アルティメット人狼10・第3部・第2戦(10-6) 振り返り②【1日目】 | 古川洋平のブログ

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クイズ王/クイズ作家・古川洋平のブログ。
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【僕は占い霊媒師】
いよいよ第2戦目が始まった。自分が引いた役職は狂人。狂人の仕事は「人狼のサポート」だ。
では、具体的にはどんなサポートをするか。

①確定情報を増やさせない
僕が大事だと思っている狂人の仕事に、確定情報を増やさせないことがある。
例えば占い師が1COだった場合、その結果は真実として狼を苦しめることになる。
乗っ取りの1COが強いのは、まさにその逆の意味だ。偽の情報が村を苦しめる。
だから、役職の1COなど、情報が搾られる局面では、自分の命をなげうってでも、狂人は働くべきだと考えている。

②人間を処刑する
人狼ゲームを、人狼陣営側の視点で捉えると「人間に3ミスさせるゲーム」と言い換えられる。人数比的に、人間は3ミスをすると負ける。だから、そのミスを起こす存在になれば良いのだ。これが目的。
そしてその手段として「予言騙り」「霊媒騙り」「投票」などで事実をゆがませて、村を混乱させる。

この2点を効率良く行うことが、狂人に求められる条件だと僕は思っている。

その場合、狼にとって最も都合が良い狂人は何か。それは「状況に応じて、人狼がして欲しいことをする狂人」である。
自分も含め、たまに「予言を騙ることを決めている狂人」というのがいたりする。これは結果的に狼を助けることもあるが、3COになってローラーを始めさせてしまうなど、「この状況で予言は騙らないで欲しかった……」と人狼を困らせることもある。
つまり、人狼が欲しいのは、飲みたくなったらお酒、眠たくなったらベッド、次から次へと差し出すあなたなのである。この文章の意味がわからなかった皆さんは、お父さんお母さんに聞いてみてほしい。親子の会話が増えることを願う。

僕はこの「都合良い女(狂っている)」を演じるため、「占い」「霊媒」「村人」の3パターンに擬態できるよう動こうと心に決めていた。「騎士」に関しては、護り先を後で捏造する以外は村人の思考と近いので、敢えてリソースを割かないことにした。


初日参加者
【マドック、ノエル、デイジー、ダンカン、古川、メアリ、児玉、中田、村中、安西、森本、大野、イシイ】

夜時間。まず、表情考察をしないこの段階で、仮の白先を決めておく。
占い師として騙る場合、本物の占い師はこの時間に白先を知るのだから、偽物も身も心も占い師になりきって架空のGMの教えに従うのだ。
結果、初日白は「マドック」というお告げが降りてきた。めでたしめでたし。

これでは「思考開示」のブログにならないので、真面目にやろう。なぜ、「マドック」なのか。
これに関しては幻滅させてしまうかもしれないが、完全に「メタ・人メタ」である。何せ、この時点でゲームは始まっていない。後で白先は変えるとしても、この時点で考えていた思考を開示する。
まず、マドックが人狼だった場合。これは何の説明もいらない。万々歳である。この時点では僕目線、自分以外の4人に1人が人狼なのだから、そのラッキーにかけるのである。僕はこの試合で、観客をアッと言わせるゲームがしたかった。その時の希望のご主人位置として、マドックであれ、という、半ば願望のような考えもあった。もちろん、これには数学的根拠などない。むしろ考えるべきは、マドックが人間だった場合だ。
1戦目、マドックは人狼として生存勝利をあげている。人狼ゲームの暗黙のセオリー、いやセオリーにも満たない「あるある」として「前回長生きした人は、短命になりがち」というものがあると僕は感じている。出演者のバランスなども考慮して、同じくらい噛みたい人がいたら、前回の長生きが噛まれたりするように、自分が狼なら考える。
マドックは前試合で長生きしているため、その時点では「村人なら噛まれやすい位置」にいた。人狼に当たっていない狂人の白は、村に残ると厄介だ。なぜなら、狂人占いを真だと人狼が推す時、その白先の人間を人狼扱いできなくなる。つまり「人狼は狼っぽい人に白を当てる。最悪人間に当てたとしても、噛まれそうな人に当てる」のが良いと考えていた。

