開放感たっぷりのスカイデッキからは
夜景と夜空の境が光の分量で識別できた。
手すりにもたれるとまだまだ冷たい冬の乾いた風が頬をかすめる。
「ちょっと待っててね」
エレベーターから階段から…ずっとピッタリの隣のジヒョク君は私の小さな身震いにもすぐに反応してそばを離れた。
…
あの時、エントランスで…庇う角度のジヒョク君は一番に紙袋の中のチョコの包みに気づいて喜んだ。
ちょっと待って…っていう間もなく包みを開けてしまって
失敗したみたいなの…っていう間もなくいただきま~すって…
ジヒョク君はホールごとフォンダンショコラにかぶりついた。
「うん‼︎愛がいっぱい入ってる‼︎」
そう言いながら、パクパク食べて…後はウチで温めて食べるからねって言って袋の中にしまった。
おいしくなかったはずなのに。
そんなそぶりも見せずにあっという間に半分も食べてくれた。
あたたかい人…
離れて間もないのにさっきまでくっついていた左腕が淋しく感じる。
ジヒョク…
小さな声で呼びすてにしてみたりして…
まだかなあ…どこに行ったんだろう?
…ひらけていた視界が突然後ろから柔らかく閉ざされて
驚いて振り返ると今思い出してたジヒョク君の笑顔がすごく近くにあった。
ジヒョク君にも後から聞いて
スローモーションで再生してみると…
スカイデッキで貸し出ししているラブブランケットを両手を掲げるようにして魔法のマントみたいに羽織って高々と上げて
後ろからすっぽり私を包んだ…
ということだったみたい。
ラブブランケットにくるまった途端に急に縮まった体の距離に戸惑いながらも
心ももっと持って行かれそうなきゅんきゅんポイント満載ながらも
ジヒョク君の一挙手一投足にくぎ付けでどうにかなりそう。
至近距離からジヒョク君が私を見つめる度に寄り添って身を預けたくなってしまって必死に堪える。
…ラブブランケットの密着は、フォンダンショコラの失敗の恥ずかしさえ薄めてくれて私はジヒョク君に失敗の話をした。
「フォンダンショコラ…おいしくなかったでしょ?」
「おいしかったよ。僕のためにがんばって作ってくれたのがよくわかったからね」
それが一番なんだよ僕の中では…って
背中に触れた。
ポンポンとやさしく。
最後はさするようにして名残惜しげに離れて行った。
「TVではあんなに上手く行ってたのに失敗しちゃうなんてね…」
そう言うとジヒョクくんは何かに気づいたようにああ…って呟いた。
じっと私を見つめる。
そんなに愛おしそうな顔…
し・な・い・で…
「TV最後まで見た?」
ジヒョク君の出番以外は見る必要がないから見てない…
もうすでに生活全般がジヒョク君中心に回り始めていた。
⑥終に続く
昨日の記事で、⑤終としてましたがm(_ _)m
⑥終…ラストシーン
☆ゲージヒョクストーリーの公園のシーンをアレンジして書きます\(^o^)/
今日の寝る前の一曲は
♪「Everything」
大好き‼︎