猛烈な暑さ、薄暗くてボロイバスに揺られている。パラグアイの歌謡曲だろうか。ガンガンに車内に響く音楽はアジアやアフリカを思い出す。
お世辞にも見事とは言いがたい町並みを眺めながらバスは赤土に覆われたまっすぐ伸びた幹線道路を進んでいく。そのバスをキロ42地点で途中下車。
イグアス移住地
50年ほど前、戦争に敗れた日本から多くの日本人たちが移住してきた。何もなくとても住める状況ではなかったこの土地の原生林を切り裂くことから始まった。それから数十年かけてここまで町を作り上げたその労力は計り知れない。
パラグアイで育った日本米にパラグアイで育った大豆で出来た納豆。その大豆で作った手作りの味噌をきゅうりにつけて食べた日にゃ文句などあるわけがない。
海苔の巻いたおにぎりに週末限定のラーメンははらだけではなく心の奥まで満たされた。
町を歩けば日本語の挨拶。迷い込んだツーリストに町のことを嬉しそうに語ってくれるおっちゃんたち。
近所付き合い、助け合い、モノを造ること、育てること。
多くの日本人がすでに忘れてしまった日本人のすごさ、素晴らしさがここにはあった。