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サッカーファンの皆様、ご機嫌いかがでしょうか?

6月11日に、日産スタジアムで行われた日本×イラクの親善試合。

試合は開始5分、柴崎岳のロングパス(パスを出すまでの「時間」の作り方が絶妙!)に抜け出した本田圭佑のゴールを皮切りに、槙野智章、岡崎慎司と立て続けにゴールを奪い、更に後半は途中出場の原口元気がゴールを挙げ、4-0で日本が快勝。16日(火)に埼玉スタジアムで行われるロシアWCアジア二次予選の初戦、シンガポール戦に向けて「良い準備」が出来たのではないかと思います。

さて、この試合で1人の選手が日本代表デビューを76分に果たしました。
その選手の名前は谷口彰悟。川崎フロンターレに所属する、来月の15日に24歳になる選手です。
今回は彼について書いていきたいと思います。

…ちなみに冒頭に書いたのは谷口のフロンターレでのチャント(応援歌)です。原曲はウルフルズの「サムライソウル」。


◯「高くて速くて強くて上手い」谷口彰悟

まず簡単に谷口彰悟という選手について紹介したいと思います。

谷口は昨年、風間八宏監督率いる川崎フロンターレに入団したプロ2年目の選手ですが、実はプロ入り前に在籍していた筑波大学蹴球部で、既に当時指揮を執っていた風間監督に2年間指導を受けていました(谷口が3年次になったばかりの頃に風間監督は筑波大蹴球部監督を退任し、川崎フロンターレの監督に就任)。

大津高校時代にボランチを務めていた谷口は筑波大入学後、1年次の時、センターバックにコンバート。2年次の頃から本来のボランチに戻り、「大学屈指のボランチ」と称されるくらいの注目の選手になりました。
風間監督も「将来はパトリック・ヴィエラ(元フランス代表)のようになれる」と太鼓判を押す程でした。

そして前述した通り、昨年川崎に入団。FC東京との「多摩川クラシコ」で、未経験の左サイドバックでスタメン起用という形でのプロデビューでしたが大久保嘉人の先制ゴールをアシストするなど、ソツのないプレーで上々のデビューを果たし左サイドバックに定着。WCによる中断以降は筑波時代に経験したセンターバックとして川崎の最終ラインに君臨し続けました。

今シーズンもセンターバックを主戦場に、怪我人が多いチーム事情から本来のポジションであるボランチでのプレー機会も増え、現在川崎では唯一リーグ戦とナビスコカップ、全ての試合にスタメン出場している、まさに代えの利かない選手となりました。

谷口がどんなプレーヤーであるかを表現するならば「高くて速くて上手くて強い」といった所でしょうか。
182cmとサイズがあって且つ跳躍力がある。足も速い、大学時代から風間監督に叩き込まれたボールを「止める」「蹴る」は正確、そして当たりも含めて1対1では負けない強さがある。プレーヤーとしては本当に穴が無い選手です。
それにルックスも端正で、まさに谷口彰悟という選手はプロサッカー選手としての理想形といっても過言ではないでしょう。


◯もっと「狡猾」になれ!

ただ「プロサッカー選手」としては足りない部分が谷口を見て感じています。
それは「狡猾」さです。

これは実は川崎でのチームメイトである、日本代表の大先輩でワールドカップ出場経験のある中村憲剛と大久保嘉人も「ずる賢くなれ」と、僕が感じていたのと同じ事を谷口へのアドバイスをインタビューで求められた際に話していたそうです。
中村は「究極的にはブスケッツ(セルヒオ・ブスケッツ。リーガエスパニョーラ、スペイン国王杯、UEFAチャンピオンズリーグの三冠を達成したバルセロナのボランチでプレーしている選手。優等生揃いのバルサの下部組織育ちの選手の中では異端の「狡猾」さをピッチで見せている)のようになって欲しい」と具体的に目標にして欲しい選手名も挙げました(これも僕が思っていたのと一緒…)。
見ている側が谷口に対して思っていた事を、同じ様に選手側も思っていたんですね…。

