シェリー酒の造り方① 〜フロール〜 | シェリー酒・ワイン 元ソムリエのひとりごと

シェリー酒・ワイン 元ソムリエのひとりごと

高級ホテルで8年間ソムリエをしていました。
飲食のうんちく、ノウハウをつぶやいています。

おはようございます!!
木村です。



今日は、シェリーの造り方について、
お話したいと思います。



個性的なシェリーの味わいを
決定づけているものは、
以下の要素なのです。



①フロール(産膜酵母)
②酒精強化
③ソレラシステム




なんか難しそうな言葉ですね^^;





今日は、シェリーを語るうえで
最も重要な要素である、

①フロールについてお話します。



シェリーを造るには、
まず通常の白ワインを造ります。

そしてそのワインは11月頃まで、
樽に入れたまま静かに置かれます。

すると!!




ワインの表面に、

カッテージチーズのような、
おからのような、

モロモロした白いものが
膜となって張ってきます。




これが「フロール」です。

ここからは、
ちょっとお勉強タイムですよ^^



酵母には色々な種類があり、
中には発酵が終了する頃に

活動が活発になり、
ワインの表面に浮かび上がって
膜を形成するものがあります。

これを「産膜酵母」といいます。





フロールとはスペインのいくつかの地域での、
この産膜酵母の呼び名なんです。


フロール=花。
おしゃれな呼び方ですね^^




フロールの働きは2つ!!

ひとつは、

糖分やグリセリンなど、
甘味を感じさせる物質を、
せっせと食べてくれること。




だから、辛口のシェリーは
とてもドライです!!

そのうえ、このフロールは、
ワインに独特の風味を与えてくれます。

へーゼルナッツや胡桃のような、
なんともいえない、良い香りです^^


シェリーの独特の風味は、
このフロールの働きによるものなんですね^^






もうひとつは、

ワインが空気に触れるのを
防いでくれるというものです。



フロールの写真をもう一度見てください。


ワインと樽上部の空気の間に膜を張って、
酸化から守ってくれていますね。



そのため、フロール下で熟成されたシェリーは、
その白い色が保たれ、独特の風味を持ち、
ドライでキレが良く、フレッシュなのです。


このように、フロール下で
熟成されたシェリーのタイプとしては、

フィノ

マンサニーリャ


というものがあります^^


これを読んでくださる方の中には、

このタイプのシェリーを
飲まれたことがある方、

多いと思います。

(ティオ ペペが有名ですね^^)



今日のように暑い日には、
キンキンに冷やして
グッと喉に流し込むと最高ですね。


ところで、

以前、私は中国料理のレストランで、

紹興酒のような風味のシェリーを
オススメしたというお話をしました。





あれ?

上に書いてあるようなシェリーと
違うやん!?




おっしゃるとおりです!!





辛口シェリーには、

フロールとともに熟成させるタイプ

発生したフロールを消失させて、
あえて酸素に触れさせて熟成する
酸化熟成タイプ


があるのです^^




私が主に中国料理店で
サービスしていたシェリーは、
酸化熟成タイプにあたります。

このタイプは、
紹興酒に似た風味を持つのです。



発生したフロールが消失??
なんじゃそりゃ??


ここからは、
②の酒精強化のお話ですので、

また次回に。






今日は、シェリーに独特の風味を与えてくれる
「フロール」の話でした^^




最後までお読みくださいまして、
ありがとうございます。