Azami「Lilac」 | Rotten Apple

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[Japan,MelodicHardcore]

01.ヘイトスピーチ
02.言葉響く夜
03.碧
04.あの日の約束
05.Lilac


個人的な話になるけれど、北九州に住んでいると嫌でもハードコアのライブを観ることになって音楽遍歴のひとつとして刷り込まれる。特にIZPの存在は大きくて、Within The Last WishTo overflow evidenceなど全国のバンドがツアーで北九州を訪れていたため、他の土地に比べて叙情派ニュースクールは大きな支持を得ている。
しかしIZPや期待の若手として名前のあがっていたOrdealFlag recollectなどが活動を止めてしまったため、その期待を今一点に背負っているのはuniverse last a wardだろう。先日行われた彼らの企画「Start Today Vol.2」は本当に素晴らしいイベントだった。BROKEN RUST511といったオールドスクール勢に加え若手プログメタルコアPaleduskなど多彩な出演陣の中でも、若手叙情派ニュースクール勢のインパクトは凄まじかった。各々のプライドと強い思いが詰まったライブは、横の繋がりとともに何かが始まる予兆めいたものを感じさせた。その中でも特に印象的だったのが越谷のAzami。彼らの1stミニアルバム「Lilac」を遅ればせながら聞く限り、その予兆めいたものは気のせいではなかったと感じてくる。

先行公開された「ヘイトスピーチ」というフラストレーションがぶちまけられた一曲で期待度は高まっていたが、アグレッシブさを見せつつもアルバム全体的には叙情性に満ちたピュアネスなサウンドが展開される。
スラッシーで疾走感ある始まりからは想像できないメロディアスなクリーンへと展開する「言葉響く夜」。「あの日の約束」で歌われる内容はライブハウスでの仲間たちとの再会についての曲と解釈していいだろう。そして先行配布されていた「」は、すべてにおいて涙腺を直撃するドラマティックな展開が本当に素晴らしい。
キャッチーであることを厭わないメロディとエモーショナルなボーカルで乗せる日本語詩。叙情派ニュースクールは日本語ロック好きにも刺さると以前から感じていたが、まさにAzamiは良い意味でその窓口となってくれそうだ。

叙情派ニュースクールは、フラストレーションとピュアネスの狭間にある感情を強く音に乗せているジャンルという感覚を持っていた。だからこのジャンルのライブは暴れる客、泣きながら歌う客、何も出来ず棒立ちになってしまう客などが混在するのだろうと。それを考えると「Lilac」というタイトルは、Azamiというバンド、そして叙情派ニュースクールというジャンルをうまく現した素晴らしいタイトルだ (ライラックの花言葉は純潔・美・誇り・友情・青春の思い出)。
越谷からAzami、滋賀からBRING ME BACK、北九州からuniverse last a ward。知らないだけでまだ他にもいるのかもしれない。若手叙情派ニュースクールが何やら騒がしくなってきた。