BL妄想です
苦手な方はお気をつけくださいませ
Side N
大野さんの家にあがるのは久々だった。ここへ来るときは必ず、一度は『そういうこと』をする。だから、俺は、この家に来たことはないことになっている。大野さんは話し出すと隠すのが下手くそで、そのことを俺は、昔ベ ッドの上で指摘してやったことがある。
『ニノさん来て何したの?って聞かれて、なんて答えんの』
『メシ食って、風呂入って』
『風呂の時点でなんかあやしいんだよな。風呂まで入ってくんですか?って聞かれたら?』
『だってその後…やったりするし…』
『ふふ…無理ですね。放送事故です』
『や、いや!おいらだってそれくらい隠せるって』
絶対無理でしょ。
俺は、風呂上がりでまだ髪の濡れた目の前の大野さんを見ながら、思い出して笑った。
「何笑ってんだよ、もう…お前のせいで全部忘れたんだぞ」
大野さんの座るソファの横に腰掛けると、大野さんはスマホを取り出した。
「なんかさ、止まんなくなって他の動画も見ちった…ふふっ」
大野さんも思い出し笑いを漏らしながら、スマホの画面を見せてくる。履歴に俺が送ったのと似たような動画がずらりと並んでいて俺は思わず噴き出した。
「全部見たの?」
「見た……したら、考えてたやつ全部とんだ」
大野さんは、拗ねたように口を尖らせて俺の顔をじっと見た。
少し甘えたような、窺うような上目遣い。欲 望 の色が混ざり始めた瞳に、喉が鳴りそうになった。
ずるいんだよな、いつも。
自分が『そう』だって、わかってないとこも。
「だから、責任とりにきたんでしょ」
俺がそう言って、ふ、と笑ったら、いきなり大野さんに顔を引き寄せられて、「あ」と思ったときにはもう口付けられていた。
「ん……ん、」
すぐに絡め取られる 舌 先 の 感 触、大野さんの風 呂 上がりの香り、少し湿った指の温かさ、それらが全部、俺の腹の底に火を点そうとする。大野さんはちゅっ、と俺の 唇を 吸 い上げてから、離れた。
「どう責任とってくれんの」
じっと見つめてくる大野さんの瞳に、さっきサムネイルに魚やら海の青やらが並ぶスマホ画面を見ていたときの無邪気さは残っていない。熱のこもった、それでいて俺を試してくるような、そんな瞳。俺は頰が熱くなっていくのを感じた。
ずるいんだよな、いつも。
自分が『そう』だって、わかってないとこも。
「だから、責任とりにきたんでしょ」
俺がそう言って、ふ、と笑ったら、いきなり大野さんに顔を引き寄せられて、「あ」と思ったときにはもう口付けられていた。
「ん……ん、」
すぐに絡め取られる 舌 先 の 感 触、大野さんの風 呂 上がりの香り、少し湿った指の温かさ、それらが全部、俺の腹の底に火を点そうとする。大野さんはちゅっ、と俺の 唇を 吸 い上げてから、離れた。
「どう責任とってくれんの」
じっと見つめてくる大野さんの瞳に、さっきサムネイルに魚やら海の青やらが並ぶスマホ画面を見ていたときの無邪気さは残っていない。熱のこもった、それでいて俺を試してくるような、そんな瞳。俺は頰が熱くなっていくのを感じた。
なんだろ、キ スされただけなのに
この、形勢逆転感。
俺は、この人の瞳に弱い。
「あの…あっち…で」
窺うように大野さんを見つめながら、目で寝室を指すと、大野さんはそれまでの自分の真面目な顔つきに照れたみたいに、んふ、と笑みを漏らした。