苦手な方はご注意くださいませ
Side O
男とキスする趣味はない。
飲んでる間中、ニノの言葉がぐるぐる頭の中を回った。
やっぱり、
この想いは
消したほうがいいんだろうか…
手の中のグラスの紹興酒のロック氷が溶けて崩れる。
遠回しに、おいら気持ち悪いって言われてるみたいで…
それに、横山や村上には否定しないとめんどくさそうだったから
思わず「あり得ねぇ」なんて言ってしまった。
ぼーっと考えている俺に、侑李は笑顔でいろいろ話しかけてきた。
「今度一度連れてってください」
釣り…
ニノは…
ニノだったら…
侑李と話をしているのに、ニノが気になって仕方ない。
ニノ、船乗れねぇんだよな…
「いいけど…お前船乗れんの?結構揺れるけど」
言ってから、すぐに気づいた。
こいつ、そういうの得意だったな…
ダメだ…全部、ニノが基準になってる。
全部、ニノに置き換えちゃう…
程なく、ニノがタバコを買う、とフラフラと席を立って店を出て行った。マルが追いかけていく。
ニノ、顔真っ赤だった…
侑李は楽しそうに話し続けている。
帰ってこねぇな…
どこまで行ったんだろ…
侑李の話に相槌を打っていたけれど、心は上の空だった。
どうしよう、すげぇ心配になってきた…
「あの…俺もタバコ買ってくる」
断わって店を出ると、侑李が「俺も一緒に行きます!」と追いかけてきた。