アルティメット人狼10・第3部・第2戦(10-6) 振り返り③【2日目前半】 | 古川洋平のブログ

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クイズ王/クイズ作家・古川洋平のブログ。
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【はじめまして、ご主人様】

夜時間。森本さんが生き残ったことで、僕は占い師としてCOする準備をはじめた。
初日、僕は「初日の白先がマドック」であると仮定して動いていたため、行動の辻褄を合わせるためにもその設定はそのままとし、「昨日投票した児玉さんを2日目占って人狼と見た」というシナリオを考えていた。
森本さんは初日の1CO占い師である。偽物の可能性もあるが、騎士は初日に森本さんを守っている可能性が十分にありえる。その場合、僕が人間の児玉さんに黒出しをして村人が吊った後に、人狼は森本さんを噛み抜くことができるはずだ。僕は捨石になるが、コーヤンさんが人間の場合、人間陣営は昼に「中田、児玉」という2人の人間を失いもうミスはできない。さらに貴重な「占い師」も失うことになる。人狼が3潜伏するかはその後の展開次第だが、霊媒師に人狼が出てきた場合でも、ローラーする余裕はない。いける。ついに都合の良い狂人に活躍の場が与えられたのだ。すまないな児玉健。君がここまで人狼界に貢献してきた功績は称えよう。しかし時は令和。人狼界は次なるスターを待っている。そんな存在が、君のすぐ近くに座っていたんだよ。


2日目の朝を迎えた。客席から悲鳴が上がる。
ダンカンさん襲撃。「魔王」の異名をとる実力者の初夜トンに、悲しいファンの声がこだました。まあこの後、児玉が吊られて再びこだますることになるんだがな!と僕は思いながら、誰が噛まれても人気者がいなくなる、アルティメット人狼ならではの苦しい定めも感じていた。

……ん、待てよ。ダンカンさん襲撃?
これって、微妙じゃない?


2日目参加者
【マドック、ノエル、デイジー、古川、メアリ、児玉、村中、安西、森本、大野、イシイ】


夜時間に立てた作戦通りに占いCO……が基本路線だと思っていた2日目の立ち回り。しかしダンカンさん襲撃がやけに気になった僕は、一度冷静になることにした。

まず事実を整理する。僕の目線からは、「森本さんが真の占い師or人狼」であることだけがわかっている。

もう1つ確定要素。ダンカンさんは人間だった。かつ、ダンカンさんが生存していることで人狼に、何らかの不利が働くと考えられていたことになる。役職者の雰囲気を感じた襲撃の可能性もあるので、もう一段深い考察をしたい。

まずは単純に、彼が誰を人間、誰を人狼と推理していたかを思い出す。

ダンカンさんの投票先は児玉さんだった。逆に人間らしいとかばっていたのは、マドックとノエルだ。襲撃されていることから、基本的にこの推理は合っていた可能性の方が高い。
そしてダンカンさんは全体の5票目に投票している。これは役職者にしては早い投票といえる。もちろん、裏をかいていると言われればそれまでだが、もし占い師で、投票後に自分や白先に投票が集まってしまった場合は死に至る。真の占い師としてはうかつな投票だといえる。可能性は薄い。もしダンカンさんに役職の可能性があったとしたら霊媒師くらいだろう。

さらに考察を伸ばす。狂人の僕でも、少し落ち着けば「ダンカンさんは占い師っぽくない」ことがわかった。占い師を噛みたいと考えている人狼が、それをわからないわけがない。
よって
「狼は、真占いを探す噛みをしていないのではないか」
という推論が導き出された。
その場合、森本さんは真の占い師ということになる。森本さんが狼ならば、占い師っぽい人を噛むべきなのだ。例えば決選投票で自分に票を入れてきた人(僕、村中さん、イシイさん)の中でも、投票が遅い人とか。ダンカンさん噛みは、そのビジョンに当てはまらないのである。


では、なぜ森本さんではなく、ダンカンさんを噛んだのだろうか。


役職というフォーカスを一度外して考えた場合、ダンカンさんが噛まれた理由で最もわかりやすいのは「児玉さんに投票したから」であろう。
シンプルに児玉さんが人狼で、推理力の高いダンカンさんがそれに気づき投票。ぽっちゃり狂人がそうとは知らずに重ねて投票。ご主人を殺しかけていた、という可能性。


(ありえる……)

ある。ありえる。児玉人狼、ありえるのだ。

そうなると話は変わる。僕が占い騙りをしたとしても、「児玉さんに黒」は危険な手になってしまった。占い師COするとしたら「昨日投票した児玉さんを疑って占ったら、結果人間でした」とするのが妥当だろう。
こうして僕は推理を変え、一旦「児玉さん人狼、マドック、ノエル人間」と置いて進めることにした。

しかしそう考えると昨夜の自分の危なさに気が付く。児玉さんに投票し、マドック、ノエルを人間と推理したのは、僕もダンカンさんも一緒なのだ。つまり、ひとつ間違えば噛まれていたのは僕だったかもしれなかった。
もし、僕の方が残す価値があると判断されたのであれば、初日の「1→2→3作戦」で、人間らしいノエルを投票対象にしたことが、狂人ぽく映ったのかもしれない。


議論が開始される。すでに頭の中はごちゃごちゃと情報に溢れているが、本番はここからだ。さっそく、森本さんが何者なのかに話題が集まる。
森本さんの結果はイシイさん白。イシイさんは、森本さんが初日の決戦投票の弁明で占い師COした後に、それをわかった上で森本さんに投票した人だった。森本さんが占いたくなる気持ちもわかる。

