ターミナルケアの人がいる。

頑固で、いつも不機嫌そうなおじいちゃん。

ある日その人が笑ってくれた。

あぁ、心が通じあったなって思った。


その日から名前を呼ばれるようになった。
ナースコールを必死に握りしめて
僕の名前を


容態は悪くなる。
名前を呼ぶ回数が増えていく。

今は目を開けることも多くはない。

でも会いにいくと嬉しそうに微笑んでくれる



お前が傍にいてくれたら安心だ。
お前になら任せられる


そう言われたのが嬉しくて
でも最期までいられないのが悔しくて


なぁ、〇〇はいるか?って


今もあの人は僕を呼んでくれているのかな。