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皆様ご機嫌如何でしょうか?


明治安田生命J1リーグ2ndステージ第1節、ユアテックスタジアム仙台で行われたベガルタ仙台×川崎フロンターレのゲームは、前半に川崎Fが左サイドを起点に大塚翔平と小林悠のゴールで立て続けに2点を挙げ、更に試合終了間際には途中投入された三好康児のプロ初ゴールでダメを押し、川崎Fが3-0で仙台を一蹴しました。

鹿島アントラーズがガンバ大阪に敗れた為、これで川崎Fは年間順位で首位に返り咲きました。
一方の仙台は1stステージ最終戦のジュビロ磐田戦に続いて3失点を喫し連敗となりました。

◯3-0というスコアながら満足出来なかった試合内容

スコアだけ見れば川崎Fが3-0で「快勝した」ゲームではあります。
ただ、スタジアムで見ていてあまり手放しで喜べる程良い内容ではなかったなと感じました。

特に2点挙げた後の試合運びが良くなかったなと感じました。

サイドで作って仕留めるのがチームスタイルである仙台は両サイドの裏を再三に渡り突いて川崎Fを押し込み、セカンドボールに対する出足でも川崎Fを上回り、いつもであれば高い位置からボールを回収して相手を自陣に釘付けにしていた川崎Fのボールを奪う位置が低く、ボールを長く握り続ける事が出来ませんでした。

また、川崎Fから自陣でのパスミスやクリアミスも散見された事もボールを握れなかった要因の一つだったかなと思います。

それでも失点を喫しなかったのはキーパーのチョン・ソンリョン、そして井川祐輔、谷口彰悟のセンターバックコンビを中心とした粘り強い守りと、仙台の選手達のアタッキングサードでの技術不足があったからです。

こういった自分達がペースを握れなくても後ろの耐久力で相手の攻撃を凌いで勝点を重ねられるのが今シーズンの川崎Fの強さなので、仙台戦はまさに今シーズンの川崎Fを象徴する勝ち方かなと思います。

また、優勝争いをする為には、悪いゲーム内容の中でも勝点を重ねていく事が重要なので、勝点3を取れたのは本当に大きかったと思います。

ただ個人的には仙台相手であればもっと圧倒して勝たなければいけなかったかなと思いますし、前述した通りミスも散見されたので満足の出来る内容ではありませんでした。


◯三好康児の「伝説」の始まり

そんな川崎Fの良くないゲーム内容の中でサポーターを沸かせたのは、75分にエウシーニョに代わって投入された三好康児のプロ初ゴールでした。

87分、右サイドでボールを受けた三好はそのままドリブルで前にボールを運ぶと、ペナルティーエリア付近で中にカットインして左足を振り抜き、プロ初ゴールを挙げました。

そのゴールシーンは、リーガエスパニョーラを2連覇したバルセロナで背番号「10」を背負ってプレーする、現在アルゼンチン代表引退の可能性が報じられている全知全能のフットボールプレーヤー、リオネル・メッシを彷彿させました。

サポーターの方々にとっては多くを語るまでもないとは思いますが、三好は10年前に立ち上げられた川崎フロンターレU-12の1期生(同期はチームメイトの板倉滉)で、小学生の頃から、その類稀なテクニックで「アカデミー史上最高傑作」とサポーターに期待され続けてきた選手でした。

小学生の頃にはダノンネーションズカップで国際舞台を経験し、中学2年の頃には飛び級で川崎フロンターレU-18に合流。更に高校2年の頃には吉武博文監督(現・FC今治監督)率いるU-17日本代表のメンバーとして、UAEで行われたU-17ワールドカップに4試合中3試合スタメン出場した事でサポーターの期待は更に高まり、「いつトップチームに昇格するのか?」と三好のトップチーム昇格を多くのサポーターが待ち望んでいました。

トップチーム昇格を、アカデミーの同期である板倉と共に果たしたのが昨年。
その昇格した年の4月4日、ホームの等々力競技場で行われたリーグ戦のアルビレックス新潟戦のアディショナルタイムに大久保嘉人に代わって投入され、待望のプロデビューを飾りました。

そのプロデビューから1年3ヶ月、杜の都仙台で、ついに三好は待望のプロ初ゴールを挙げたのです。

三好のゴールに、普段感情を爆発させない大島僚太が大喜びで三好を祝福し、ゴール裏では三好のゴールに感涙したサポーターの女性もいました。

小学生の頃の三好から見続けてきたサポーターの方々にとっては本当に感慨深いゴールシーンだったと思いますし、10年前にU-12部門を立ち上げた川崎フロンターレのスタッフ、アカデミー時代に三好を指導してきた指導者の方々にとっても特別なゴールシーンだったのではないかと思います。
三好にはもちろんですが、三好を支え続けきた方々や三好を応援し続けてき方々にも「おめでとうございます」と祝福したいです。

このまま順調に成長すれば三好はおそらく川崎Fには留まらず、ヨーロッパの舞台を主戦場とする選手になるでしょう。そして日本代表でも必ず中心選手になってくる筈です。
将来、三好が世界のサッカーシーンに名を轟かせ、日本サッカー界の「伝説」の存在となった時、

「三好のプロ初ゴールをユアスタで観たんだよ」

と自慢出来る未来も遠くは無い筈です。

そんな三好康児というプレーヤーの「伝説」の始まりになるであろう瞬間をスタジアムで観られた事は、自分の中では本当に大きな経験になりました。