韓国のサービス精神 | ゆうきの韓国スケッチブログ

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ソウルに住んで16年目の日韓夫婦。韓国の日常をつれづれなるままに文字や写真やイラストでスケッチしていきます。

「ねえ、なんでこんなに無愛想なの?」

え?

「いや、店員だよ。さっきからニコリともしないじゃん。てかむしろ怒ってね?」

あ?ああ。そのことか。そういえばそうだね。慣れっこになってて気づかなかった。まあ、みんなこんなもんだよ。別に怒ってるわけでもないと思うよ。

「だってここマックだぜ?スマイルの店だぜ?マニュアルとかないのかな?研修とか受けてないのかな?」

ん~、こっちのマックで働いたことないからよくわかんないけど、接客マニュアルはあると思うよ。あと研修も一応受けてるんじゃないかな。

「だったらもうちょっとキチンとしてほしいよな」

まあね(笑)あ、ポテト食う?

「ん、わり。あれ?でもあっちの店員さんはすげー笑顔だな」

あ、ほんとだ。となりのレジの仏頂面と比べるとすごい格差だね。

「そういや、昨日連れてってくれた焼き肉屋の店員さんも、日本じゃありえないぐらい親切だったよな。日本に留学してたことがあるとかって、サムギョプサル大盛りにしてくれたじゃん」

そうそう、二人であれだけ食べるのは正直きつかったよな。

「昨日は『韓国の店員って超親切!』って思ったけど、今日のマックで一気にさめた感じだな。あ、そういや俺の泊まってるゲストハウスのとなりにコンビニがあるんだけどさ、そこの店員がもー、ありえねーの。」

電話しながらレジ打ったりとか?

「え?何でわかったの?てか、あれ韓国ではフツー?デフォ?」

デフォ...ってほどでもないけど。まあ、「あるある」の範囲かな。すごく丁寧な店員さんもいるけど。

「ふーん。結局人によるんだな。でもさ、こういう接客業ってあんまり人によって左右だれちゃいけない部分じゃね?そのためにマニュアルがあるんだしさ。俺もはっきり言って普段はそこまで性格いいとは言えないけど...」

わかる

「間髪入れずに同意すんなよ。いやでも、バイト先の居酒屋では超がんばって接客してるよ。満面の笑顔。」

お前の笑顔を想像すると気持ちわるいけど、日本ってだいたいそんな感じだよね。こっちはいい接客してる人は、結局もともとそういう性格なんだよね。で、だるそうな接客してるのは、プライベートでもだるそうにしてる。

「もとの性格が接客にそのまま投影されるってことか。」

そうそう。だからどんな店員さんがいるかってのが、すごく大事だったりする。通ってた店のバイトがやめちゃって、新しい人のサービスがイマイチで結局行かなくなっちゃうってこと、しょっちゅうだから。

「同じ店でもどんな店員にあたるかでサービスが異なってくるわけか。もはやギャンブルだな」

日本に一時帰国すると、すげーなって思うのが、おなじ系列の店ならどこで入っても、全く同じようなサービス受けられること。日本にいたら当たり前すぎて気づかないだろうけど、こっちから行くとその安定感ってのはすごいと思うよ。どんだけ教育が行き届いてるんだろうって。

「だって研修きびしかったもん。うちの店でも。いつでもどんなお客様に対しても最高のサービスを提供しなきゃいけないって」

今話してて思ったんだけど、サービスの概念が日韓で微妙に違う気がするね。お前も言ったように、日本では「誰に対しても同じように最高の接客をする」ってのがサービスなら、こっちのサービスは「特別扱い」なんだよ。

「特別扱い?」

つまり、「ほんとはこんなことダメなんだけど、あんたのこと好きだから特別にこんなサービスしますよ」って感じかな。

「なるほど、で、それを決めるのは個人の裁量であり、もともとの性格であると」

そうそう。日本ではマニュアルを超えた特別扱いってちょっと難しいでしょ。でも、こっちだと、個人の判断でマニュアルをまげちゃうことが結構あるし、お客としては特別扱いされてすごくいい気分になる。まあ、その分無愛想な店員に当たる確立も高いわけだけど。

「ふーん。それはある意味エキサイティングだよな。でも俺もこっそり店長に内緒でサービスしたりするよ。可愛い子だったりすると」

お前ならこっちで暮らしても案外すんなり馴染めるかもな。そろそろ出る?

「だな。」