民主党は再建手法ではなく、政策の議論を | 山本洋一ブログ とことん正論

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元日経新聞記者が政治、経済問題の裏側を解説!

 民主党の代表選が始まりました。岡田克也元外相、細野豪志元幹事長、長妻昭元厚生労働相の3人が立候補し、党の再編手法を巡って論戦を繰り広げています。マスコミは野党再編に着目していますが、それよりも民主党が何を目指す政党なのか、はっきりさせる選挙にしてほしいと思います。


 民主党は前回の2012年に続き、昨年の衆院選で敗北。さらに海江田万里代表が60余年ぶりに野党第一党の党首として落選を喫し、後任を選ぶ代表選となりました。最大のテーマは「どうやって民主党を再建するか」です。


 これまでの主張や言いぶりをみていると、最も野党再編に前向きなのは細野氏。昨年の衆院選の直前には海江田代表に維新の党などとの新党結成を働きかけた経緯がありますし、何よりも細野氏の推薦人には「野党再編派」の面々が名を連ねています。代表選では慎重派に配慮して野党再編を封印していますが、中長期的に再編を模索していることは間違いありません。


 岡田氏は政党同士の合併ではなく、候補者調整のような選挙協力で自民党に対抗しようと考えているようです。岡田氏の推薦人には野田佳彦前首相ら穏健派が名を連ねており、連合など支持母体を刺激しないよう配慮しながら、緩やかに野党の結集を目指す狙いとみられます。


 一方の長妻氏は野党再編に否定的。それもそのはず、長妻氏の推薦人には元社会系や労組系のリベラル系議員が並んでいますから、公務員改革に積極的な維新の党と組めるはずがありません。あくまでも単独での生き残りを目指すようです。


 ただ、7日の記者会見では、3氏ともに現状のままでの民主党と維新の党との合流は否定しました。当たり前です。維新の党の中にだって、現在の民主党とそのまま合併しようと考えている人間はいません。民主党内は玉石混淆だからです。


 民主党にはその設立経緯から、岡田氏のような元自民党から、輿石東氏らのような元社会党まで様々な考え方の議員がいます。だから安全保障政策に関する考え方はバラバラ。代表選の3候補でも集団的自衛権の行使を巡ってはまったく異なる答えを示しています。


 政権担当時に党内が紛糾し、意思統一を図れなかったのも、根本的に異なる考え方を持った議員の集団だから。単独で自民党に対抗する政党にするにせよ、維新の党などとの再編を目指すにせよ、まずはどんな社会を目指す政党なのか、はっきりさせなければなりません。


 その試金石が安保政策です。自民党政権が閣議決定した集団的自衛権の行使に対して、どんな方針で臨むのか。徹底的に議論し、新代表の下で結論を出し、場合によっては党を割るくらいの覚悟で政策の方向性を決めてほしいと思います。


 それができなければ今度こそ、国民に見放されてしまうでしょう。再建も再編もかなわず、55年体制のように巨大自民党と、絶対に政権をとれない弱小野党の体制に逆戻りです。それで不幸になるのは国民です。