2018年3月18日(日)に行われる、明治安田生命J1リーグ第4節。
注目は豊田スタジアムで行われる名古屋グランパスと川崎フロンターレの一戦です。

現在名古屋グランパスを率いているのは風間八宏監督。その風間監督が名古屋の前に5シーズン率いていたのが、対戦相手の川崎フロンターレでした。
2012年4月当時、迷走していた川崎Fの監督に就任し、選手達の「止める」「蹴る」「運ぶ」「外す」といった基本技術を独特の指導法で鍛え直し、他のJリーグのチームが実現出来ないスペシャルな攻撃サッカーを植え付けました。
風間政権時に川崎Fはタイトルを獲得する事が出来ませんでしたが、昨シーズン、風間前監督が植え付けた「常識」に、風間前監督の下でヘッドコーチとして支えて来た鬼木達監督が「守りで観客を沸かす」意識を更に植え付けて、見事悲願のリーグ制覇を成し遂げました。
昨シーズンの川崎Fを優勝に導いたのは鬼木監督の手腕であるのは間違いありませんが、川崎Fのサッカーの礎を築いたのは間違いなく風間前監督でした。

そういった経緯もあり、名古屋と川崎Fの対戦は、初めて実現する「風間流」同士の対戦なのです。

風間監督の指導の下、Jリーグでスペシャルなチームとなった両チーム。その両チームのサッカーのベースとなっているのは「ボールを失わない」という事です。

○お前のボールはいくらだ?
よく名古屋や川崎Fのサッカーを「パスサッカー」「ポゼッションサッカー」と形容されるのですが、風間監督は一度も自チームのサッカーを「パスサッカー」や「ポゼッションサッカー」と形容した事がありません。
風間監督が大前提として選手達に求めているのは

「ボールを失うな」

という事です。

「やっぱりパスサッカーじゃん」と思う方もいると思います(サッカーをよく見ている方であれば特に)。
ただ、風間監督の言う「ボールを失うな」というのは、文字通りボールを失わずに点を取れという事です。

なので、それこそ自陣からパスを30本以上繋ごうが、パス2、3本だろうが、ロングパス1本だろうが、単独でのドリブル突破だろうが、得点までの過程でボールを失わなければそれで「正解」なのです。

そしてボールを失わないようにする為に、風間監督は両チーム就任当初にボールを「止める」「蹴る」「運ぶ」、相手を「外す」といった基本技術と、「お前のボールはいくらだ?」と選手個々にボールの「値段」を問う事で、選手達にボールを失わない、否、「失ってはいけない」という意識を植え付けたのです。

風間監督の言葉を拝借するなら、自分が持っているボールが50円程度の値段であれば相手に渡しても構わない。ただ自分が持っているボールが100万円以上の高額の値段であれば絶対に取られたくない、取られるわけにはいかない、取られたら相手の足を削ってでも取り返すと思います。
ボールの大切さを「ボールの値段」と表現して、選手達にイメージを浮かべやすくさせるのは、「言葉」を噛み砕いて伝える風間監督らしいなと思います。


○どちらが「ボールを大事にしているか」
個人的に名古屋と川崎Fのゲームで注目しているのは

「どちらがボールを大事にしているか」

という点です。
別の言い方をすればどちらが「ボールへの執念が強いか」という事。
それは、相手にボールが渡った時に見えます。

先程、「ボールの値段」について述べましたが、自分のボールが100万円以上の高額の価値であれば、絶対に奪われてはいけません。奪われたら相手の足を血まみれにするくらい削ってでも奪い返す、否、「強奪」しなければ自分の元にボールは戻って来ません。

それくらい強い執念をボールに対して持てるかどうか。それが風間監督の指導を受けた両チーム同士の勝敗を分ける本質的なポイントになるのではないかと思っています。
もちろんポジショニングやボールの動かし方など、細かいディテールも勝負を左右するポイントになるでしょうが。


前述の通り、風間監督の指導を受けたチーム同士、言うなれば「風間流」同士の対戦は今回初めてとなります。
同じ「目」、同じ「定義」を持ったチーム同士が真正面からぶつかった時にどういう光景が見られるのか、今から楽しみで仕方ありません。
個人的には、どのチームも成し得なかった「川崎Fを90分間自陣に貼り付けにする」事を名古屋にやって欲しいなと思っています。

名古屋グランパスと川崎フロンターレの試合は3月18日(日)19時、NHK BS1にてテレビでも生中継されますので、お時間があればご覧頂ければと思います。

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