長年連れ添った音楽仲間と後輩がSNSで自分の音楽史なるものを書いていて面白そうだったので俺も書いてみようと。
久しぶりに書こうと思ったきっかけではあるが、オルタードスケールの話はまたもや先延ばし。
悪しからず。
・３歳（４歳直前くらい？） 母に連れられてピアノ教室へ。
『やってみるかい？』との問いかけに、全く興味はなかったが「ここでNOと言えばお母さんと、このお姉さんが険悪になる」と思い、苦汁を呑んで「やってみたい」と。
恐らく人生初の嘘。
生まれて初めて覚えた「憂鬱」という感情を毎週抱えてのレッスン。帰りにジャンプを一冊丸ごと立ち読みする事で精神を保っていたが、１２歳でショパンの「小犬のワルツ」をマスターする事を条件に辞める。
・１１歳 好きなコと隣の席になったが、今と中身が何も変わらない僕は気持ちワルがられて席を５cm離される。担任に授業中ボソボソと毒を吐き続ける事で笑いを取り、机の距離は無くなったが、人として間違っていると思う。『私、福山がすきなんだぁ』という隣のコの言葉を聞き、「フクヤマ」というモノがギターを弾いて歌っているという事を知り、父親のアコギを引っ張りだしギターを始める。
・１２歳 Fが抑えられないなんてベタなことはなかったが、B♭の抑え方が、薬指でセーハしても良いし、全部の指を使っても良い、という曖昧な世界に納得出来なくてギター辞める。
・１３歳 GLAYがすっごい人気になってて「あんなもんでも人気出るんだ」と初めからナメて掛かって、叔父さんのテレキャスを譲り受け再びギターを始める。
・１４歳 ヤンチャな友達が「GLAYなんか弾いてんのかよ！上手くなんネェゾ！」なんて言うもんだから、「じゃあ何がひけんだよ？」といったら、返す刀にSIAM SHADEの「No!Marionette」を弾き倒されてひれ伏す。今でも一番の師は彼だと思っている。
数ヶ月後その友達にラルクの「虹」を完璧に弾いてみせた所、次の日の休み時間にたまり場のトイレで「こいつはピッキングが上手いらしい」と話題になり有頂天になる。
・１５歳 高校に上がり友達にMR.BIGのベストアルバムを聴かされ、そこから洋楽HR/HMにハマる。腱鞘炎になりかけて回復したらコロラドブルドッグが弾けるようになっててまた有頂天になるが、誰も理解してくれない。
・１６歳 モテるために始めたギターだが全くモテず。何を勘違いしたか「もっと上手くなればモテる」と間違った感情を持ち、SIAM SHADEのコピーバンドにも関わらず、ライブでは１曲目で一人でステージに立って、VAN HALENのeruptionを弾くという暴挙に出る。
・１７歳 後にジュノンボーイになりかけるベビーフェイスな友人ができ、ギターライバルとなる。どっちがイングヴェイを速く弾けるか、を競い、俺が６弦スウィープにタッピングを織り交ぜた所、そいつがドリームシアターに逃げる事で勝ちを確信した。
・１８歳 大学に入り現VAPORLOCKのメンバーである、佐藤マサヒロや宮田氏と出会い、好き勝手やりたいバンドをいつでも出来る、というぬるま湯に浸る。
そして、ヤングギターによく載ってたギタリストに師事する。
・２０歳 先輩にレイヴォーンのDVDを見させられ、今までの自分の過ちに気づく。
・２１歳 金が無くバークリーにも行けない。マニアックなプログレテクニカルギターに興味はなくなり、ブルージィにギターを弾くようになった。
その頃、人柄が悪く、次々とプロの仲間が去って行った我が師は、単なる「日本一のギター講師」に成り上がり（下がり？）、俺はその元を去る。
・２３歳 地元の友人をシンガーとして、そこから２年間、アコースティック・デュオを始める。
自分で設定した、「男版Fried Pride」という高過ぎるハードル。それについて来れなくなる相方。
お茶を飲もうとして立ち上がっただけの俺を見て、殴られると勘違いして顎をガードした相方を見て「もうやって行けない」と悟る。
・２５歳 単身ギターの仕事を探しまわる。
講師もやったりしたが、「何で出来ネェンダヨ！？」が顔に出てしまうし、人の事が嫌いになりそうなことの連続だったので、人にギターを教えるのを一切やめる。
オーディションという名目で行ったら、騙されてネットワークビジネスに誘い込む団体に出会う。
猫をかぶって全員に敬語を使い、自分が一番嫌いな世界を体験調査してみる。
ただ、建前だけじゃなく、一応音楽活動も運営しているみたいで（形はどうあれ）、そこから素敵な出会いもあったのは事実。未だに付き合いのある連中はいい人ばっかりで、そう言う意味では感謝。
