質量分析の限界:不揮発性化合物をGC/MSで測る | 日本一タフな質量分析屋のブログ

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日本で唯一、質量分析に関するコンサルタント、髙橋 豊のブログです。エムエス・ソリューションズ株式会社と株式会社プレッパーズの代表取締役を務めます。質量分析に関する事、趣味の事など、日々考えていることや感じたことを綴っています。

ウルトラマラソンランナー、日本一タフな質量分析屋、高橋豊です。


どんなものにでも限界はある。


それを越えようとして、人は努力して自分自身を鍛えたり、新しい技術を開発したりする。


このシリーズでは、質量分析に関する限界と、それを越えるために開発されたり工夫によって生み出された技術について解説しています。


かなり専門的で難しい内容ですが、出来るだけ優しい言葉を使いますので、気軽に読んで貰えればと思います。


質量分析を英語で書くとMass Spectrometryとなり、頭文字をとってMSと略して書きます。

従来「マス」と呼んでいましたが、最近では「エムエス」と呼びましょう

ってことになっています。


MSは、


質量分析計と言う分析装置を使って得られるデータについて
「あーでもないこーでもない」と言ったり

質量分析計に関わる技術(ハードウェア)開発をしたり

分析技術(ソフトウェア)の開発をしたり


そんな分析法を扱う学門で、分析化学の一種です。


また、

質量分析計を英語で書くとMass Spectrometerとなり、頭文字をとると、先程と同じ「MS」になってしまうので、

MS装置と書くことが多いです。


しかし、会話のなかでは、

「マス」あるいは「エムエス」と言うので、

分析法を指すのか装置を指すのかは、

会話の流れで判断します。



さて、

MS装置は気相イオンの質量を分析する分析機器です。



従って、

何らかの方法(加熱や減圧なで)で気体になる性質をもつ物質や、常温常圧で気体である物質の分析から
(このような性質を揮発性と言う)

質量分析の歴史は始まりました。



世にある物質(化合物)の中には

どんなに頑張っても気体にならない化合物(不揮発性化合物)もあって

そんな不揮発性化合物の質量分析のために

様々なイオン化法が開発されており、今までに、いくつか解説しました。
FABイオン化
FDイオン化


一方、不揮発性化合物を変化させることで、揮発性化合物にすることもできます。

それを「誘導体化」と言います。



具体的には、

酸素(O)一個と水素(H)一個が結合したOHと言う部位(水酸基)をもつ化合物や、窒素(N)一個と水素(H)二個が結合したNH2
と言う部位(アミノ基)をもつ化合物は、

基本的に不揮発性です。



しかし、

水酸基やアミノ基のHをCH3に変えると、

揮発性化合物になることがあります。



化学反応によってそのような変化を起こさせる訳ですが、

このような化学反応のことを

誘導体化と言います。



化学反応と言うと難しく聞こえますが、

私達が生きているのは、化学反応のおかげなんですよ!


呼吸や食べ物の消化・吸収は、

全て生体内における化学反応の成せる技です。



で、誘導体化と言う方法によって、不揮発性化合物を揮発性化合物に変えることによって


GC/MSで分析できるようになります。



覚醒剤や危険ドラッグの分析

あるいは

新生児の先天性代謝異常の診断

それらの殆どは、

誘導体化➕GC/MSによって行われています。



質量分析って

私達の身の回りで役に立ってるでしょ?(^-^)



ではまた~ルンルン


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