコモマーケットです。開発者申し込みが始まったら、とりあえず申請してみようと思っています。
今後もこのブログでご報告していきたいと思いますので、お楽しみに。