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大島僚太 笑顔がキュート
大島僚太 決めろよシュート

皆様、ご機嫌如何でしょうか。

7月1日(水)に、ベガルタ仙台のホームスタジアムである、かつては「仙台スタジアム」の名称でお馴染みだったユアテックスタジアム仙台で、かつてベガルタ仙台を監督として率いた手倉森誠監督が率いる来年のリオデジャネイロオリンピック出場を目指す現在22歳以下の日本代表と22歳以下のコスタリカ代表の親善試合が行われます。

日本にとっては来年1月に行われるU-23アジア選手権兼リオデジャネイロオリンピックアジア最終予選に向けた貴重な一戦となります。
常連組の連携を深める事、そして前田直輝(松本山雅FC)、小屋松知哉(名古屋グランパス)ら新戦力をチームに馴染ませる事。その中で「どう勝つか」を築き上げる。そういった意味では親善試合とは言え1試合も無駄には出来ません。

個人的に、22歳以下の日本代表メンバーで特に注目をしているのがMFの大島僚太です。
もちろん贔屓にしている川崎フロンターレの選手という事で贔屓目に見てしまうのですが、彼のボールを扱う技術、パスセンスの高さ、そしてボールを奪う能力の高さはまさに注目されるべきものだと思っています。

※ちなみに書き出しは大島のチャントです。原曲はTHE HIGHLOWSの「青春」

◯相手の「矢印」を外すボールの扱い方

まず大島が優れている「ボールを扱う技術」について。

故障明けなのでどれだけ試合に出場出来るかは分かり兼ねますが、まず大島がボールを持った時の、運び方も含めた「扱い方」に注目して欲しいと思います。

大島は「相手を見てサッカーが出来る」選手です。ですから自分がボールを扱う時は常に「相手がどう自分に対応して来るか」そしてが見えているので、例えば相手が真っ直ぐ自分にプレッシャーを掛けてきたらボールを横にずらしてみたり、自分に対応しに来た相手を自分の左側(右側)に「矢印」を作らせてからその逆を突いて相手を外したり、後ろから追ってくる相手や、下がって対応する相手には一度止まってからターンして外したりと、多彩なボールの扱い方で相手の「矢印」を外せます。

こういったボールの扱い方はまるでアンドレス・イニエスタ(今シーズン三冠を勝ち取ったバルセロナ所属のスペイン代表)を彷彿とさせます。
イニエスタも相手の「矢印」が見えていて、ボールを扱いながら相手の「矢印」を外すのが上手い選手です。

大島がボールを持っている時は本当にいつも「おおっ!!」「上手い!!」と唸ってしまいます。
彼がボールを持っている時、どの様にボールを扱って相手の「矢印」を外すのか、是非注目してみて下さい。

◯相手を揺さぶる「横パス」と前へのスイッチを入れる「縦パス」の使い分け

次に大島が優れている点として挙げるのは「パスセンスの高さ」です。

所属している川崎フロンターレには中村憲剛という日本を代表する「一撃で相手の急所を突く」スルーパスを出せる、大島にとってはチームの大先輩でありボランチの「相棒」がいますが、中村のような一撃必殺のスルーパスを大島は常に出す選手ではありません。

では何故大島の「パスセンスが高い」のか、それは「横パス」「縦パス」の使い分けが上手いからです。

先程、「大島は相手を見てサッカーが出来る」と書きました。もちろん大島は「味方も見えて」います。
「全てが見えている」のです。
ですから味方が前で敵を外してフリーになった瞬間を見逃さずに鋭い縦パスを出して前へのスイッチを入れる事が出来ますし、相手の陣形が整っていると見るや、相手の陣形を「揺さぶる」為に横パスを出してみたりする事が出来ます。
更に、味方が前で敵を外してフリーになっても「敢えて一本横パス」を入れて相手が抱いている縦パスに対する警戒心を緩めさせて次に縦パスを通す為の布石にする事も出来ます。

上記のような「縦」「横」のパスの使い分けが巧みなので、大島のパスセンスは高いのです。

よく大島を「中村憲剛の後継者」と見る声も聞かれますが、個人的にはパスの使い分け方に関してはガンバ大阪の遠藤保仁に近いのではないかと思います。

◯何気に高い、ボールを奪う能力

あと、あまりクローズアップされないのですが、大島は相手からボールを奪う能力にも秀でています。

相手のパスコースを読んでインターセプトするのも上手いですし、ボールを持っている相手の「意図」を読んでスッとボールを奪える。そして何より球際が強いです。

復帰戦となった6月27日(土)の鹿島アントラーズ戦では、ファールにはなりましたがあの歴戦の勇者である小笠原満男相手にも激しく身体を寄せて小笠原を吹っ飛ばしたり、昨シーズンのセレッソ大阪とのアウェーゲーム(柿谷曜一朗のバーゼル移籍前ラストゲーム)では当時セレッソ大阪に所属していた現在オーストリアのザルツブルク所属で、今回は招集されませんでしたが3月に行われたU-23アジア選手権予選ではザルツブルクとの調整の関係でマカオ戦、ベトナム戦の2試合限定で試合に出場した南野拓実との激しい球際勝負を制して南野を苛立たせました。

川崎フロンターレで中村憲剛とのダブルボランチが成立しているのは大島のボールを奪う能力の高さがあるからこそです。中村が前に出力する分大島はバランスを取って、相手にボールを持たれた時は広い範囲をカバーし、相手の攻撃の芽を摘んでいきます。

ただU-22日本代表ではボランチのパートナーがディフェンス能力に長ける、同い年で共にこの世代を引っ張ってきたキャプテンの遠藤航(湘南ベルマーレ)なので、後ろのケアは遠藤に任せて、もっと大島もボールを持った時、自分の持ち味を出す事に専念しても良いのかなと個人的には思います。


以上です。
復帰戦となった鹿島戦を見て、久々のゲームからかパスミスやポジショニングでのミスも散見されましたが、相手の矢印を外すボールの扱い方、鋭い縦パス、小笠原を吹き飛ばした球際の強さといった持ち味の片鱗は見られました。

今後更にコンディションを高めて、怪我をしなければ、川崎フロンターレとU-22日本代表を完全に「大島僚太の掌の中」にするでしょう。かつて遠藤保仁がガンバ大阪と日本代表を「遠藤保仁の掌の中」にしたように。

そしてやはり日本代表、フル代表入りは常に意識して欲しいと思います。大島は1993年1月23日生まれなので、世代は違いますが92年生まれの宇佐美貴史(ガンバ大阪)、柴崎岳(鹿島アントラーズ)、武藤嘉紀(ドイツのブンデスリーガで戦うマインツに移籍決定)とは同学年にあたります。

宇佐美も柴崎も武藤も既にフル代表では自らの「強烈な意志」を発してプレーしており、既にフル代表でも中心選手として活躍しています。
大島くらいの実力を持ってすれば、彼ら同様フル代表の主軸を担ってもおかしくないと思いますし、個人的には今後の日本の中盤は柴崎と大島、そして谷口彰悟の3人が引っ張っていかなければならないと思っています。

それだけの高い期待値を持って大島のプレーを皆さんには堪能して欲しいと思います。