ムーヴは車中泊には適さない...らしい。
検索で相当上位に来るサイトで、ムーヴについてそう書かれています。他のサイトを見ても、軽四ならせめてワンボックスとか、いわゆる箱バンでないと十分な空間を得られないとのこと。
一方で、或る車中泊のプロ(?)のサイトには、車中泊のスタイルは人によって違うので一概にこうと言った結論は書けない、という記述もあります。ボクはこの意見に大賛成!

ボクはこれからこのサイトで、ボクの大好きな車中泊という形態での「旅行」について書くつもりだけれど、そしてその中でボクなりに考えた最高の結論について書くつもりだけれど、上記したとおり、「あなたにとって最適解である」という保証はないです。
あくまでも、「ボクにとってはこれが良かったんだけど...」というレポートでしかないです。そのつもりで読んでください。

ではそんな「ボク」とは何者か?その背景を語らずにボクの選択を話しても意味はない、ということで...。
ボクは数年前に田舎町の地方公務員を定年退職して現在は再任用という形で元の職場で月火水の三日勤務で働いています。その結果、この三日を年休で埋めると11連休が比較的楽にとれます。その程度の暇の持ち主です。
この勤務形態は65歳までで、それ以降は晴れて一年中暇な身の上になります。
ただし、年金暮らしとなるのでお金はとても乏しい。
カミさんは庭いじりが趣味で車中泊に興味は全くなく、その代わりボクが何処へどれだけの期間行っても放任しておいてくれます。
そしてボクは単身赴任生活が長くて、カミさんに頼らなくても自炊の作業は不自由なくできます。
ですからボクはもっぱら「一人で、乏しい小遣いをやりくりして」車中泊を行っています。
そしてゆくゆくは一年を通じて車中泊を楽しむつもりです。
これがボクの判断基準の元となっている条件です。

さて車中泊に使う車の選定について、です。
大抵の人は本格的なキャンピングカー(トレーラーとかも!)や、いわゆるバンコン、といった、おおきなくるまが大半を占めているようです。
もちろん車が大きければ大きいほど、「家」としての快適さは上がります。でも、
それに反比例するように、「行動範囲は小さくなる」のです。
郊外の、整備されたオートキャンプ場に、家族や友達を連れていって、テントやタープを張って、テーブルと人数分のイスを置いてバーベキューでもするとしたら、持って行く道具だけでも軽四の車内には収まらない。だから大きい車がいい。こんな楽しみ方なら。

ところが例えば、岬の先っぽの、狭く曲がりくねった未舗装道路の向こうにある小さな漁港とその周辺のひなびた漁業集落を訪ねることは、不可能なのです。
基本的に二車線道路でなければ不安で走れない。だから、そんなところを訪れたい人は、この手の車は、買ってはいけないのです。
ボクはまさにそんなところを訪ねるのが好きなのです。

ということでボクの車、ダイハツムーヴ、フツーの軽四。ただし悪路や雪道走行のためにフルタイム四駆(なんちゃって四駆とも言う)で、冬の間は四輪ともスタッドレスをはいて、念のためにチェーンも積んで、スコップを屋根に載せています。

そんな狭い車で寝られるのか?はい。かろうじて。
助手席側座席をフラットにして、といってもフラットになんかなりませんから、コンパネ(化粧合板)を現場合わせで切って敷き詰めて、その上にキャンプ用の銀マットレスを敷いて固定、その上に寝袋を敷いてその中で寝るのです。長さ170センチ、幅60センチ。狭い!と思われるでしょうけれど、ボクの体はこの寸法以内ですので、全く問題はありません。いつも熟睡しています。

こんな狭い車の中にどれほどの荷物が入るのか?
まず助手席側後部座席の床に、110Ahのディープサイクルバッテリーが2個と、ソーラーチャージコントローラーと120Wのインバーター(12Vを100V交流に変える装置)、
運転席側後部座席の床には小型のプロパンボンベとガス炊飯器とペットボトルの水といいちこ(^_^;)、
運転席側後部座席の上には日曜大工で作った収納付きの調理台兼テーブル、
最後部の荷室には着替え、クーラーボックス(コンビニで買った板氷を入れて冷蔵庫に)、そして三脚とフィールドスコープと7×50ミリの双眼鏡と折りたたみイス一つ、あと雑貨用の箱と調理道具用の箱、
車の屋根には140Wのソーラーパネルと荷物入れと、日よけ用のすだれ。
調理テーブルの収納には1週間は補給しないでいられる食料が入っています。
大まかにいってもその程度のものは積み込めるのです。この車で車中泊は、立派にできます。

・・・狭い場所に入って行くだけなら軽の箱バンでもいいし、その方がはるかに収納力があるのじゃ?

実はこのページで「ボクの場合は」と主張したいのはまさにそこなのです。

箱バンやワンボックスカーではまず第一に、走行時の快適さが違います。
車中泊用の車は、泊まれるだけではなく、走れなければいけないのです。できれば快適に、長距離を走っても疲れないで、高速道路でもゆとりを持って。
・・・それが一つ、
そしてもう一つは、燃費。
この車は少し気をつけて走行すれば、20Km/Lで走れます。箱バンやワンボックスカーではこうはいかない。
年金生活で一年中旅を続けるには1日あたりどの程度の出費に抑えるか、それが一番大きな制限になります。
この車では、相当荷物を積んで、屋根には空気抵抗の大きいものを固定して、それで燃料費込みで一日あたり25百円程度に収まっています。
消費税が上がるという状況で、燃費は車を選ぶのに目をつぶっていては絶対いけない条件です。
・・・ボクにとっては。