シマ猫弾薬庫/紛争まっただ中 -426ページ目

「戦争の犬たち」

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-1





(^・x・^)y─┛~~~~

「戦争の犬たち」


(1980年 米 監督 ジョン・アービング


 出演 クリストファー・ウォーケン


トム・ベレンジャー 


原作フレデリック・フォーサイス)



フォーサイスは『ロイター通信の特派員』としてビアフラへ赴任した経験がある。


欧州各国から次々と独立したアフリカの国々だったが


その後に訪れたのは自由ではなく苛烈な独裁政権だった。


独裁者の手により再び搾取され


地下資源の豊かな国や地理的な要所は米ソ冷戦の中で独裁が黙認さ


、何もない国は無視され内戦と飢餓が襲った。


(実際のクーデター計画)フォーサイスは私財をなげうってクーデター立案。


ギニアで軍事クーデターを起こし、独裁者エンリコ・マシアスを追放し


ナイジェリアの内戦で国を追われたビアフラ難民に与えようとしたのだ。


傭兵とビアフラ難民を組織し、武器・兵員の輸送を計画した。これは官憲の知るところとなり


計画は失敗したのだが、「戦争の犬たち」のおおまかなプロットはこの計画そのままだそうです。(^・x・^)ゞ


シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-2



*****(プロット)***** 



『皆殺しの雄叫びをあげ、戦争の犬たちを解き放て・・・』(シェークスピア)で始まる


戦争のプロ・傭兵を描く、“クリストファー・ウォーケン ファン”には「たまらない」映画です


(主に『繊細系美男子』のお好きな女性)。


なにげにベレンジャーさん、出てたぞ!!(大ブレーク前)。


冒頭、砲撃の中の空港で仲間たちと「ひきあげる」飛行機に乗るシャノンとその傭兵仲間。


『死人は乗せない』と言われながらも、(逝ってる?)仲間に「手榴弾」を固く握らせて


ピン抜いて、「Alive!」(死んでねーよ!!)という、アブねー状況。



帰国してからは、医師からは



(▼▼)「刃傷・銃傷・マラリア・チフス・骨折・打撲・・・この数年間で。


今度は君はいったい、何の症例だい??」


冷蔵庫に護身用ワルサーPPK/Sを隠してて、


一時期わたくしめも、モデルガンで真似してました。(すんなよ!!)


彼はやってきた雇用主から『南アフリカのザンガロ国に潜入』して


「キンバ(いってる指導者)」周辺をさぐることを、依頼されます。


(どうも、プラチナの鉱山の利権がらみです。詳しくは小説でね!)


ザンガロに入国したシャノンさん、鳥類の学者を装ってますが・・・


ガイドには、怪しげなヤローが「お目付」でつけられます。


黒いシャツで、薬やってそうなこけた頬、ちょっと、シャドウいれてない?


ってこんな変な「鳥類学者」いないよね~、こんな「政情不安」の国に。


美人の黒人女性をナンパ?しつつも要所の写真撮ってます。


結局連行されて「痛めつけられるんですが」ここの収容先で「ゴッキー君を手で殺して」


館内から小さな悲鳴が・・・・(--;) 。


キンバの政敵(宗教関係者?)が例によって十何年間も収監されてます。


スイスのマスコミ関係者の尽力で釈放されましたが、さんざん痛められて「よろよろ」です。


帰国した彼は


●キンバを殺す事と


●プラチナの利権関係に「同意」している元軍人(文盲)を指導者にすえる事を命じられます。


傭兵仲間を再結成して、「武器商人」と連絡。


船を出して、黒人傭兵たちと合流。(いきなり、ばりばりの精鋭で皆、ホッとしてます)。


クーデター前に船での「気合い入れ」で


( ̄- ̄)ノ『いつもは、傭兵はきっかけだけ作って後は正規軍の仕事だ。


今度は違う!!今度は傭兵たちの戦争だ!!』(けっこう、男らしい)


後はバリバリの戦闘シーン。


開発された直後の「連発できる」グレネードランチャー使って、戦争映画フリークを堪能させます。


クーデターは成功したのだが、シャノンは「雇用主」の連れて来た将軍を射殺します。


彼はキンバによって永年監禁されていた政敵を「後継者」としてすえるのだった・・・・。


シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-3

(ウォ-ケン様)ナイーブな表情が、この「綿密なクーデター計画」を遂行するリーダーとしてはまってました。


骨太感はなかったんだけど「私たちが考える傭兵」って感じとは違うのかね?


