2011
35歳
その5 決断の年
2011年
3.11 東日本大震災
この日僕は用事を終えて午後過ぎに帰宅していた。
妻も帰宅して
昼飯食べ終えて3人のんびりしているころだったと思う。
突然の地震。
うちの方は比較的地盤がしっかりしているのと
鉄筋の低層マンションだったから特に被害はなかったけれど、
子供を抱えて物が落ちてこないところでジッとしていた。
直ぐにテレビをつけると東北の方で激しい揺れ。
後はテレビを観ながら時間が経つにつれて津波で被害が大きく
なっていくのを唯々観ていることしか出来なかった。
あれから5年。
東北に遊びに行くことが多くなった。
食いもんは美味いし、酒は甘露、人は温かい。
我が家なりの復興支援をこれからも続けていこうと思っている。
この年は、
自分の人生にとってとても大きな決断をした一年だった。
養成所を合わせるとおよそ18年間お世話になった
事務所から離れる決意をしたからだ。
高校2年の終わりに日曜日だけの養成コースに入ってから18年。
多くの諸先輩方に育てていただき、多くのマネージャー・スタッフの
方々にチャンスを頂くことができた。
21歳で声優デビューできたのもそれがいきなりレギュラーになったのも全て事務所のおかげだった。
そんな事務所を辞める決意に至った理由はそう多くない。
今の自分の実力ではこのままでは食いっぱぐれてしまうから。
そして新たな世界も見てみたいから。
それでも僕は当初は事務所を辞めるつもりはなかった。
暇な時間、自分で営業して仕事とってくるから。
その仕事は必ず事務所を通してもらうから。
そのことを説明し続けた。
でも残念ながらそれは叶えられなかった。
結果、お互い納得ずくで円満に事務所を退所するということに決
まった。
旧事務所のマネージャー陣、役者陣とは今でも仲良くさせてもらっている。
関連の制作会社の仕事もいくつも頂いている。
本当にありがたいことです。
やはり自分のケツは自分でもつしかない。
自分の人生の舵取りは自分にしかできない。
進路は自分で決めていくものだ。
強くそう思うことができるようになっていた。
今でもその想いは変わらない。
12月31日この年最後の日。
先に妻が所属事務所から
離れてフリーランスになった。
示し合わせていたわけではない。
一緒に暮らして一緒に子供を育てている中で、
自然と同じ結論に至り、
同じ目標を掲げ始めたから。
すなわち、このままなのは嫌だ。
新しいことをしよう。
家族一緒なら何とかなる！
ということだった。
続く