バレンタインから1ヶ月
番組を最後まで見ないで分量を間違えたまま失敗したフォンダンショコラも無事成功して…
もう何回目だろう?食べさせられるの…
もうレシピ見ないでも作れる‼︎って君は自慢気。
今日も、ほら…おいしすぎて
1ホールあっという間に平らげてしまった。
やばいよ、このままじゃ本当にハッピー豚になる…
だからふたりして公園に来た。
…冬枯れの芝生は芽吹く準備を始めているのか一歩踏み出すとサクっと軽快な音を立てた。
「あ~もう走れないよ」
そう言って座り込んだ君をおいて走る…
振り返るとますます小さくなった君は
こんなに遠いのに微笑んでるのが僕にはわかった。
更に走る。
もう一度振り向いて君を確認…
いつでも見てる。
変わらず微笑んでる…
遠くても近くても
離れていてもくっついてても
こんなに小さくても
心の中にいても
いつだってどこだって
僕は君のことばかり考えてる。
今日は大切なミッションがひとつ…
そう、初めてのKiss…
バレンタインの日は
スカイデッキでも
その後に行った雰囲気満点のレストランでもできなかった。
あれから1カ月
もういいよね。1日じゃまだまだダメって言われそうで
1週間じゃまだダメって言われそうで
やっと1カ月…
もう我慢できない。
まずは全速力で走って君の隣に座る。
そして両手をいっぱいに広げてすっぽり君を捕獲する。
そしてKissをする…
勢いが大事なんだなきっと。
よし‼︎
シュミレーションはバッチリ
僕は君の元へと走り出す…
…
全速力で戻って来たジヒョク君はしばらく私の隣でハアハア言って…
なんだか眠くなっちゃったよ~って、そのまま私の膝まくらで眠ってしまった。
いつのまにか集まって来たサッカー少年たちが口々にジヒョク君を褒める。
「お兄ちゃんかっこいいね」
「サッカーもうまいしね」
「僕たちと遊んでくれたし…やさしいよね」
私は得意になって答えた。
「お姉ちゃんの彼氏なんだよ」
いいでしょって言った後、自分で何自慢してるんだろう?っておかしくなる。
「ラブラブだね」
「起きたらありがとうって伝えてね」
そう言って手を振りながら
少年たちはグランドへ戻って行った。
私の膝の大好きな人の髪をそっと撫でる…
「ありがとう」
…サッカー少年たちの分
「ありがとう」
…これは私の分
言葉にすると想いは堰を切ったように溢れてしまって止められなくなって
思わずジヒョク君の頬にKissをした。
えっ…‼︎
突然ジヒョク君がパッチリ目を開ける。
ジヒョク君は膝の上のまま私の唇に指をあてた。
「ねぇ…ここにKissしていい?」
「私から頬にKiss」の恥ずかしさと
「ここにKiss」へのドキドキとのすべてにどうにかなりそうながらもコクリと頷く。
起き上がったジヒョク君に後ろ頭をやさしく捕獲されて、反対側の手で背中も捕獲されて、
唇と唇が勢いよく重なった。
やがて甘くやがて深く
柔らかな陽射しの中
私たちはしばらくひとつの影になった。
END