イカの眼は、高性能だそうです。
知恵袋には、その話題がいっぱいあります。
さて、下図は人の眼の構造です。
理化学研究所:iPS細胞由来の網膜組織を用いた視機能の回復よりhttp://www.riken.jp/pr/press/2017/20170111_1/#fig1
図の左から入った光は、水晶体で屈折し網膜上に像を結びます。
右側の詳細図は、網膜の基本的な構造です。
緑色と灰色の視細胞の部分が、最初に光を感じ信号を発生させる箇所です。
そこで発生した信号は、左側の黄色、水色、紫色の細胞に伝わり、さらに左側の赤色の網膜神経節細胞を経由し、さらにその左側の神経の束を通って脳に伝えられます。
さて、皆さんはこの模式図を見て、何かおかしいと思いませんか?
『ひょっとして、この網膜の模式図、左右逆じゃないの?』
そう感じたあなたは、正常です。
だって、光を感じる視細胞の前(左側)にある信号伝達系の細胞って邪魔ですよね。
デジタルカメラで例えるなら、数百万画素を誇るCCDの前面に、数百万の画素の発生信号を受け取るソケットや記録媒体へ信号を伝えるための配線を置くようなものです。
どんなへぼ設計者でも、そんなミスをするはずがありません。
でも、この模式図は正しいんです。
実際の人の眼は、光感受センサーの前に、こんなごちゃごちゃが配置されているんです。
そのため、肝心な光はセンサーに届くまでにそれらの障害物によって弱められてしまいます。
この構造は、人だけじゃなく哺乳類、爬虫類、両生類等に見られます。
そう聞くと、そもそも眼とはそんな物なんだろうって思っちゃいますよね。
でも、この模式図を左右反転させた構造を持つ生物は、存在するんです。
それが冒頭のイカさんたちです。
光センサーの後ろ(右側)に信号伝達経路を置き、さらにその右側の脳に伝えるという、一方通行のシンプルかつ当たり前の構造です。
たったそれだけの理由で、やれイカの目は高性能だとか、やれそんな超高感度で見ても脳が追い付けるはずがないとか、言われているんですね。
イカさんと同じ構造なら視神経の出口が盲点となる弱点など、抱える必要もなかったんですけど……。
IDさんは、大切な人類の設計にいったいどんな姿勢で取り組まれたのでしょう?
イカさんたちに、超高性能な眼を提供しながら、人類には夕暮れですぐにおぼつかなくなる眼を組み込むなんて、やらかしちまった感満載ですね。
イカさんたちと私たちの構造が違っちゃつた理由については、そのうち書きたいと思います。