作品全体が『原作』にそって「クーデター実行までの話」に力点となっていて


迷彩服をきてないシーンが多く、『平服のウォ-ケンさん』は、かっこ(・∀・)イイ!です。


女性ファンの気持ちがわかりますね。(^-^)




シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-4


(トム・ベレンジャー)何げにメインキャストで出てましたが、後から考えると究極の「男前俳優が揃った」作品だったのね・・・・(*^▽^*)



シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-5



シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-6



(銃器)連射式のグレネードランチャーはこの作品ではじめて拝見す。


まだこの頃は『X』がランチャーの名についていたので、開発Noだったのですね。


原作では『MP40』だったけど、『UZI』が使用されてました。


まあ、MP40は小道具としてはそろわないでしょうね。


撮影ではイングラムが使用されたようです。UZIって高価なんだよね。




「駆逐艦ベッドフォード作戦」

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-1



Don't worry commodore.

Bedford will never fire first. But if he fires one, I'll fire one.


(准将、心配することはない。

わがベッドフォード号は先制攻撃はしない。

しかしソ連潜水艦が攻撃してきたなら、私も撃ち返す。)




**********


『駆逐艦ベッドフォード作戦』(1965)


監督;ジェームズ・B・ハリス

製作:リチャード・ウィドマーク

脚本:ジェームズ・ポー


出演 

リチャード・ウィドマーク(フィンランダー艦長)

シドニー・ポワティエ (マンスフォード記者)

エリック・ポートマン(西独海軍シュレプケ准将)

ジェームス・マッカーサー(ロールストン少尉)

マーティン・パルサム(ポッター軍医)


***********


まあ、この時点における俳優自体の力関係をも示すって感じの


キャスティングでもありますが


たとえ相手が黒人初のオスカー俳優であっても


m9(`・ω・´)  『このウィドマーク様にはかなわないぜ!!』って感じで


主演のウィドマークさんのための映画です。(製作もそうですけど)