彼はプレーヤーとしての全ての能力は確かに高いですが綺麗に、スマートにプレーし過ぎているように見えます。
もっと相手が嫌がる事を、例えばボールを持ってる時に相手に突っかけられたら巧妙に「チャージされた風」に倒れてみたり、トラップミスしたふりをして相手が突っかけてきた所をかわしたりといったプレー。ボールを相手が持っていた時は自分がマークに付いてる相手のユニフォームを主審の見えないように引っ張って相手が受けようと動く出足を遅らせたりと…、挙げた例はどちらかというとオススメしたくないプレーが殆どですが(笑)、いずれにせよもっと相手が嫌がるプレーをするくらい「狡猾」になっても良いと思うのです。


◯ファーストプレーは普段通りの「出して動く」

さて、谷口の簡単な紹介をしたところでイラク戦に話を戻します。

76分に、長谷部誠に代わって投入された谷口ですが、出場した14分間+アディショナルタイムでの評価は、ミスなく無難に終えたなと。それ以上のものはありませんでした(笑)。
エルゴラでも「時間短く、評価無し」の評価でしたがまさにそれ以上でもそれ以下でもない評価だったと思います。

ただイラク戦での谷口のプレーで、何気無いプレーですが一番「これなんだよ!」と思ったプレーがありました。
それは谷口が最初にボールを持った時のプレーです。

まず谷口はボールを受けると、下りて受けに来た味方に迷わず速い縦パスを味方の足元に出します。出した後も動きを止める事なく、フリーで受けられる場所に動いてもう一度味方からのパスを受けました。

その次の永井謙佑への横パスはズレてしまい相手のスローインになってしまいましたが、「速い縦パスを出す」→「フリーで受けられる場所に動く」という一連のプレーの流れはまさに普段川崎でやっているプレーそのままですし、筑波大時代から川崎にかけて風間監督に求められ続けてきてきた「出して動くを繰り返そう」をそのまま表現したプレーでした。

代表のデビュー戦で普段通りのプレーをワンプレーでも見せるというのは我々が想像している以上に難しい事だと思います。どうしても緊張してミスをしないように近くの味方を探してしまう。そういう現象が起こっても不思議ではありません。でも谷口は最初のプレーで自分の持ち味である攻撃のスイッチを入れる縦パスを入れて、大学時代から風間監督に叩き込まれた「出して動く」の意識で縦パスを出した後にボールを受ける為にもう一度動くという普段通りのプレーを見せてくれました。
普段の谷口を知ってる人間からすれば「もっとやれるだろう?」と要求したくなりますが、ワンプレーだけでも普段通りのプレーを見せてくれただけで、代表デビュー戦としては個人的には高評価をしたいです。


以上です。
それにしても去年の小林悠の時もそうでしたが自分が贔屓にしているチームから代表に選ばれるというのは感慨深い思いがあります。
だからこそ次も代表に呼ばれて欲しいという思いも強くなります。
ただイラク戦のパフォーマンスではまだまだ足りないと思います。
清武弘嗣や川又堅碁と、怪我人の離脱により、シンガポール戦のメンバー23人には入る事が確実でしょう。
イラク戦同様出場機会は短い可能性は高いです。出場機会が無い可能性の方がより高い筈です。
ですからもし出場出来たとしたら、出場時間の中でイラク戦同様に普段通りのプレーをワンプレーだけではなく継続させる事、あと「中盤からゲームを作る!」「相手には何もやらせない!」という強い「意志」を発し続ける事、これが大事だと思います。

次も代表に呼ばれるためには当然所属チームで試合に出続け、高いパフォーマンスを見せ続けてチームを勝たせなければいけませんが、代表の試合の中でも高いパフォーマンス、チームを勝ちに導くパフォーマンスを見せる事は必要です。
シンガポール戦でも谷口が試合に出場した場合は前述した「普段通りのプレー」「強い意志を発したプレー」をやり続ける事が出来ているか、そこに注目してみて欲しいと思います。