アルティメット人狼10・第3部・第2戦(10-6) 振り返り①【試合開始前】 | 古川洋平のブログ

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こんにちは、クイズ作家の古川です。

この度は私のブログを見に来てくださって、ありがとうございます。

 

さて、この記事は2019年5月に行われた人狼イベント『アルティメット人狼10』の振り返り記事です。

全6戦、素晴らしい試合が行われた本イベント。私は2試合出場し、2試合目でMVPを頂くことができました。これもひとえに応援して下さる皆さんのおかげです。ありがとうございます。

 

すべての試合、プレイヤーが素晴らしいイベントでしたので、本来であれば順を追ってすべての振り返りをしたいところなのですが、時間の問題などもあり、後々可能な限り書きたいことを前提に、まずは自分の最も頑張った試合について書きたいという、非常に手前味噌な記事にお付き合い頂いているということをお許しください。今後一生無いことかもしれないということもあり、この時の心情、思考を、私本人が忘れないうちに書き留めておきたいという気持ちがありました。

 

今回記しますのは、「私がどんな気持ち・考えでこの試合を戦ったか」です。

Twitterなどでも「なんであのときこうしたの?」という質問をいくつか頂きました。

それぞれの行動には、私なりの考え(間違いを含みます・笑)がありました。

しかし、それは開示さなければ知られないままですし、特に人外の時の思惑は、後にタイムシフトなどで推測はされても、本番中に本人から詳らかにされることはありません。

そこで、試合中の思考開示をメインに、記事を書いてみようと考えた次第です。

 

長文乱筆の限りかと思いますが、お目汚しお許し頂きつつ、当日の熱狂の余韻を一部でも、「なるほど」に昇華して頂けたら幸いです。

 

このような触れ込みで始まっておきながら、この「振り返り①【試合開始前】」では、試合中の思考開示はありません。試合中の思考の根幹となる、「試合前の思考・感情」を、まずはお伝えしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

(アルティメット人狼10全体のネタバレを含みます。まだタイムシフトなどをご視聴されていない方は、ご視聴の上でこちらの記事をお読み頂くことをお勧めいたします)

 

 

 

【襲撃の前後に】

「よそ行きの投票をしたな……」

数分前の自分の行動を悔やみ始めた時、僕はGMに肩を叩かれた。
アルティメット人狼10、第3部、第1試合。
村人を引いた僕は、初日に人狼のマドックに誘導され吊られかけるも、何とか回避し生きながらえた。

そして迎えた3日目。

そこまで真霊媒だと考えていたダンカンさんに僕は投票した。
線としては薄いが、彼が人狼の時のみ、そのまま村が負ける可能性があったからだ。
信条としては信じいるが、アルティメットの舞台で丁寧さを欠いて負けるのが嫌だった。

ダンカンさんの遺言を聞いて、やはり真だと思いなおした夜時間。
自分が「信じている役職者に投票した」ことが、本当に良かったのか考え直していた。

人狼をやるようになって4年が経つ。人狼仲間の中では歴は長い方になり、それに伴ってアドバイスを乞われることも多くなってきた。その際に伝えていたのが「信じる人に投票するのは無意味」という理論。

信じている人に投票する一票を、人狼を吊るための一票にしようという考え方だ。
ただしこれは、いわゆる「リスクヘッジ」--もし自分がその日までに間違えた推理をしていても勝てるための思考--とは真逆の考え方だった。
直近1年、人狼をプレイする機会を増やすことで、僕はリスクヘッジの大切さを噛みしめる機会も増えていたし、そういうプレイが好きな人が実際に多いこともわかっていた。

話が戻ってアルティメット人狼10。もはや生ける伝説となりつつある大会の記念すべき10回目の大会で、僕は信じている役職者に投票した。これは、今までの自分の信条よりも、「丁寧さ」「無難さ」「失敗した時の傷の浅さ」を取った、いわば逃げの手でもあった。

