ボーリング後私たちはまた、目的地を失っていた。新宿から新大久保まで近いことを知っている私は散歩がてらに行こうと提案した。

私「新大久保まで歩こうー。」


時刻は既に6:00
蓮「いいよー。」

愛華「蓮くん眠くないの??」

蓮「大丈夫だよ。いつもアフターこんなぐらいの時間になるし。」


私「でも私らに付き合ってもなんの得もないよ?お金もないし。」
私はこのようなニュアンスの言葉をこの先何度も言うことになる。


蓮「いや、そんなんじゃないって。楽しいからいるだけ。」


愛華「ほんとかなあ。」


本当にわからない。正直ボーリングでバイバイでも全然構わないし、散歩という無駄な時間を共に過ごす意味もわからない。

 

愛華「やばーい。流羽くんからライン来た♡【行けなくてごめん】だってー」


愛華…♡がついてるよ…
愛華は私をよそに流羽くんとラインをしながらまた前を1人歩いてる。


私「あ!TOHOシネマだー。めっちゃ綺麗ー。映画みたー。」

蓮「俺も映画みたいー。シン〇〇〇とかとくに。」

私「私もそれめっちゃ見たいって思ってた。」

蓮「んじゃ観に行こうよ!」

私「でも今空いてないー。」

蓮「んじゃまた今度!」


今度があるのかわからなかったがとりあえずいいよと言っといた。


10分ほど歩くと東新宿駅にを通った。
ここ、俺の寮。と蓮が説明した。


普通ホストが自分の住んでる場所を明かすのか。嘘だろうと疑いながらへえーと返事した。

  
街並みがだんだんとハングル文字や漢字の連なる看板を掲げるお店が増えてくる。


愛華「ねえ、新大久保じゃない??やっと着いた!!もう足痛い。」
と前を向きながら叫んでいる。

前を向くままの愛華に
私「あと、もうちょっとで駅だよー。まっすぐ行ったら。だから頑張ってー。」



とそのとき、蓮に思いっきり手を引っ張られた。


私「ェッ?!」

突然のことで何が起きたのかよくわからなかった。



私は、握る手の先にいる蓮の顔を思わず見返した。