苦手な方はご注意くださいませ
Side O
打ち合わせが終わると、俺は弾かれたように立ち上がって、マネージャーにその料亭のあるホテルを告げた。テレビ局を後にして、マネージャーの運転でホテルに向かう。
ニノのスマホに何回も電話してみたが、「電源が入っていないため…」とアナウンスが流れるだけで全く繋がらなかった。
もう、小畑が指定したというその料亭についていてもおかしくない時間だ。
ニノは小畑に会っているだろうか。
最近、ニノ、すぐ酔っ払うから…
ふにゃふにゃになったニノの腰を、ぐっと抱き寄せる小畑の、高価な腕時計をはめた手首が脳裏に蘇る。
思い出してもむかっ腹が立った。
と、同時に激しい不安に襲われる。
ニノが
最近、ニノ、すぐ酔っ払うから…
ふにゃふにゃになったニノの腰を、ぐっと抱き寄せる小畑の、高価な腕時計をはめた手首が脳裏に蘇る。
と、同時に激しい不安に襲われる。
ニノが
到底、耐えられそうになかった。俺は膝の上に置いた両の拳をぎゅっと握りしめた。
なんで、
おいらじゃなくても
ニノを守れるって思ったんだろ…
おいらとのキス…
気持ち悪いって
思われててもいいや…
間に合えば、
ニノを守れれば、
もう、何でもいい。
ホテルのゲートと思しきところに着けてくれたマネージャーに礼を言って、俺は車を降りた。
庭の奥、ホテル棟と少し離れたところに料亭らしき日本家屋の灯りが見える。
あれか…
広大な庭はライトアップされて雰囲気がある。背の高い木々の間に小道が見え、俺はその小道を走り出した。すれちがう手をつないだカップルが振り向いたようだったが、ただひたすら奥に向かって、俺は走った。