もちろんこの選択を支持してくれる人もいるだろう。ただ、自分らしくないなと思った。

完全に「この大舞台の記念すべき日」を考慮した「よそ行きの投票」だった。
翌日になったらダンカンさんとデイジーの真を全力で推そう、と思った時、僕は狼に襲撃された。

結果、試合は人狼陣営の大逆転勝利。デイジーにMVPをあげたかったし、ダンカンさんの意志を継ぎたかった。

何より、自分の納得のいくプレイが出来ないまま、貴重な1戦が終わってしまったことが残念で仕方なかった。

次の2戦目、自分らしい人狼と、視聴者・観客の皆さんが見たがっていた「アルティメット人狼」を、必ず取り戻すと、心に誓った。

2戦目のカードが配られた。僕が引いたカードは「狂人」だった。



【とろろちゃんの活躍】

時を1日巻き戻す。アルティメット人狼10、第1部、第1試合。
この試合で七海とろろが残したインパクトは、まさに絶大なものがあった。
華のあるプレーと、終盤での的確な推理、面白すぎる白アピール。

「顔芸」とも評される彼女の独特な魅力が、舞台全体から伝わって来た。
結果、MVP投票では彼女が選ばれ、初出場ながら「第1部の顔」になった。

果たして自分は、彼女のようなプレーができているだろうか、と思った。
人狼ゲームは、人狼歴がいかに長いか、ゲームの勝率がいかに高いかだけでは測れない部分があって、それが舞台の上に立つことで増幅されると感じていた。

とろろちゃんのプレーは、熟練のいぶし銀的な立ち回りでは無かったが、たしかに観客の心をつかんでいた。

「今のままの自分では、見ている人を楽しませられないのでは……」
初登場の時には多少認めてもらえた「議論のキレ」みたいなものも、4回目でその神通力に頼るのはあまりに脆く。正解にたどり着けば噛まれるという当然の摂理で印象も薄まったりすることは明白だった。

熟練味がある中で、新鮮さを失わず、観客をアッと言わせるような、マドックのようなプレイ。

憧れが募るが、それをとろろちゃんが等身大で体現しているようで、焦りに似た感情を、客席の隅で感じていた。

そして僕は決めた。
「本番では、村力全開でいく!」

この言葉の意味。僕は「村人の時は強いけど、人外の時はすぐわかるんだよな~」とよく言われていた。

村人の時にしか発揮されない、嘘のない推理と論調が、村人として輝いていたのがアルティメット人狼7の頃だとするならば、それだけで立ち行かなくなってきたのがアルティメット人狼9の頃。そこから意識改革を行い、僕は「村力の抑制」を行ってきた。
推理は的確にするように努めるが、「村っぽさ」で勝負しないようにしたのだ。理論が合っているから信じてもらえる。このベースを作れば、人外でも同じように振舞える可能性があがる。現に2019年からつけはじめた勝率ノートでは、150戦して、人外勝率が、村役職勝率を上回っていた。むしろ「古川は人外の時全然わからないけど、人間の時に倒すのは簡単なんだよな~」に数字上はなっていたのである。

しかし、とろろちゃんの活躍を見て、ギアを変えることにした。今後再び、村力の差で人外を見破られることがあろうと、今回は村でキレキレの推理を披露して、見ている人を楽しませるんだ!と。

その結果が、1戦目の、薄いケースを追ったケア投票からの敗北であった。結果がついてこなかったことより、前日の決意を持ち続けられなかった自分への後悔も強かった。キレキレの真逆、ぬるぬるの投票で、試合を盛り上げるなんておこがましい、中途半端な姿を見せてしまった。

僕の家は無宗教なのだが、もしも人狼の神様というものがこの世に存在するのならば、「もう1度人狼を推理して、信じる人を信じて勝て」と言われていたのかもしれない。「狂人」は人狼を推理するという点で「村人」と同じ特性を持つ。リベンジカードは陣営こそ違えど、推理するということに代わりはないものだった。

 

「推理でした後悔は、推理で取り戻す……!」
僕は決意を固め、第2戦の行われるステージへと足を運んだ。

 

(つづく)