前回の”意識の私の説明”はあまりにも荒っぽすぎたかもしれません。もっと丁寧な説明が求められているのではないでしょうか。そこで再度説明をします。


まず脳をシステムとして観察いたします。

脳システムはコンピュータとつくりの点で、全く異なっています。だからコンピュータのイメージは払拭されるべきです。コンピュータの情報(データ)定義は、基本的にはビットの有り無しで決められます。リンゴが赤い時のその「赤」は、あるアドレスにおいてのビットのある無しで決めます。このあたり特に情報の定義には特別な要求はありません。どうでもいいのです。データを使用したいときに簡単に読み出しが出来ればいいのです。だから「赤」のデータは「赤」のビットが割当てられるのです。


一方脳システムの場合はそういうわけにはいきません。意識問題を一時棚上げするにしても。リンゴの「赤」は赤だけで成立は出来ません。脳の進化の過程及び赤ちゃんからの成長の過程を想像するに、リンゴの「赤」とは「赤」だけで成り立っていません。「赤」が成り立つには、青、黄、白、橙、紫・・・・などなど、そしてりんごの形状、アップルジュース、青森、食べた時のすっぱさ・感触・・・・・など全てが絡み、その背景には脳システムの来歴が隠れています。


即ち、脳内情報は全てがからみあっているのです。感覚入力から、経験・記憶、言語、行動全てが絡み、整合が取れた情報システム内の情報表現であるのです。

そういうシステム場において脳の神経活動と外部環境例えばリンゴの「赤」の対応が現われます。「赤」を見たときはこの場所が活動のが観察されるように。


次に脳システムが意味を創生するかどうかを考えます。まず、私は物質から出来ている脳システムの生命活動において、脳システム内に情報世界が存在すると考えます。生きて子孫を残さなければなりませんから。

確かにこの事の真偽立証は困難ですが存在すると考えます。情報の基本は物理パターンです。つまり脳のニューロン活動は情報として意味持ち、これらの組合せで脳が動いているとするならば、そこに独立した世界があってもおかしくはありません。


はじめの情報は将棋倒し的な因果関係情報でまだそこに意味は見つけにくいでしょう。しかしそれらの組合せが複雑になれば、”相転移”を起こし新しい世界が開ける可能性が起こってきます。すると情報世界内に意味が現われると考えます。つまり脳システムの進化の過程、成長の過程、来歴、経験、記憶等の全体からして意味が出来上がってきます。その意味は脳システム内においてなんらの矛盾がありません。


このように外界の状況に応じた脳内活動が決まってくるのです。「赤」の例の情報表現は、(コンピュータとは基本的に異なっており、)完成された脳内情報世界(モザイクボール世界)において意味となるのです。情報の意味はお互いに持ちつ持たれつの関係にあるのです。(あたりまえですよね。)


そして、浮かんでくる情報の意味をどう捉えればいいのでしょうか。そこで。


意味が浮かぶとは

神経活動の裏に隠れた情報世界があり、その情報世界は外界全てを網羅(模倣・写像)しており、その情報世界の中だけで通用する意味が浮かんでくると考えます。何も神経活動から意味がすぐ生まれるとは考えません。情報世界が現われその中で通用する意味が現われると考えます。その世界の中だけ意味を持てる意味。


その意味が意識その物なのです。だから意識は現物理世界とは関係のない異次元世界での存在で、物理世界に影響を及ぼしませんが、影響を受け、随伴現象のように見えるのです。