「あのさ2月14日に東京シティビューのね……いいところに行かない?」
えっ?なんだそんなこと?
少し拍子抜けしながらいいよと即答。
ジヒョク君はそれに驚きながらもすごく喜んで、高々とガッツポーズをした。
それからすっかり饒舌になったジヒョク君は東京シティビューのそれがどんなに素晴らしいかを力説した。
「ちょっと待って、ジヒョク君」
「えっ?やっぱりダメとか…なしだからね」
「……私とでいいの?」
「葉子ちゃんとがいいんだよ」
ストレートな言葉はストンと心に届く。
もう信じてついて行くしかないな…
コクリと頷くとジヒョク君は私の頬にわずかに触れた。
それからはずっと幸せ…
幸せな気持ちのままバレンタイン当日を迎えた。
…
六本木ヒルズの森タワーを見上げて呼吸を整える。
エントランスは待ち合わせの人ですでに混み合っていた。
笑顔と笑顔の波間の遠く
やっとジヒョク君を見つける。
目と目が合った瞬間からこちらに向かって猛ダッシュ…
ああ、あんなにぶんぶん手を振ってる^ ^
駆け寄ってすぐに私の横に立った。人混みから庇うような角度…
今日、ひとつ目のジヒョク君の愛…
期待に胸が高鳴る。
ジヒョク君との「今」はキラキラで
ジヒョク君との未来もキラキラな予感…
今夜いくつの愛を受け取るのだろう。
今夜いくつの愛を与えることができるのだろう。
ジヒョク君レシピのフォンダンショコラが上手く焼けなかったことだけがちょっぴり気がかり…
喜んでくれるかな?
⑤に続く☆