もちろんこれは仮の白先ではあるが、こういう思考があったということは開示する価値があるかもしれないと思い、記しておく。

試合開始。開口一番、ノエルが「残り1分になったら議論をやめる」ことを提案。ノエルを見つめながら「シーンとするの?」と聞くデイジーのかわいさがやばい。鬼の世界では絶対モテているはずだ。しかしそんなことに気を取られてはいけない。僕はご主人たる人狼を探さねばならないのだ。全員の顔をじーっと見渡す。わからない。顔だけではわからない。この人達は人狼がうますぎるのだ。

ノエルの主張は、「最後の1分で、そこまでに起こったことを全員で確認する」というものだった。やったことのない仕組みだったが、村に利益はありそうだし、その語り口や開口一番の発言であることを加味しても、「ノエルが人間ぽいな」という感想を持った。

間もなく、メアリさんが口を開き、「古川さんが人間だと思います」と宣言。本当は「やったぜ!最高!」と心底喜びたかったところだが、「この人は一体僕の人間要素をどこで拾ったんでしょうね?逆に怪しくないですか皆さん?」みたいな顔を作ってアピールしてみた。みんな見ててくれただろうか。
デイジーがメアリさんに「古川のどこが白いと思ったのか」を聞く。まっとうな指摘だ。メアリさんは僕がノエルの説明中に全員の顔を見回していたことを、人外の要素ともとれるが人間だと思ったと説明した。実際に僕は人外なのだが、単純に思考を偏らせず人外の可能性を追っているところが、メアリさんさすがと言わざるを得ない。ダイエットにも成功して楽しい人生を送っている。ホットパンツも履き放題である。僕はメアリさんの中の「人外要素」を減らすことができれば、ベース信じてもらえているこの関係性を崩さなくて済むと考えた。あとは、メアリさんが僕の白を知っている占い師かどうかだけが気になっていた。
僕は「視野の広いメアリさん」「ノエルに対して聞いているよアピールをしていない中田さん」を人間置きする発言を残した。この言葉に偽りはなく、本当に人間だと思って言った発言である。この時期の直感的な発言は、後の投票時などに覆っても、責任を追われづらいと思っているからだ。

森本さんが1、2、3という数字を人間に振っていく作戦を提案。児玉さんがそれをアレンジし、「1→2→3」とリレー形式で人間を指定していき、3が処刑対象となるという作戦となった。
リレーは以下のように行われた。

(スタート)ダンカン→
①森本→②児玉→③大野→
①メアリ→②古川→③ノエル→
①マドック→②中田→③村中→
①ダンカン→②デイジー→③イシイ→
①安西(最後の1人、誰にも選ばれていない)

僕がノエルを立たせたのは「人間だと思うから」に他ならない。人狼を立たせるのは最悪だし、人間ぽいと思われている人を疑うことで、人狼なら怖くてできない行動と認識してもらえたらラッキーだ。何より「作戦がうまくいかなかった時に、作戦の提案者を疑えるように事前に精査を入れておきたかった」という大義名分を考えついたのが大きい。これで理論が大崩れすることはない。ノエルは顔ファンも多いし、コアファンは熱狂的だからファン歴も長いし、多いし長いし永石匠なのである。このくらいの苦労はしてもらっていいはずだ。

結果、③として立たされた大野さん、ノエル、村中さん、イシイさんが処刑対象に。
さて、どんなCOが飛び出すか。瞬発力のある対抗COを自分がするイメージを持ちながら待つ。

