日曜日。

7時過ぎから猟犬が数頭吠えている。

バス停あたりで数台の車が止まっていて、中には猟犬が乗っていて血気盛んに吠えていた。

今日はうちの川向うの山だな。


8時からの市民清掃で道路の落ち葉掃きなどを終え、次は当番の自治会館掃除。

それも終わって家へ戻る。片づけなどしていると、いきなりの銃声だ。2発・・・かなり近い。

人家があるっていうのにずいぶん近いところで打つんだな(-_-;)


勝手口からそっとデッキに出ると、裏の川で水音がした。

鹿だ!

          川の中に身をひそめている・・・見たところ若い牡鹿だ。角も小さめ・・・

          岸の茂みに頭を突っ込み、じっとしている。呼吸が荒い、手負いの鹿だ。


ハンターがその場で仕留めず、傷ついて逃げてくるのはせつない。

川に逃げてくるのは、自分の匂いが猟犬にわからないようにするためのようだ。


しゃがんで音も立てず、息をひそめて鹿を見ていた。

間もなく、猟犬の吠え声が近づいて来た。

早朝に車に乗っていた、プロットハウンドらしき猟犬だ。鼻を使いあっという間に近づいてくる。

そして岸づたいに鹿を見つけて吠える。

ああ、見つかっちまった・・・


猟犬は鹿とのスペースを保ちながら、吠え続ける。

牡鹿が犬に向き合う。
                       犬に角を向けて立ち向かった!

                             猟犬もひるむ。

     牡鹿は真正面から頭を下げ、角を犬に向けて立ちはだかる。猟犬は視線を外している・・・

いきなり、パーン!と銃声が響いて鹿が倒れた。ああ・・・

隣の家の裏庭から猟師のおじさんが出てきて、立ち尽くした私の心中を察してか、

「すみませんね・・・手負いだったから。あのままにしておくと危ないからね。」という。

「そうかもしれないけど、おじさん、それにしたって近すぎる。ほとんど人家だよ!」

思わず言ってしまった。


平謝りしてはいたけれど、猟犬が追いだした鹿やイノシシを、

仕留めるのならその場で仕留めてほしいと思う。

手負いで逃げてきて・・・というのは、切ない。


                    猟犬が嬉々として牡鹿に食いついている。

         腹の柔らかいところに懸命に噛みつくが、肉にはありつけない。毛をむしるのみ。 
            

                       数人がかりで牡鹿を引き上げる。

                        小さめの牡鹿と言っても重い。

                   3人がかりで運ぶ。車に乗せて上流に向かう。

                   上流で皮をはぎ、解体するのだ。


イノシシや鹿(猿も)が増え続け、農作物などを荒らして問題になっているのは事実。

では、そうなってしまったのはなぜか・・・?



自然・地球の美しさ、神秘さに驚く心。感動する心、畏怖の念、

命をいただいている、ということの喜びと感謝。
心がこれらを見失わないよう、支えとなってくれるよう、山の神さまに祈った日曜日。