仏様は弟子たちに凡てを語つてきたのではなかつた、
数多く隠してきた事が在るのだといふ。
其の数は目前無数の落葉ほど在るといふ。
其の例え、逸話を受け取るなかれ、
其の言葉を取るなかれ、
其の物語をたどるなかれ、
紐解くなかれ、
もし、本当に聴きたいのならひたすらしづかに近づかねばなるまい、
もし、知りたいなら、
気づかれぬやうにしづかに近づくだけ、
其の時、あなたの耳は澄む。
伝へるといふ事、
受け取るといふ事、
其れが正確に伝はつたのなら、
あまりに軽薄。
相手を混乱させる事と比べたら、
違和感を生みだす事と比べたら、
正確に伝へる事など何の価値もない。
周囲を混乱させなさい、
周囲に違和感を生み出しなさい。
正確に伝へる事に何ひとつ喜びなどない、
完璧さも、
むしろ苦しみをもたらすだけ。
混乱や違和感が、
数多くの誤解だけが、
幾らかのしづけさと、
気づきをもたらす。
ただ、其れはごく僅かの精神だけに、である。
三千年前も、
今この時代も、
人々は眠りの中。
あーなん。