しかし議論は意外な展開に進む。
マドックが「ノエルを座らせる」と提言。安西さんもそれに賛成した。安西さんもイケメンだから、ノエルに苦労をさせるという発想が無い。イケメンに生まれると、心も豊かになるのだ。
まさにノエルを怪しいと挙げた非リアの僕にとっては旗色の悪い提案であり、またノエルを人間と推理していた僕から見ると、同じ推理を展開する初日白候補のマドックは何とも人間ぽく見える。予定通り占いCOをしても、人狼を囲えそうにもない。

各人それぞれ意見を述べて議論が煮詰まる中、マドックの提案で投票対象を変えることを検討、さらにノエルが③を人間だと思うことから②が怪しいと展開し、児玉、古川、中田、デイジーが俎上にあがる。なぜか①の森本さんが一緒に立ちあがって弁明をしていたが、そういうところがかわいくもあるじゃないか。幻のもりもんである。それ幻のポケモン「ミュウ」のことね。

残り1分。約束通り、ノエルがまとめを始める。この姿勢を見て、ノエルを人狼と今日の時点で疑い誘導するのは無理だと判断。その他、人間ぽいと思ったのは、マドック、児玉さん、村中さん。それ以外に3狼と予想して動くことを決める。

結局1分間の振り返りはすべての議論をなぞることはできず、尻切れトンボの印象のまま投票時間がはじまった。

【初日・投票履歴】
メアリ→イシイ①
安西→大野①
ノエル→中田①
大野→森本①
ダンカン→児玉①
イシイ→村中①
中田→デイジー①
村中→イシイ②
児玉→中田②
古川→児玉②
森本→中田③
マドック→森本②
デイジー→森本③

7人目まで1票ずつバラける展開。逆にこれは人狼に票が集まっていないことの裏返しでもあるので、狂人としては人間を殺すチャンスである。ダンカンさんが僕が昼議論で白いと挙げた「ノエル、マドック」を村置きして児玉さんに投票した。僕はダンカンさんは村である可能性が高いと感じながらも、児玉さんの人間っぽさを優先し、児玉さんを殺す方針を立てる。
児玉さんが中田さんに2票目を重ねたのを見て、僕は児玉さんに同じく2票目を重ねた。「ノエル、マドック、ダンカンさんを人間だと思う」と発言。「児玉さんは人狼で誰かを守るために票を遅く持っていた可能性がある。また児玉さんが人狼で、児玉さんが疑っていると言っていた、中田さん、デイジー、イシイさんの中に実際に狼仲間がいる可能性もあると思っている」と偽の考察を付け加えた。児玉さんは静かな声で「ず~まだんけ」と言っていたようにも聞こえた。

改めて僕の投票の思考を開示しよう。
この時、視聴者、観客の皆様には、「古川が児玉を怪しんだ」という部分が伝わっているかと思う。実際に、そのような演出のもと、僕は投票をしている。では、他に何を考えていたか。それは冒頭の「狂人とは何をすべきか」を復習しながら説明したい。
そう、僕は決めていたのだ。「都合の良い女(狂っている)」になると。都合の良い狂人は何をするか。そう、フレキシブルだ。
この時の僕の投票は全体の10票目。自分が占い騙りをする場合、初日の白設定は人間だと推理しつつも、そこまでの庇い発言などからブレたくなかったのでマドックを仮定していた。残った票は3票、この時マドックに入っている票は0票だった。そしてマドック自身も票を持っている。つまりマドックは自殺をしない限り、吊られることはない。翌日占いCOをしてマドック白の初日結果を言った時、僕の投票は信用たる投票ということになる。
続いて霊媒騙りをした場合。僕は自分に入った票が0票であり、日中僕を疑う声はなかった。残りの3人が全員僕に投票してくる可能性は極めて低く、こちらも真霊媒としての信用たる投票行動になっている。児玉さんの色を見たいという意志で2票目を重ねているのも印象が良い。
こうして、「村人」「占い」「霊媒」のいずれのパターンでも筋が通るタイミングと理由、投票相手を揃えることができた。翌日の展開次第で、何がきても対応できる状態である。呼べばすぐ飛んでくる。都合の良い狂人だ。

中田さんと森本さんの決選投票となった。正直どっちも怪しい。
中田さんは役職無しと宣言。一方森本さんは占いCO、デイジー白と告げた。

この森本さんのCO、怪しいいいいいいい!!!!

