(②~)
グァンスくんがごほうびにと連れて行ってくれた先は湘南平。
きれいな夜景に感激している私をグァンスくんは後ろから片方の手でふわっと包み込む…
もう片方の手にはバラの花束。
目の前に差し出されて、私は今日が大切な日でもあることを思い出す。
100日記念…
花束と一緒に、南京錠と鍵をモチーフにしたネックレスをプレゼントしてくれた。
南京錠はオレが
鍵は葉子がずっと着けていような。
オレの首の鍵は葉子にしか外せないからな。
そう言って。
グァンスくんの隣で彼のことだけを考えていられるこの時間が何よりも幸せ…
触れ合う体から伝わってくるグァンスくんの温もりとその思いは融合して
私の体は熱を帯びていった。
…それから私は雑誌の仕事がますます忙しくなってグァンスとなかなか会えません。
グァンスはグァンスでキビシくて有名な演出家との舞台を控え、ハードな毎日を送ります。
お互いを思いやってか
お互いへの甘えからか
少しずつ気持ちがすれ違っていく…
約束の時間に行けそうにないというグァンスからの電話に、
またにしようかと私は答えてしまう。
精神的にまいっていた(萌)グァンスは会いたかったのに。
…グァンスの私への気持ちは変わりません。
『おまえのこと考えるとがんばれるよ』
『あっこの前切れた電球は自分で取り換えるとあぶないからな。オレが行って取り換えるから』
…ってメールも途切れることはない。
なのに私は
終わったら連絡するって言ったまま、眠っちゃって連絡しなかったり…
次の日はそのまま携帯を忘れて仕事に行ったり。
連絡してないままなのは気になるけど、
グァンスくんはやさしいからわかってくれるよね
…
…
結局その日は親友の夏生の介抱をしてて朝帰り
夕方の仕事までちょっと眠りたい…そのことで頭がいっぱいの時
マンションの前に険しい顔をして立っているグァンスの姿を見つける。
この時の私たちは
会えたことが純粋にうれしいだけのふたりじゃない。
どうしてここにいるの?と思う私。
何やってるんだ…こんなに心配してるのにと思うグァンス。
グァンスは落ち着いて諭すように二日間心配だったと言う。
私は感情的になって二日くらいでそんな風に言わないでと取り乱す。
悪かったなと言って
グァンスは帰って行きました…
帰り際に手渡された
紙袋の中には
新しい電球と
かわいいクマのストラップが入ってた…