お母さんが甘えられるように、子供が夜泣きをしていた話 | やまびこDr.の診療日記

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薬よりもっと大切な事をお伝えする小児科医のブログです。

毎月、大阪府交野市(かたのし)の岸本助産院で、乳幼児健診をさせてもらっています。

 

先日の健診でのお話です。

 

岸本助産院で出産された方は、「お母さんの思った通りにやれば大丈夫!」と妊娠中から背中を押してもらっているお母さんばかりなのですが、でも実際我が子を目の前にすると色々心配になることも多いため、色々な質問を頂きます。

 

体は完璧にできていて、お母さんに手助けしてもらいたい時にはお子さんはちゃんと症状を出して教えてくれる(と感じている)ので、赤ちゃんが「大丈夫です」と言っているなと思ったら、そのままお母さんに「大丈夫ですよ」とお伝えしています。

 

最初から聴診などをすることはなく、まずは雑談をすしてお母さんも赤ちゃんも緩んできたところで、聴診や触診などを赤ちゃんにさせてもらい、その後数秘を交えてお母さんとゆっくりとお話しをすることで、心配事などを聞いていきます。

 

 

昨日10ヶ月健診で来られたお母さんがくれた質問が、「先日クループで2週間入院したんですが、それまでひどい夜泣きだったのがそれ以降ピタッと止まったんです」という内容でした。

 

それまで大泣きしていた理由を探っていったのですが、引っ越しや転職といった環境の変化はなく、夫婦仲もよく人間関係にも問題なく、それ以外にもこれと言った理由は見当たりませんでした。

 

そこで、クループでの入院の経過を教えてもらいました。

 

最初の病院ではあまり良くならず、1週間した所で転院となり、2つ目の病院で良くなったとのこと。

 

2つの病院の違いは何かをお聞きしたら、「1つ目は私が付き添っていたのですが、2つ目の病院は付き添い不要の病院だったので、久しぶりにお風呂に入れて、久しぶりに暖かいご飯がたべられたことです・・・」と涙ぐみ出しました。

 

多くの病院では、お子さんの入院には家族が付き添います。

でも、付き添いの方には食事も出ないしお風呂も入れないので、病院の売店の冷たいものばかりを食べていたそうです。

 

久しぶりに食べた暖かいご飯って何でしたかとお聞きしたら、「お母さんの作ってくれたおにぎりです」といい、涙があふれだしました。

 

そして「その後お母さんと一緒に温泉に行ったんです」とも。

 

二つ目の病院で付き添いをしなくて済むようになって、初めて誰かに頼ることができてお母さんにも甘えられたのです。

 

入院前はとにかく一人で何でもしようとして、全てを抱え込んで苦しんでいた様です。

 

つまり、お子さんはお母さんが一人で抱え込めない程のひどい夜泣きをすることで、お母さんに「誰かに頼る」ことをさせしようとしていたけれど、中々頼ろうとせずさらに抱え込んで苦しんでいたので、クループになって入院することで頼らせようとしたのだけれど、それでもまだ頼ろうとしなかったので、付き添いのない病院に転院する事態を引き起こし、無理に頼らせるように仕向け、やっとお母さんが頼って楽になったので、お子さんは満足してクループも夜泣きも治った、ということなんじゃないかなとお話ししました。

 

お母さんはその話を納得された様子で、そして何より当の赤ちゃんはその話をしている間、言葉にならない言葉を一所懸命ゴニョゴニョ言っていて、「そうそう、そうなんだよ!」と言っているように見えました。

 

こんな感じで乳幼児健診をやっています。

希望者は、岸本助産院までご連絡下さい。

 

山梨(やまびこ診療所)でも乳幼児健診はしています。

その場合は、横地までご連絡下さい。(yamabiko.dr@gmail.com)