この作品はTVで淀川さんが放映してくれて


思い返すと、お昼の映画番組でもたまにおみかけしたか。


ビデオでも鑑賞する機会を失って


今回DVDをゲトできたのは幸運でした。( ̄ー ̄)v



***********


NATO司令部の命令を完全に無視して『ソ連潜水艦』を追いつめる


ウィドマークさん扮するフィンランダー艦長の


『冷徹、非情なる眼光、周りを畏怖させる迫力』は


まさにウィドマークさんそのものです。


カラーにできるのに、わざわざ白黒にしてるのも、


迫力120%になってます。


余計にウィドマークさんの白い表情が怖くもあります。


***プロットその1***


キューバ危機直後のグリーンランドとアイスランドの中間地点に


米海軍駆逐艦ベッドフォード号は作戦を展開中。


ベッドフォードにヘリコプターから2人が乗り込む。


新任の軍医ポッターと


国防総省から取材を許可された『大物ジャーナリスト』マンスフォード記者である。


ベッドフォード号のフィンランダー艦長は


『大物』の指揮官であった。


ベッドフォード号の今回の作戦は


NATO海域を犯そうとするソ連潜水艦の排除である。


ソ連潜水艦は核を持ち、弾道ミサイルの発射地点を探っていると


予測されていた。


当該海域にはソ連のトロール船が5隻いて、いずれかが


ソ連潜水艦の母艦であることが推測された。


艦長は『キューバ沖でソ連潜水艦を強制浮上させた戦歴をもつ、鬼艦長』である。


すでにベッドフォード号は海洋に廃棄された生ゴミから


ソ連潜水艦の食事の一部を分析し、『ビッグレッド』と呼ばれるこの艦を


フィンランダー艦長は執拗に追っていた。


『危険を犯しても沈めるべき相手だ』


観測用の気球があげられたことから


ソ連潜水艦『ビッグレッド』の位置がわかる。


氷山の合間に『潜望鏡』を発見した。


ベッドフォード号はソ連潜水艦の追尾を始める。


現場はNATO領海内と公海の境界線。


領海内で『強制浮上』を目論む米駆逐艦と


公海に逃げ込もうとするソ連潜水艦。


『追跡にとどめよ』とする司令部からの命令に


『サンフランシスコ湾に潜航されてるのと、同じだぞ!何だ!!』といらだつ艦長。


ついにソ連潜水艦は公海に逃げ切った。


公海上では手出しは出来ない。


しかしフィンランダー艦長はさらに追い続けた。


『泥棒が道路に逃げたからといって見過ごすのか?』


氷山の合間を縫って航行しソナーで探査する。


緊張の連続にクルーたちは参っていた。


『ビッグレッドの音を追い続けた』ソナー係は


精神錯乱となる。



シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-2




**艦長とソナー係**



軍医を呼び『・・・2時間後に配置につけさせる』と言い放つ艦長。


もはや軍医の静止など聞くつもりもない。


艦長『潜水可能なのは24時間だ。


いずれ空気がなくなる。』




****艦長以外のキャラクター****


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*左がシュレプケ准将



**NATOからの技術顧問:西独海軍シュレプケ准将**


唯一、フィンランダー艦長が『意見を聞く』相手。


准将は対戦中はUボートの艦長として歴戦の勇士であった。



**マンスフォード記者**


シドニー・ポワティエ扮するこの記者は


艦長に興味を持っていた。


キューバ沖での『ソ連潜水艦強制浮上』事件で


なぜか?昇進しなかった艦長に興味をもっていた。


『軍備拡大を主張する艦長を国防省は嫌っているのでは?』


**ポッター軍医**


世渡り下手で


予備役からまた海軍に戻る。


(3度の離婚だそうです)


頭の切れるタイプではないため、余計に艦長に疎まれる。



シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-4




**ロールストン少尉**


学生時代フットボールの花形選手だった。


艦長自ら『憎まれ役』を買って出て


厳しく接している。


少尉はことあるごとに叱責され、完全に萎縮している。




***プロット続き***



潜航可能時間を過ぎ、


ついにソ連潜水艦が


換気のためのシュノーケルを海上に出す。


フィンランダー艦長は水中スピーカーで呼びかけた『浮上し、艦体を現すのだ』


艦長は『体当たり』を命じた。


ベッドフォード号は背後からソ連潜水艦のシュノーケルに接触し、


さらに反転して再び潜水艦の後ろに周り、攻撃態勢をとった。



シュレプケ准将『止めろ!狂ったのか??』


『私なら魚雷を撃つぞ!!』


艦長は対潜ミサイル装填を命じた。


ロールストン少尉『発射準備完了!!』


シュレプケ准将の制止に


返答するフィンランダー艦長


ここで冒頭の台詞です。


『Don't worry commodore.

Bedford will never fire first. But if he fires one, I'll fire one.


(准将、心配することはない。

わがベッドフォード号は先制攻撃はしない。

しかしソ連潜水艦が攻撃してきたなら、私も撃ち返す。)』


この最後の『 But if he fires one, I'll fire one.』



少尉は反応します。


( ̄Λ ̄)ゞ『Yes,sir! Fire ONE!!』


アスロック(対潜ミサイル)の発射ボタンを押す少尉。


慌てて止める艦長たち。



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対潜ミサイルは発射された。


パラシュートが開き、ミサイルは海中に入る。


ミサイルは潜水艦を捕らえた。


巨大な水柱が上がった。


ベッドフォード号は公海上でソ連潜水艦を撃沈したのだ。


クルー全員が艦長を睨みつけた。


直後にソナー係は叫んだ


『艦長!魚雷です。4本!1800メートル!接近中!』


撃沈される前にソ連潜水艦から発射された


反撃の核魚雷だ。


フィンランダー艦長は


『ことの重大性』を十分に知っていた。


先制攻撃をするはずなどなかったのに・・・。


追いつめて浮上させるか?相手に攻撃させて反撃するつもりだったのに・・・。


ブリッジで『魚雷対策』さえとらずに


自失し、マンスフォードに詰め寄られても


呆然と立ちつくすフィンランダー艦長。


核のキノコ雲があがった。




***********


(^・x・^)


『博士の異常な愛情』のようなシニカルな視点をもたないで


直球勝負で『緊張した米ソ関係での一触即発の危機』を訴えた作品です。


ウィドマークさん以外のキャストははっきりいって


『どうでもいい』っす \( ̄^ ̄)


ただひたすらに『敵を追いつめる』ことに執念を燃やす


パラノイヤ艦長を演じきったウィドマークさんの


迫力満点の作品です。


このキャラを前にしては


ポワティエさんの『正義』を訴える声も


うつろに見えます。



( ̄- ̄)ノ☆ おもろいですよ!!


