大野さんは、そっと唇を重ねたあと、両手 を 俺 の 頰 に添えた。
「ぁ…」
かすかに唇 を ひ らくと、大野さんは そこから 忍 び こん できた。思わず 吐 息 を 漏 ら す と、彼は 頰に 添えていた手 を 俺の 髪 へ と動かした。その 手 が 触 れ た 箇所から、彼の 体 温 が 伝わって、たまらなくドキドキした。
「んっ…ふ…ぁ」
ふ れ あ っ て る ところの2人の 熱 が、もっと近づきたいって気持ちに拍車をかける。
「…ニ…ノ…」
「ぁ…おぉ、の、さん…」
気持ちを伝えたくて、吐息の合間で必死に名前を呼んだ。
「好き…ニノ…」
「あ…おぉのさ…ん…」
もっと近づきたくて、触 れ たくて、強く も とめ たら、同じ強さで大野さんが応える。どっちが立てているのかもわからないくぐもった水音が聞こえて、我に帰ろうとする自分をまた 熱 の 中へ戻した。
「俺の…誕生日も…これ欲しい…」
やっと、唇 を 離した大野さんが名残惜しそうにもう一度ちゅって軽いキスをする。
「なあ、ニノ、俺の誕生日もこれにして?」
ふふっと笑って大野さんが言う。
あー、顔が…熱い…
俺がこくんと頷くと、へへっと照れくさそうに笑った。
「えと…まだ今日俺の誕生日じゃないんですけどね」
恥ずかしくて、それを隠すためにわざと不満そうに言ってやると、大野さんはまた「んふふ」って笑った。
「ふふ…予行演習できた。誕生日の日はもっといっぱいしよ?」
そう言って俺をうかがうように首をかしげるから、とっさに何も言えなくて、ただ頷く。
ガチャ、と楽屋のドアが開いて相葉くんが入ってきた。慌てて、大野さんに近づいてしまっていた身体を椅子の上に収め直す。
「おはよ」
「おはよ~」
荷物をおろした相葉くんが俺の方を向いた。
「何か話してたの?」
「ニノの誕生日、何欲しいか聞いてたの」
俺が答える前に大野さんがにこにこ笑って言った。
「そっか、そうだよね。もうすぐだね。ニノ、何欲しい?」
「んー、やっぱ金色に光っててすんごく重いやつですかね」
俺がおどけていうと、相葉くんは呆れた顔になった。
「まぁたそんなこと言ってんの?リーダーは何あげんの?」
「んー内緒」
「え、なんでよ、ずりぃな、1人だけ決まってて」
大野さんは俺と目を合わせて、いたずらっぽい表情になった。
「だって、真似されたら困るもん」
な?って俺を見て微笑む。
「え、でもカブりたくないじゃん」
相葉さんが、なおも食い下がる。
「そだな、それはイヤだな…」
大野さんが真面目な顔で考え込むから、俺はぼそっと呟いた。
「ある意味大野さんしか出来ないから、大丈夫…」
「だって。だから内緒ね」
大野さんは相葉さんににこっと笑った。
「あぁ、絵とかってことぉ?まあ、それならカブんないね」
相葉さんは笑って言った。
勘違いしてるけど、いっか…
正解は絶対言えないし…
俺が大野さんの顔を見たら、ふふっと笑ってくれるから、また顔の温度があがる。
俺は頬を冷やそうと、飲んでいたペットボトルを頬に押し付けた。