名探偵ピカチュウ「怪しい」

単純な吊り逃れに見える。ご主人様なのではないか。そんな疑念が頭をよぎる。ただ、この後、自分が占いCOすることを基本線に考えていた僕は、森本さんから対抗が出てきた占い師のフリもしなればいけなくなった。さあ大変だ。都合の良い狂人も楽じゃないのだ。

森本さんは1、2、3作戦を「3番席のデイジーを守るためにおこなった」と言っている。結果的に守れたかはわからないが、実際デイジーは今日死なないし、作戦提案の意図もわかった。そして僕の心が最も動かされたのは「それなのにデイジーの白を忘れて児玉さんを作戦で下げてしまった」という発言。ええっ!人外ならいくらでももっと上手な嘘をつけるでしょう?そもそも児玉さん白で良いじゃないですか。これは怪しい本物もあるぞ……本物が怪しいのであれば好都合、翌日の戦いに備えて、ウォーミングアップ開始である。

決選投票、死ぬことは無いだろうと考えて、森本さんに投票。結果、僕、村中さん、イシイさんが投票したものの、処刑は中田さんになった。
もし、森本さんが偽だった場合(狂人は僕なので)正体は人狼ということになる。
その場合、シンプルに考えれば、対抗の占い師は村中さん、イシイさんの可能性はあるなと思った。いわゆる「表推理」というやつである。

脱線するのだが、「表推理」「裏推理」という言葉は2018年に僕が主催する人狼サークル「JRF」(通称、古川塾)で人狼を教える時に作った造語であった。しかし、最近東京を中心によく聞くようになり、「あれ、自分で作った言葉だけど、知らないだけで昔からあったのでは?」と思うようになっている。関西のGDに聞くと、関西ではまだ使われていない言葉らしいので、古川起源説を信じて頑張りたいと思うが、新情報があったらこっそり教えてくれよな。

ということで、「森本さんの真はある」という表推理によって、中田さんが処刑された。
中田さんの遺言は胸に強く響いたが、その他の人が人間ぽいことから、「ご主人様が吊られてしまった可能性はある」と思った。

初日最後の思考開示をする。
中田さんが人狼だった場合、マドックはほぼ人間になる。
なぜなら、中田さんが3票の時、後ろまで票を持ちながら、当時1票持ちだった森本さんに投票しているからだ。デイジーが呼応したから決戦に持ち込めたが、2票持ちの児玉さん、イシイさんにぶちこんで、デイジーに決めさせるか、決戦にさせるのが筋であろう。少なくとも、遅くまで票を持っていた意味が無くなってしまうのだ。
同じくデイジーも、最終票を持った結果、中田さんを守れていない。占いCOで救うなどの手を講じず、中田さんの怪しさも口にしながらの森本さん投票である。仲間の所業には、どうしても見えないのだ。
森本さんが人狼の場合、マドック、デイジーは2票目、3票目を投じていることから、こちらも人狼仲間ではない。
結果、「村に怪しまれた中田さん、森本さん」のどちらか一方が人狼の時、マドックとデイジーは人間ということになる。そしてその可能性は極めて高いと、僕は感じていた。優秀な村人たちが怪しんだ2人だ。どちらかに僕のご主人がいて、場合によってはもう死んでしまっているのかもしれない……と。

結局、情報が出ずに村人が混迷していたのと同様、狂人にとっても狼位置をつかみづらい初日だった。自分の白目を稼ぐことには成功したが、噛まれるのだけは最悪である。児玉さんという人間に投票している「間違っている村人」という一点だけで、どうにか初夜トンを回避したいところなのだが、さて、どうなるだろうか……。

そう、この時、僕は知らなかったのだ。
僕が人間だと思って強めの票を投じた児玉健、その人こそが、僕が守るべきご主人「人狼」であったことを……。

(つづく)