ちなみにウィドマークさんの他の出演作品も


こういうキャラが多いっす。


眼力があるから、余計に迫力あるよね。(^・x・^;



( `・ω・)σ 『是非1度、見てもらいたい』作品です。


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「ミッシング」

   シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-1


モネーダ宮殿を包囲する兵士


2006年の12月10日にピノチェト元大統領が病死。




**********


1973年9月11日、その日はピノチェト将軍率いる軍事クーデタで


モネーダ宮殿は崩壊し、アジェンデ政権が葬り去られた日だ。


大統領官邸として使われていたモネーダ宮殿が空軍機の爆撃を受けて炎上するなか


銃を手にそこで抵抗していたアジェンデ大統領は、最後のラジオ演説ののち、絶命する。


その時以来、チリでの「9・11」は、クーデタで行方知れずになった息子や恋人を思い起こす日であり

命を落とした人々を追悼する日となった。


シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-2


ピノチェト大統領
一時期は『共産主義政権からチリを守った英雄』といわれた。

遂に本国から逮捕命令が降りた。絞首刑か??まあ、普通に死ぬまで拘束だな。


(^・x・^)y─┛~~~~

「サンチャゴに雨が降る」とか「戒厳令の夜」とかが本として入手しやすいか。

チリのアジェンデ政権の崩壊は、CIA主導によるクーデターによるものだ。

コスタ・ガブラス監督の「ミッシング」にも『米ミリタリーグループ』の存在が描かれている。


近年ピノチェト氏はチリのかつての宗主国であるスペインから、「大量無差別殺人」でさばくように滞在中のイギリスへ「外交的な依頼」がされましたが、イギリスは「それは、チリ国民にゆだねる事」として、「帰国」させました。

アメリカもイギリスも、当時はピノチェト氏を支持してしていた。



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★★「ミッシング」★★


(1982年  監督 コスタ=ガブラス

出演 

ジャック・レモン 

シシー・スペイク 

ジョン・シーア)


実話に基づく小説「チャールズ・ホーマンの処刑」が原作。社会派コスタ・ガブラスの代表作品


(予備知識)1970年に「国民選挙」により、社会主義政権が南米チリに誕生した。

アジェンデ政権である。


世界中の『知識人』から圧倒的に支持され、その政権の行方に注目されたが


トラッカーのストライキからはじまった国民的ゼネストが導火線となり


ピノチェト将軍による軍事クーデターにより、転覆。


「サンチャゴに雨が降る」に描かれている。世界から『文化人』がチリに集結していた模様。


このクーデタ-時に処刑されてます。例によって何十万人の「処刑」ありです。


また日本では五木寛之さんの「戒厳令の夜」にその政権の転覆までの政治的な背景が描かれている。


チリに関する権益ではアメリカの多国籍企業、たとえばITTの利益を守る事が当時の米国政府がなすべきことでした。

アジェンデ大統領は『国有化宣言』で強引なやり方でしたから、クーデターは起こるべくして起こった事件といえます。


●「ミル・グループ」・・南米各国での「国家保安警察」と

「軍の訓練」を細かく指導するためにアメリカ政府が南米各国に派遣していた

軍事顧問グループ。(盗聴から拷問の仕方もおしえます。)


同監督作品「戒厳令」ではこの「ミル・グループ」の要人が誘拐されて殺されます。


公には民間企業の一員として各国に派遣されていました。


*****(プロット)*****


チリのクーデター当時の「チャールズ・ホーマン失踪」事件。


南米チリで1973年9月11日「軍事クーデター」が起こった。


その直後、チリで新聞やイラストの仕事をしていたチャールズが失踪した。


彼が勤務していた「新聞社」はいわゆる左翼系でクーデター直後に彼の仲間たちも行方不明に。



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大使館も役にたたず、チャールズの妻はチャールズの父をアメリカから呼びよせた。



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「よけいな事に頭をつっこんだな」


大使館職員、現地の米軍大佐に捜索を依頼しながらも



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父は『息子が米国CIAが起したクーデターの確証を知るにいたったこと』


また『ミル・グループ』に接触して入り込んだことを知る・・・・。


やがてイタリア大使館に逃げ込んだ関係者から


「クーデタ-直後に息子がチリ軍の関係者から拷問を受けていた事」を知る・・。


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やがて息子が処刑されて競技場の壁にぬりこめられていた事がわかる。



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帰国する父と息子の妻は、居合わせた大使館関係者に「アメリカ国家を訴える」ことを宣言する。


