今から5年ほど前の現場でのことだった。
「バトルスターギャラクティカ」というSFドラマを収録していた。
「ギャラクティカ」の詳細はこちらを↓
http://www.superdramatv.com/line/galactica/
そのシーズンに途中から参加されたのが青二プロダクションの
大御所「矢田耕司
」さんだった。
お名前は存じ上げていたがお会いするのは初めて。
優しくも説得力のあるお声の声優界の偉大なる大先輩だ。
収録も中ごろの途中休憩のときだった。
突然僕の座っている席の前に来られて、
「下山くんは新聞を毎日読んだ方がいい」
と仰られました。
「君は毎日新聞を読みなさい。いいもん持っているんだから活字にもっと慣れていた方がいい。将来ナレーションをやるときに必ず力になるから」
「僕が今まで育ててきた若い奴らにも僕は新聞を読ませてきた。
そんな教え子の中には今ナレーションで稼いでいる連中がいっぱいいるよ。半年続けただけでも違いは一目瞭然だから。君は将来のために新聞を読みなさい」
背筋が伸びた。
そして僕の心に何の抵抗もなくストンと落ちた。
ホンの1,2分の出来事。
でもそれが僕の日常を変えた。
表現の世界は努力や練習の成果が目に見えにくい。
でも努力したこと培ってきたことは嘘をつかない。
いざ本番という時にその差は如実に表れる。
鍛えることを怠れば、あっという間にヘタになっていく。
お金を稼げなくなっていく。
だけど何も特別なことじゃなく日々の練習も日常の一つとして自分に落とし込めばいい。
新聞を読み続けたことで活字にも慣れるが、何より世界で日々何が起こっているのかがわかる。
読解力・理解力が養える。
全てにおいてそうだが、もの事を分かって演じている(読んでいる)のとそうじゃないのとでは何億光年ものひらきがある。
それが説得力の一つになっていく。
大切なことは常に自分を現状に満足させず高みへ向かわせという意識。
常なる向上心。
言葉を変えれば貪欲であること。
僕は常に欲心を持って生きていく。