Side O
俺を見るニノの目が見開かれる。
さっき体を拭いてくれた時、ニノの丸っこい手が俺の体に屈託なく触れて…
その手の感触に、いちいち胸がぎゅっとつかまれるような感覚に陥った。
今日、このまま帰すなんてできないと思った。
今日、だけでいいんだ…
「…そばにって…」
「ずっと…そばにいてほしい…」
掴んだ手を離すと、ニノが行ってしまいそうな気がしてぎゅっと力を入れる。
「ずっとって…そりゃ、嵐さんだから、ずっと一緒にいますよ」
ニノは柔らかく笑いながら、冗談めかした口調で呟いた。
俺は首を振った。ニノは不思議そうに俺をじっと見つめる。
何て言やぁ、この気持ちをニノにそのまま伝えられんだろ…
わかんねぇけど…
ちゃんと、自分の言葉で言わなきゃ…
「今日、ずっと…そばに…ここにいて?帰んないで…」
「大野さ…」
「この先ずっと…なんて言わねぇから…今日、ここに…いてほしいの…」
俺の言葉にニノの表情に驚きの色が広がる。
俺は熱のせいでくらくらする頭を必死に抑えて、言葉をつないだ。
「前…ライブ前に…ニノがキスしてくれたとき…俺、体反応しちゃって…」
俺は言葉を切った。
「今は…なんでか…わかってんの…」
ニノは息を詰めて俺の言葉を聞いていた。
「…ニノが…好き…何もしねぇから…今日だけでいい…そばにいて…」
俺がその言葉を口に出した瞬間、ニノの瞳から涙が一粒転がり落ちた。
どうしよ…やっぱ、困らせちゃった…
そう思った瞬間、俺の眼前にニノの顔が近づいて、ニノの唇が俺の唇に重なった。