*****【クーデターへの経過】*****


●チリのアジェンデ政権(1970)の無血社会主義革命


●そしてアジェンデ政権の(強引なまでの)国有化政策による、アメリカ経済の痛手


●チリの経済的破錠


●300%以上のインフレ


●72年のアメリカの先導による流通関係(トラッカー)のゼネスト・・・そして「サンチャゴに雨がふる」


●73年9月のピノチェトによるクーデター。ニクソン政権とCIAによるクーデター計画介入。(米の立場でいうと、アメリカの利益の確保です)


●●尚、「チャ-ルズ・ホーマン事件」で告訴されたキッシンジャーと12名の官僚は(当然ながら)控訴棄却:無罪となった。




「特攻サンダーボルト作戦」

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「特攻サンダーボルト作戦」

(1977年 米 監督 アービン・カーシュナー

出演

ピーター・フィンチ

ジャック・ウォーデン

チャールズ・ブロンソン

ジェームズ・ウッズ)


(ブロンソンさん)ブロンソンさんの作品っていえば


「荒野の7人」から「バルジ大作戦」・「雨の訪問者」・「さらば友よ」・「狼の挽歌」


そして当たり役「狼よさらば」の一連の『デス・ウィッシュ』シリーズですね。


まあ、この辺は、みなさんそれなりに思い入れがある所ですから、言わずもがなです。


それ以外にも、けっこうB級作品などにも積極的に出演されてます。


またジル・アイアランドさんとの「おしどり」ぶりも有名で、どんな作品でも、


どこのロケでも「大家族皆でいっしょに行動」だった模様です。


******【プロット】******



(ハイジャック発生!!)1976年6月27日


アテネ発のエール・フランス機がアラブゲリラにハイジャックされた。


ハイジャック犯は機をアフリカのウガンダ・エンテベ空港に着陸させた。


そして人質を空港施設に移して、イスラエルと欧米各国を相手に


「収監されている、仲間のテロリスト」の開放を要求した。


(ウガンダは、反イスラエル国で、アミン大統領は、アラブゲリラを保護した。)
 


イスラエルのラヴィン首相(フィンチさん)は、粘り強く政治的な「開放交渉」を


フランスを通じて(被害の当事国ってこと)行うが、



「アラブゲリラ」の目的は「ユダヤ人」って事は事件当初から明白。


犯行グループの「収監中のゲリラの開放要求」は、絶対に受け入れられないので


軍による『突入作戦の可能性』も併行してすすめます。


(エンテベ空港内)


 犯行グループは空港内で、「ユダヤ人」と「それ以外の人種」を別に管理して


ユダヤ人のみを「開放せず」に残します。


(イスラエル以外の国を「直接」敵にしない為です。)


「ユダヤ人」の人質からは、アウシュビッツの事を思い出す人も、現れてきます。


ときどき現われる、アミン大統領の「オバカ」さ加減が笑えます。


口癖が「ショロム・ショロム(バイバイ)」ってこんな奴、大統領じゃね~や!!


まあ、気に入らない部下の生首を冷蔵庫に入れて


毎晩「毒づく」のが日課、ってのは映画にもなりましたから・・。


 突入作戦の現場の責任者である、ショムロン准将役がブロンソンさん。


参謀長から打診される前に「突入作戦」を立案しています。


次々に開放される人質から、空港内の状況を正確に把握し、訓練を繰り返し行います。


実戦タイプの骨太の軍人さんを、好演です。



シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-2



ラヴィン首相は「突入作戦」の承認を米・英・仏からとりつけて、部隊の出発を命じます。


(イスラエル議会の承認は、ぎりぎりになって取り付けた:半分、脅してた)ピーター・フィンチさん、ほぼ最後の熱演が観れます。



7月4日イスラエル軍特殊部隊の精鋭を乗せた「C-130輸送機」が、エンテベ空港に向かいます。



シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-3



そして暗闇の中、「サンダーボルト作戦」が決行される・・・。



ウガンダ軍の援軍がくるまでの、1時間が作戦のタイムリミット。被害者の予想される数は「35~6人」。


でも、作戦を決行しなければ、100人です。


で、ご存知のこの作戦は「犠牲者が2名」ですんだ「奇跡的な突入作戦」と言われてます。


まあ、犯人は全員射殺されたのですが・・・・。


この作品は政治的配慮から、タイトルが替えられたり、公開されなかったりで、いろいろありますが、けっこうよくできてます。


もともとは、TV映画班の製作。



「エンテベの勝利(1976年)」・「サンダーボルト救出作戦(1977年)」が競作です。


「エンテベ・・」は、豪華キャストが売りで、「サンダーボルト救出作戦」が3作の中では


評価が高いです。(イスラエル製作で、クラウス・キンスキーさん出演)




シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-4






「キリング・フィールド」

       シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-1

96年、オスカー俳優、ハイン・S・ニョール氏が自宅近くで射殺された。

講演や、難民救済活動の合間に俳優活動されていた同氏であるが

クメール・ルージュの謀略説が流れている。


「キリング・フィールド」

(1984年 英 監督:ローランド・ジョフィ

出演


サム・ウォーターストーン


ハイン・S・ニョール  


J・マルコヴィッチ)



シドニー・シャンバーグ氏のピューリッツァ賞受賞のノンフィクションを原作にした作品。


当時のポル・ポト政権による4年間の支配時代には『100万~300万人』が虐殺されたそうである。


これは現在のフンセン政権下、NGOなどが調査しているようであるが、『口が固くて・・・・』のようです。


またタイへの大量難民流入が国際問題となっていた。



シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-2



1973年8月7日、『VOICE OF AMERICA』流れる中


アメリカ人ジャーナリスト:シドニー・シャンバーグはプノンペンの国際空港に降り立った。


カンボジアは、米軍・南ベトナム軍の援助をうけるロン・ノル政権(クーデターで政権奪取)と、シアヌーク氏(結局のところは親中国派のクメール・ルージュに追われた)率いる左派との内線渦巻く真只中である。


彼のカンボジア駐在は、米軍の作戦行動とカンボジア情勢を送信するためである。


助手についたのは、現地人ディス・プラン(ハイン・S・ニョール)、なかなかの交渉術で、けっこう無謀な『取材活動』をセッティングしていく、キレるジャーナリストである。


取材先で『拘束』されても、プランのおかげで解放される事も多かった。75年3月には左派の攻勢により、首都プノンペンは陥落目前となり、最後の砦『空港道路の攻防戦』となっていた。


外人ジャーナリストは、家族を米軍ヘリで次々に脱出させており、プランの家族もヘリでの脱出となる。


遂に首都は陥落し、ジャーナリストや難民は、『最後の砦』仏大使館に逃げ込む。


新政権は内部での「権力争い」をくりひろげ、大使館の外は殺戮と疑惑が渦巻く地獄絵図を呈していた。


最後までプランは居残った為に『逃げる機会』を逸し、仏大使館から追われて行く事となる。(偽のビザが出来なかった)。


そして75年4月に消息を断つこととなった・・・。




     シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-3



作品の後半は、ひたすらに『タイへの脱出』を目指すプランが、「前の職業を偽り」・「ジャーナリストである事を隠し」・「知的階級だった事を隠し」


ひたすらに『クメール・ルージュが支配する』地獄からの脱出を図るのを描いている。


カンボジアを支配するのはもはや、家族を否定し『アンカ』という唯一神を拝し、


すべての古い価値観を『殺戮』をもって否定する赤い集団となっていた。


ジャーナリストであったことは、即『死』を意味していた。


 家畜の血を密かに飲み、田に潜り、虐殺された遺体の中を


『なんとか脱出しよう』とするプランと対象的に『AIFPC』賞で最優秀ジャーナリスト賞を授賞したシャンバーグの様子が描かれる。


もちろん、彼は国境線の「赤十字」を含めて『捜索』を依頼していたが、もはや手はなくなっていた。


長い脱出行のさなかで「行き倒れ」たプランは、またルージュの村にいたが


村のリーダーは恐るべき『殺戮地獄』を憂いていた。


そして自分の子供をプランに託して、『脱出ルートの地図』を渡し、同志の銃弾に倒れる。


ベトナム軍の侵攻に合わせて、村を仲間と脱出したプランは


地雷原を進み、山を越え岩を登り、遥か遠い『タイ国境』を目指して行く・・・。


そこは『地獄』からの脱出を意味し、愛する家族との再会、そして信頼するシドニー・シャンバーグとの再会をも意味するものであった。


1979年10月9日、ディス・プランは米国で家族と再会を果たす。その後ニューヨーク・タイムズのカメラマンとして活躍なさったそうである。


「イマジン」の流れるなか、再会を果たすプランとシャンバーグの抱擁が感動的であった。


「許してくれ」「許すなど、そんな事は何もない・・・・」


報道とは、どういったものか?真実はどこにあるのか?


『解放』の美辞で飾られていた軍事活動は一体なんだったのか?考えてしまう重い作品であった。