実はここ数年間、職場である風俗以外ではセクシャルマイノリティの世界とは無縁でした。
というより、ある種のトラウマで自ら断ち切っていました。
「MtFである私が見てきたこの世界」というタイトルを掲げているのにです・・・。
昔とは異なり職場にもどっぷり浸からず距離を置いてきたので、
今は職場でのニューハーフを通して知る事すら多くない。
ここずっと記事に書いてきた元ネタはほとんどがインターネット上のニュース記事などが元。
実は最近、インターネットを通して1人のジェンダフリー傾向のセクシャルマイノリティさんと知り合いました。
ちょっと前までの私の思考からでは、新しくセクシャルマイノリティの知人を探すという事はありえない事でした。
でも結果的には、「とても良い出会いだった」という事です。
知り合った経緯は割愛しますが、
彼女は私らのようなニューハーフというわけではなく、
性ホルモン等を投与している性同一性障害というわけでもなく、
見た目は女性らしいがアイデンティティはジェンダーフリー(性別に捕らわれない)の方です。
とても賢く聡明な方でもあり、私の知らなかった男の娘の世界にも造詣の深い方で、
我々のNHの世界に関しても詳しく親交のある方です。
彼女と話す中で、私自身が勉強になる事も多々あり、
誤解していた考え方もいろいろ改めるきっかけになりました。
例えば、現実世界の"男の娘"の世界。
私はてっきり、一昔前の女装子と呼ばれていた分野の方達の
新たな用語なのかと思っていましたが、
実際はそうでなく、女装子もGIDの方もニューハーフの方も総括した世界(実状)なんだそうです。
男の娘カフェというサービス店が一部では最近話題になっていますが、
これも私は、もともとの男の娘という定義通り、「女性のような見た目をした普段は一般男性」の方が専門で働いている店だと思っていたのですが、実際はそうでなく、もちろん職場のみで男の娘を演じている一般男性もいるが、性自認が女性で性ホルモンを投与しているMtFさんも働いているし、ニューハーフとして水商売や性風俗で働いている傍ら副業として勤めている方もいるようで、業種は違うものの、そこで働くスタッフのアイデンティティや生き方は、私たちと何も変わらないのだという事を知ることができました。
つまり現在ニューハーフである私も、そういったお店に勤めれば立派な"男の娘"であるし、
一般職の性同一性障害MtFさんも、男の娘に該当しうるという事を知る事ができ、少し驚きで目から鱗でした。
ただし性転換&戸籍変更をした人だけは別で、
未性転換者である以上は、性ホルモン投与の有無、性自認、性嗜好など関係なく、
垣根なく"男の娘"と定義されうる存在なのだという事を知ったのです。
男→女に限定されるが、そこには真のジェンダフリーという概念が存在するわけです。
しかし実状としては、ニューハーフはジェンダフリーな立場の者を嫌う傾向にあるし、
ジェンダフリーの人達はニューハーフの独自な凝り固まった思想を嫌うという傾向は未だ存在します。
一般職の性同一性障害者は、思想的にはジェンダフリー傾向ですが、同じくニューハーフ業界を嫌悪しているように思えます。
その枠組みには収まらず、ニューハーフだけどジェンダフリー思考、
中性的立場だけれどニューハーフも同じ仲間。
そう手を取り合あったコミュニティが「男の娘」であり、
その窓口の1つが男の娘カフェなんだということなんですね。
裏を返せば、ニューハーフの中にも性同一性障害を抱えた方はいますし、
趣味として女装をした上でゲイバーに勤める方もいます。
ですので、業種は違えど、男の娘カフェでもニューハーフの水商売/風俗に関わらずそこに在籍する者のアイデンティティに明確な差異はないという事が立証されるのです。
私の中の、男の娘という定義とその用いられ方に対するイメージや偏見が解かれた瞬間でした。
それでもやっぱり、「男の娘」という言葉には、「男」という言葉が入っている以上、
性自認や、本来の性別を自ら男だと誇張しているような気がしてやまないので、
私はトランスジェンダーですといった方がしっくりきます。
まぁ、聞き慣れない横文字を使ってボカしているだけなんですけれどね^^;
性転換してないし戸籍変更もしてない以上、はっきりと女ですとか元男ですとは言えないと理解しているし、
かといって自らをオカマだとも女装者だとも思っていない。
「アイデンティティは女で、元は男だけれど女として生きている者」
この概念を上手く伝える時は、今はまだ"ニューハーフ"という言葉が上手く認知されているのかもしれません。
職業的にもニューハーフでありますしね。
ただし人によってはニューハーフという言葉にも否定的なイメージを持っている人もいるようで、
「オカマのイメージと同じまま、それを横文字にしたのがニューハーフ」と考えている方も少なくないのでしょう。
性同一性障害という言葉も少しずつ広まってきましたが、
障害という言葉がついている以上、物凄く重く受け止めてしまわれる風潮もある。
オカマやホモという否定的なイメージを含まず、
嗜好として女装を嗜んでいるわけでもなく、
性同一性障害という重病的な言葉のイメージも含まず、
男の娘という男を誇張した表現も含まれず、
ニューハーフやオネエといったメディア的・職業的なイメージも含まない、
他に何か良い言葉はないものでしょうか?
そうなると、MtFやトランスジェンダーが一番しっくりくるわけです。
でもそれは日本には広まっていない。
どうしても自称する際は、前述したように
「元は男性ですが女性として生きてます」と言った上で、
「世間で言う所のニューハーフってやつです」と予防線を張るしかないのです。
それでも、セクシャルマイノリティに否定的な人、
もしくは深く知らない方々からは、
「オカマ?」「性同一なんとかってやつ?」「オネエな人?」
としか言われないのです。
意味を知っていて故意に呼ばれる事は仕方ないが、
何も知らないが故に平気で「オカマ?」「オネエ?」と言ってしまうような風潮は早くなくなってほしいです。
余談ですが、日本で使われるオカマという言葉は、
欧米ではよくゲイという使われ方がしますよね。
少しでも女性的だったり、または男らしくない時に
何にでも「やつはゲイ」とレッテル貼り。
日本以上に向こうでは蔑称を込めた差別意識が強いのです。
日本では少ないですが、やはり同じように、
少しでも女性的な男性に「オカマかよ」といった使われ方がされる。
車の玉突き事故も、オカマを掘られるといった表現。
最近のネット上では、少しでも男性同士の密接な関係を匂わす内容に対し、
「ウホ」だとか「アッー」といったはた迷惑な表現がされる。
(対象者がセクシャルマイノリティでなくてもです)
そのように蔑称を含んだ表現が言葉遊びのように使われ蔓延している。
いかんともしがたい現状です。