近所の真っ白い秋田犬、こまち。星になった。


もうすぐ16歳だった。


初代ランボーロッキーと同じ歳で、がんばってきたんだよ。


生まれつき右目は失明していて、その目はまるでハスキー犬のようなブルーだった。



夕立の時の雷雷で、脱走して私に確保されたこと十数回。


散歩の最中に脱走し、うちに来たこと数回。その都度連れて帰った。(^_^;)


でっかいのに、おちゃめな可愛いこだったな。


家人以外の人は一切さわれないけど、なぜか私だけはOKということ。


自治会などの用事で訪ねると、おばあちゃんや奥さんが「やっぱり○○さんだった!」と言って出てくる。


来客や、家の前に停まった車、立ち止まっている人に、こまちはギャン鳴き。いなくなるまで吠え続ける。


こまちが鳴かずに呼び鈴が鳴るのは、家族か私だけだそうで、驚いた。



こまちが仔犬の頃は、畑でランボーロッキーとよく遊んでいたもんな~


そんな話を夫にすると、


「え?俺だってよく遊んだよ~。俺だって大丈夫だよ。」


ってことで、自治会回覧板を持っていってもらった。


こまち、案の定吠えて、夫がしゃがんで手の甲を出して匂いを嗅がせようとしたら、


「カプッ」っと噛まれたそうな。(^▽^;)



こまちの成長とともに、家族の生活も変わってきて、子どもたちは社会人になり、


こまちは朝から夕方、晩まで外で留守番になった。


シニア犬だし、長い時間の留守番で、お○っこもウ○チもしたいだろう。


ひんひん鳴いていることもよくあり、ラボロキの散歩の際に通ると声をかける。


「こまち、お○っこは?お○っこしていいよ」


すると、待ってましたとばかりにジョ~~ッとやってウ○チもした。


ウ○チは取って、お○っこした砂利には水をかけ、水飲みボウルに新しい水を汲んでやる。


余計なお世話なんだけど。



つい最近まで歩けていた。


うちの前を散歩で通ると、声をかけて少し一緒に歩く。そんなこともしていたが、


一昨日、とうとう立てなくなった。水も飲まないということだった。



口を大きく横に開き、険しい顔をして呼吸している、と散歩から帰った夫から聞き、様子を見に行った。


「こまち。」と声をかけると反応がない。


もう一度「こまち。」と声をかける。すると頭を上げてこちらを見た。尻尾が少し揺れている。


水飲むかい?と、持っていったスポイトで冷たい水を口の横から注ぎいれてみる。


よ~し、ひと口飲んだ。


顔をやさしく撫でてやる。いつもの甘噛みがないのがさびしいよ・・・



そして昨日の朝。ランボーロッキーと散歩途中に寄ってみる。家人は留守だ。


餌も食べないからだろう、置いた形跡がない。新しい水が顔のそばに置いてあったが、


自分で飲む力はない。


「こまち。おはよう。」というと、頭は上がらなかったが、目は私を見ている。


「いままでありがとう。もう頑張らなくていいんだよ。こまちの行きたい時に行くんだよ。


こまちのこと、忘れないよ。」


そういって、頭からお尻までゆっくり撫でた。



夕方、帰ってきて、こまちのところに行くと、旅立っていた。虹


家人は留守だったので、ロとラのバスタオルで覆った。



今朝の散歩時に寄ると、こまちはそこにおらず、おじさんが出てきた。


「もしかして、バスタオルかけてくれたよね?」と聞かれ、


「あ、はい。余計なお世話でした。ごめんなさい。」という。


「いやいや、とんでもない。どうもありがとう。誰も見送ってやれなかったんじゃないかと思うと


可愛そうだったけど・・・どうもありがとう。」


そう言われて、少しほっとした。


咎められなかったというのも少しあるが、家人がこまちを気にかけていたことがよくわかったからだ。



今頃は、野原で、うちの初代ラボロキと思う存分走り回っているんじゃないか、と思う。


青い空がまぶしいよ。