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こんにちは。おかずマンです。
今日もツマラナイ料理とクダラナイ出来事をだらだらと書いていきますので
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●本日のお料理 黒鯛の塩〆
黒鯛って知ってるかい
釣りをやる人間にとって馴染が深く垂涎のお魚で
黒鯛という魚がいる
その名の通り鯛によく似た魚で
体表が黒くまさに黒い鯛と言った感じの魚だ
チヌと呼ぶほうが釣り人はしっくりくるかもしれない
釣り味もよく繊細でゲーム性が高いし
けっこうでかい型も上がったりするので
ベテランの釣り師からも人気の魚と言えると思う
だがこのお魚が食卓に回ることはほとんどなくて
おそらく料理屋で供されることもあまりないだろう
こう言ってしまうと
あら、そんなに希少なお魚なのね
私も食べてみたいわ
と好奇心旺盛なご婦人は思うかもしれないが
全く希少価値がある魚ではない
むしろそこらへんにいる
ただちょっと警戒心が高くて釣りづらいから
釣り人はそれをなんとか釣ろうと面白がって
糸を垂らしている
そこらへんにいるのなら
もっとスーパーや料理屋で見かけてもいいようなものだが
まずこの魚が回遊性の低い魚なので
網にかかる数が少ないのが一因としてある
そしてたまにかかっても
積極的に流通されることは少ない
なぜなら
市場価値はほとんどないから
あまり回遊しない上になんでも食べてしまう雑食性
好き嫌いしないイイ子
その生態ゆえに
水揚げされる場所や個体によって
けっこう臭みがあったりするのです
どれぐらい雑食かと言うと
通常魚は海に生息する生き物やそれに近いものを
餌にしたり疑似餌にしたりして釣るものだが
こいつは海に縁のないコーンやスイカでも釣れる
なんなら
うどんでも釣れる
釣る分にはとてもいいのだが
食うとなると別の話しで
そこらの漁港で釣り上げたものや
河川の近くで釣れる個体はちょっと食えない
ただ潮の通りがいい海域や
水質の良いところでとれた個体は
かなりうまい
だから数は少ないとは言え多少流通している
それならば
その良好な漁場でとれる黒鯛に希少価値がついたり
餌を管理され養殖されても良いようなものだが
あいにくそうはならない
なぜならこのお魚は
料理人に好まれない
まずもって黒い体表が日本人の感性として
ハレの日の一皿に使いづらいという事もあるが
一番は死んでからの時間の経過とともに
身肉が水っぽく締まりが悪くなるスピードが早い
そうすると料理人のもとまで
いい状態のものを安定的に供給するのは難しいし
たまに仕入れることができても
すぐに使い切らなければいけないというジレンマを抱える
こういった理由からこの魚の価値は低く
雑魚扱いというわけだ
先日いきつけの黄色いスーパーによると
40㎝ぐらいのそこそこ良型が
たくさんの真鯛の横に一尾だけ並べられていた
めずらしいので興味をもったが
値札が付いていない
白い服のおじさんに確認すると
売れると思っていなかったので
値をつけるのを失念していたようだ
あ、そう
これいくら？
と聞くと
４００円でいいよ
・・・・・
黒鯛、せつねぇっ
隣の同じサイズの養殖鯛は1500円・・・・
私は人間で
この黒いギラギラの鯛によく似た魚の
親類でも知古でもないが
この不当な扱いはなんだ
人間様の勝手で住み慣れた水の中からおもいがけず拉致され
養殖場でぬくぬくと箱入りで慈しみ育てられた
巷のスーパーアイドルの真鯛の横に並べられた挙句
育ちが悪いと偏見を受ける黒鯛の無念はいかほどだろう・・・・
よく見れば黒いと言っても真っ黒ではなく
うっすら銀を帯びた体表なので
深場の沖合いでとれたものだろう
浅場の黒鯛は真っ黒
それに活き締めしたあともあるので
臭みはそれほどないに違いない
おじさん、これ値札はってくれよ
と頼むと
苦笑したおじさんは
さらに２０円値引いたシールを貼ってくれた
３８０円・・・・
以前の魚のさばき方とお造りのコツの記事でもお伝えしたが
いつも通り魚体の水気をふき取って
腹にペーパーをつめこんで
さらに魚体をペーパーでぐるぐる巻きにして数時間休ませる
こうすることで余分な水気が取れさばきやすくなり
身割れを防いだり断面がきれいにさばける
そして３枚におろして丁寧にサクにするが
今回は半身を当日に刺身にして
もう半身は塩〆にして熟成させる
塩で〆ることで余分な水分とともに
臭みを抜きさらに熟成させてうまみが増す
半身分の皮つきのサクに塩をふる
裏表でだいたい３つまみぐらい
そしてペーパーで２重にくるみ
２時間程冷蔵庫で休ませて
一度そこでペーパーを取り替えて一晩おき
翌朝またペーパーを代えて夜まで休ませる
全部で丸一日かけて塩で〆て刺身に引いたら出来上がりだ
大根がなかったから洋風に
皮を引くと真鯛と遜色ない美しい身色だろう
はっきりいって１０人いたら１０人が
こいつは鯛だと言うに違いない
それにもちろん天然だから
養殖の鯛なんかよりも美しい身色だ
見た目はいいがお味はどうだ
塩で〆たことでほどよく水気がぬけて
旨みを感じやすい食感だ
熟成されたことで増したうまみと甘味を
ほんのりきいた塩が際立たせる
予想通り臭みやクセはまったくなく
極上の白身と言っていいと思う
そこらの鯛よりかなりうまい
これでだいたい半身のさらに３分の２ぐらいだが
一皿の原価が１５０円ぐらいで
これだけ食えるお造りが出来るお魚は
ちょっとほかにはあまりないんじゃないか
黒鯛同様に
クセがあって敬遠されるお魚でも
塩〆にすればうまい魚はけっこうあると思う
それにブリなんかの脂っぽい魚でもけっこううまいぞ
その場合の熟成期間はちょっと長めにとったほうがいい
果たして噛ませ犬のように鯛の横に並べられ虐げられた
黒鯛の無念を少しは晴らせただろう
そんな想いに耽りながら
今夜もエへらエへらと酒を飲むのです
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