ほどなく、イシイさんと同様に森本さんに決戦で票を入れた、僕と村中さんにもフォーカスがあたり始める。マドックを中心に、この3人の中に森本さんの対抗がいるのではないかと嫌疑がかけられる展開になった。村中さんは「占い師ではありません」と答えた。将棋棋士にとって「ありません」は、投了を意味する言葉だ。村中さんのこの試合にかける意気込みが感じられる。

さて、難しい。ここで「占い師ではありません」と僕が言った場合。
森本さんが真で一確すれば、ダンカンさん真を押さない限り、デイジー、イシイさんという2人の人間が確定。残ったグレーを詰められて、3狼が簡単に見つかってしまう。それだけは避けたい。

しかし、ここで「占い師です」と僕がCOした場合、森本さんが狼であれば、3CO目の占い師が出てきてしまう。これは避けたい。どちらかと言うと、こっちの方が避けたかった。

それには理由がある。まったくもって個人的な意見なのだが、アルティメット人狼と「本物役職者の3CO目」との相性は、抜群に良いと思っている。客席には、アルティメットな試合を楽しみに足を運んで下さったたくさんのファンの方がいる。そこにやって来る、キラキラした目で勝ったとばかりに飛び出してきた3CO目の占い師はあまりにも「物語の主人公」のようなオーラをまとい、見るものをひつきけてしまう。ちょっとした会議室の一角で友達とやっている人狼会なら「3CO目でも狼はあるよね~」みたいな雰囲気が醸し出される事も多いが、ここはアルティメット人狼の舞台。いつも以上にみんなの輝きが増す場所だ。雰囲気が後押ししてしまうと、いくらロジックで対抗しても、「偽者の必死感」ばかりが漏れ伝わってしまう。先ほど言ったとおり、これは本当に僕の主観でしかないが、「怪しい雰囲気で吊り逃れで出てきた森本さん」「マドックに問いただされ渋々COさせられた僕」「キラキラした目の3番目の占い師」が並んだら、どう考えても分が悪い。もちろん、キラキラした目の人狼が真占いの森本さんを殺してくれる可能性もあるが、「最悪のパターン」を考えると、このタイミングでのCOにはかなり迷いがあった。対面人狼は人間がやるゲーム。「印象・雰囲気」は、時にどんなロジックをも超えかねないのだ。

村中さんが答え終わって、舞台上の全員が僕のほうを向いている。どうする、ここでもったいぶったらどっちを決断しても怪しまれるぞ。瞬時に決めるしかない。

「ちがいます」
僕の出した答えは、こうだった。

今思えば、ここが今回のゲームの最初の分岐点だったとも言える。
何故、僕が「占いCOしない」ことを、この短時間で選択したか。それは「森本さんが偽者っぽかったから」に他ならない。思考を開示する。

例えばここで森本さんの対抗が出ずに僕目線の真占いがほぼ森本さんで確定した場合、この日のうちに僕が「やっぱり占いCOします」と出てくれば、「何でさっき出なかったんだよ」とは言われつつも、森本さんの初日の怪しさも加味されて、僕だけが真を切られることはないだろうと思った。真をとれなくても「古川の本物もあるぞ」と思わせることができれば、狼にとっては真占い師の一確よりはだいぶマシな展開になるのだ。
さらに村では「ダンカンさんが真占い師だったのではないか」という説も出ていた。森本さんが真だとしても、人狼と一緒に、森本さんの真を落とすことができるかもしれない。
そういった判断から、僕は森本さんの対抗に「このタイミングでは出ない」ことを選択した。


試合に目を戻そう。ノエルが進行をとる。推理が進んでいく過程で、デイジーが口を挟み、霊媒師を募る展開になった。おいおい、霊媒師の話をするのかよ。これはマルチタスクじゃないか。なぜなら

①このまま占い師が一確するなら、僕が占い師で出なければならない
②霊媒師を募られて一確した場合、そちらへのCOも視野に入れねば
③ただその場合、真潜伏、ダンカンさんで落ちてる、狼三潜伏などを追わなければならない

これは厳しい!そんなには見切れん!
フレキシブルな対応を公約に掲げ、ここまで国民に支持されてきた我々「都合いい狂人党」ではあったが、空前絶後のマニフェスト未達成の危機が訪れようとしている。


「あれ、今回のブログ、時間の進みに比べて、文章の量が多いな」と思ったあなた。その感覚は正しい。なぜなら、僕はこのゲームを通して、この「占い・霊媒のCO周り」が、最も頭を使った瞬間だったからだ。まさに前半の山場。『将太の寿司』で言うと、エビ名人の下山鉄雄との戦いくらいの重要な場面なのである。

色々な可能性が頭をよぎる。デイジーは強めに霊媒師を募る。もはや、あぶり出すとまで言っている。さすがに真がいたら出るパターン。

……しかし、誰も出てこない。もしやダンカンさんが霊媒師か?そんな予感が村全体を包んでいた。
僕は頭の中の推理は、一向に捗らない。あまりにもCO数が少なすぎるのだ。
可能性が多すぎて、ベストな動きがわからない。
COの遅さについてはもう諦めていて、遅いにしても、どこで何に出るのか、それを考えていた。

そんな時。
「霊媒師いないんですね。いないなら言います、私が本当の予言者なんです!」
突然訪れた新展開。

デイジー占いCO!

これはどっちだ、人狼か?本物か?




いやいや

ちがうやん

森本さんの初日白

デイジーやん

ということは

出会えましたね

はじめまして、ご主人様

僕だけが知った事実

人狼、1人目は……森本茂樹。

(つづく)