スペイン王国陸軍の制式自動拳銃はベルグマン・ベヤード(参照)でしたが、実戦での使用の結果、不十分と判断され、新しい自動拳銃を制定することになりました。候補になったのはカンポ・ギロ伯爵だったヴェナンシオ・ロペス・デ・セバリオス・イ・アギーレが1904年に特許を取得した自動拳銃でした。この発明をもとにスペイン陸軍はカンポ・ギロ M1912として制式採用しました。この自動拳銃は9mmラルゴ弾(9X23mm)を使用するもので、弾倉には8発のラルゴ弾を装填することができました。9mmラルゴ弾という強力な実包を使用するため、ストレートブローバックではなく、スプリングで遊底が後退するのを遅らせたディレード・ブローバック方式が採用されました。このカンポ・ギロはアストラM400(M1921)に取って代わられるまで、スペイン陸軍の制式自動拳銃として使われました。アストラM400(参照)も9mmラルゴ弾を受け継ぎ、9mmパラベラム(9X19mm)よりも強力な拳銃をスペイン軍は採用していました。このため、スペイン内戦までカンポ・ギロはアストラM400とともに使われることになりました。
このようにスペインではかなり知名度の高いカンポ・ギロですが、映画にはほとんど登場しないようです。調べてみましたら、フランコ・ネロ主演の「ガンマン大連合」(1970年)で主人公に使用されているようです。ちなみに、この映画は原題が"Companoeros”(同志たち)で、メキシコ革命を描いたものですが、邦題はかなりかけ離れたものになっています。