「家で、待機。そして、自習」
 でも、もし、来てもらうような場合となったら。講義室には何もなかった。生徒の名簿も。
「そうだ、おまえ達。住所と電話番号、教えてくれ」
 僕は手帳とペンを回し、書いてもらった。
 講義室では親御さんの数が増えていた。そこで会議が始まっていた。
 僕ら先生は生徒を外まで見送り、一人残らず外に出した。
 講義室に戻ると、最初に来た母親が僕らに言った。
「あなた達だけでは、どうしようもないでしょう。後は私たちが対処しますから」
 それだけ言って、親御さん達は講義室を出て行った。
「あの、私のお給料は……」
 彼女の言葉に、誰からも返答はなかった。
「俺たちは、どうしようか」
 再びからっぽになったこの部屋に先生、といっても大学生四人が残った。
「どうしようも、ないよ。所詮バイトだからね」
「塾長はぼこぼこにしたいけど、まずお金稼がないと返済に間に合わなくなる」