・２６歳 サポートギタリストとしてとあるバンドに加入。
そこのシンガーの女がアレンジを手伝って欲しいと雨の中ウチに来る。
正直メールでも出来ることなのにせっかく来たんだからと飯を出したらそれをブログに載せやがる始末。それ以降他メンバーからの風当たりが強く（特にもう一人のギタリスト）疑問に思う。
どうやらその女ともう一人のギタリストは付き合ってたらしい。
どうせ何もしてないのに変な誤解で嫌われるなら、ベロチューして乳首でも吸ってやれば良かったと怒りがこみ上がるが、ライブハウスでの楽屋でのそのコのスッピンを思い出す事ですぐに落ち着くというシステムは構築済み。
仙台のライブでは生前のTAIJIさんと対バン。その一年後にニュースで衝撃を受ける。
因に、そのボーカルの女に貸した漫画はまだ却ってきてない。
同時期に、とあるバカ売れしたゲームのBGMを作るというきっかけでアレンジの仕事を始める。
数日間寝ずにパソコンに向かい、飲み会にも遅れながら本屋でミックスやマスタリングの立ち読み勉強をしてなんとか身につけてアレンジのOKをもらう。
メジャーデビュー時に、尾崎豊のご両親から手紙を頂いた程の尾崎好きのシンガーソングライターがいた。「本物の音楽がやりたいんだ！」といってメジャーから去り、アレンジを全て俺に任せてくれた。そしてプロダクションを立ち上げたらしいが、ヘンテコなアイドルばっかり抱えてるその事務所は最近はメールの返事が遅い。でもいい人だから俺は好きだ。
・２７歳 プロより本気でやる（ただしマイペース）最高のアマチュアバンドを作りたくて、気の合う仲間と共にVAPORLOCKを結成。自分の力だけで、できるだけ非営利目的でやりたかったが、そのコンセプト自体ふわふわしてて難しく、現在は来年のゆる～いライブに向けてアマチュアにしか出来ないクソ楽しいライブを計画中（個人的に）。
・２８歳 知り合いのベーシストの紹介で、その師匠の方とちょっとしたツアー（というより地方巡業）で静岡、名古屋を回る。人のバックでギターを弾くという事に一番疑問を持っていた時期だが、大好きな友人ベーシストからの紹介だったので頑張ってみる事に。しかしやはりその時期の俺のギターというのは今思えば一番芯のない音で、もちろんミスだらけでそのプロジェクトからは外される事に。
その師匠の方というのが日本のとんでもない大御所の方で、そんな俺に対しても「お前はこんなところでギターを弾いているヤツじゃないんだ。もっと色々経験しろ！もっと太い音を出せ！！」と言ってくれた。
そしてギターを弾くという事は、「ギタリストの為にギターがあるんじゃない、ギターを良い音で鳴かせてあげられるのがギタリストだ」という原点を思い出し、ピックアップを全部ヴィンテージ系に変えたらギター弾くのが楽しくなった。そう言う事じゃないんだけどね。
・２９歳 VAPORLOCKのライブで長谷部文昭というシンガーと出会う。
ウチのマサヒロが惚れ込むほどすげえシンガーだ。
そしてヤイリーズという企画ものユニットを結成して、やりきった。
先輩ギタリストの紹介であるバンドのサポートギタリストに。
驚いた事に先に述べた友人ベーシストもメンバーだった。ギタリストもそのベーシストと別のバンドをやっていて、SNSでは面識があった。
正直、俺のギターが必要なのか？他のギタリストでも良いんじゃない？
なんて思う事は多々あるが、それでも俺なんかを（多分）すこしでも必要としてくれるいい人達だし、大好きなメンバーだ。
俺の個性は出し難い場所だが、それでも頑張ろうと思えるのはきっと価値のある事をやっているんだろうと思う。俺の個性が出し難いんじゃない。俺が下手なだけなんだ。と。
一番心に留めておくべき気持ちだね。
今日は因みに横浜ベイジャングルでライブだ。こんなこと書いてる場合でもない。
・３０歳 長谷部の紹介で福士肇というドラマーと出会う。
ウチのマサヒロが惚れ込むほどすげえドラマーだ。俺と長谷部ももちろん日本一好きなドラマーだ。
長谷部がオオクスコウジというベーシストを見つけてくる。
来週初めて音を聴ける。楽しみだ。
はい、最強バンドの出来上がり。
振り返ってみると、音楽がやりたくて東京に出てきたのに、結局本当にやりたい事をやれていなかったのかもしれない。
それらしい事は沢山やってきた。
それでも「何か」を諦めずにやってきた。
楽しかったし苦しかった。
その結果、今一番やりたかった事がやっと出来そうだ。
誰に向けてか分からんが、ありがとう。