意識は脳内の情報世界・モザイクボール情報世界の情報の意味がひとり立ちをしたものであると、言いました。以前のブログにあるとおりです。


そこで今回はその脳内情報が物理的に考えてどのようなものか想像いたします。前にも書きましたように、私は人は勿論動物の脳さえ実験で扱える状況にはないのですから、書籍からの知識と想像が全てで、これらを私のツールとします。



情報とはどのようなものなのかを、まず理解しないといけません。私が考える情報は大きくわけて、二つ有ります。


①人間が利用で来る情報

②生命体が利用できる情報


の二つです。


「こころの情報学」 西垣通 筑摩書房 1999年

によると、情報はパターンから成り立っているそうです。


①の情報。例えば馬券情報は、競馬新聞の文字パターンによりできあがっていますし、コンピュータでは、トランジスタの電位レベルの変化パターンが情報になっています。TVは目で見たパターン、耳で聞いた音パターンが情報です。そしてその情報は人間に意味をもたらします。人工システムの全てがこの範疇に入ります。人間が理解できる(する)のです。


②の情報は①とは異なり生命体内で独立しています。生命体システムがその母体となります。蜂は蜂の情報を体内に持っており、その情報を使い生きています。良く知られた話に、蜜蜂の尻フリダンスがありますね。密を見つけた蜂が他の蜂に密のありかを伝えるという話で、お尻の振り方とか、太陽の位置で伝えることが出来るそうです。あきらかに、蜂しか分からなかったでしょう。


②に情報をもう少し敷衍して人間の脳にまで拡張いたします。脳内での情報の話です。脳内では神経細胞(ニューロン)の細胞内電位レベルがパルス状に変化しています。この変化が隣り合った細胞に影響を与え意味のあるパターンを作り上げているみたいです。


このパターンは入力から出力まで共通のパターンになっています。眼からの信号も、脳内で処理されている信号も、目からの情報を使い行動する場合の信号もすべて同じ信号パターンなのです。


すると人間内の情報は細胞内の電位レベルの変化パターンが基本になっていると想像できますね。たぶん正しいのでしょう。世界の脳科学者が異議を申し立ててないから。


このパターンによる情報は誰が・何が意味を理解しているのでしょうか。人間意識なら「あ!、これは赤い苺だ。」と分かりますが、脳には自分でそのように意味が分かる機能があるのでしょうか。脳の何が「赤い」とか「苺」だと思っているのでしょうか。



この機能があると考えるのがモザイクボール情報世界の基本です。そして「その機能がどのようなメカニズムで完成されるのか?」というのが新しい問題となります。


さらにこの意味を何か(何らかの神経細胞構成)が理解するという構成でシステムを作り上げるのは、脳内にいわゆるホムンクルス(脳内小人)を住まわせることになり、循環後退が生じ問題の解決になりません。解決には情報の意味その物に主体が宿らないといけないと言う事です。そして細胞の個別活動だけではだめで、活動全体で世界を作り上げないと成り立たないというのがモザイクボール情報世界仮説なのです。




それでは、この脳内情報世界を覗き見れるでしょうか。


世界の科学者特に、フランシス・クリックとクリストフ・コッホは彼等の著書「DNAに魂はあるか」「意識の探求」の書かれてあるように、外部からの脳活動を探求しています。



現在我々は脳の実活動において、脳の細胞レベルでの活動解析が行なわれていません。脳内情報世界を覗き見る場合、必ず、細胞個別レベルでの活動の解析が必要になります。赤はどのような活動パターンにより認識されているのかなど、意識の有るなしに関わらず、まず解析され結論を得る必要があります。


そして各パターンからその活動パターン全体を見通し、個別の意味を理解することが出来ると考えられます。なぜなら人間システムが全体で矛盾が無いこと、かつシステムの活動は細胞内の電位変化パターンで統一されていることなどにより全体が読み取れるのです。



話は変わりますが、かつてフランスのシャンポリオンがエジプトの聖文字を解読いたしました。かの有名なロゼッタストーンを使って。聖文字は聖文字において矛盾の無い情報世界を作っています。だから読み取れたのです。でも幸いなことに、ロゼッタストーンには聖文字のほかギリシャ文字で書かれた同文が彫られていました。情報が少ないときには、何か取っ掛かりが必要になります。だから解読できたのです。



脳内情報世界を読み解くには、何か取っ掛かりがあるのでしょうか?あります。それは外部世界とのインターフェースに有ります。赤い苺、赤いトマト、赤いリンゴなど外部世界との対応が可能です。


また私は自分の意識にアッタック可能です。いま赤いリンゴが見えています、赤の信号ではありませんとか。脳内解析に必要な情報を出力できます。


このような手法で脳内細胞レベルでの実活動観察が可能であれば、脳内情報は読み取れるでしょう。




そこで、この手法の延長線上に、意識は現われてくるでしょうか。


まず、情報パターンが神経細胞の電位変化パターンだけであれば可能性は高くなります。情報源がそれらだけであればそれだけで世界が出来上がっていると言う事で、意識もその世界にあると考えられるからです。


でも情報は、神経細胞の活動パターンだけで成り立っているのでしょうか。



生命体は生きるために使える物理現象は全て使っていると考えられます。今人類は分子生物学といって分子レベルでの物理現象を生命活動の中に位置させ研究しています。一昔前ではなかなか考えられなかったでしょう。その延長線上で誰でもが考えれるのが、量子生物学です。量子効果を加味した生命現象の研究です。


生命活動は、ニューロンの活動パターンで説明は可能でしょう。しかし、自由意志とかの自由選択選択、創造性などの脳活動は、量子効果が必要になると思われます。


量子効果には常識では測れない現象が現実に見受けられます。


例えば1個の量子(光子)がダブルスリットを通過する場合、一個が二個の穴(スリット)を同時に通過するとかは一個の弾が同時の異なる穴を通って的にあたるというイメージでしょうか。だれでも穴を通っている弾はどんな状態になっているか不思議と思うでしょう。


量子力学の研究者も現象は把握できたとしても、その意味するところには目をふさいでいます。いや全く理解困難で手をつけると”やけど”するという危惧を持っているからです。以前に読んだ本に


    『「観測問題」とは現場研究から離れた年寄りのする話だという常識があったのである。』

    「量子力学入門」  並木美喜雄  岩波新書  1992年。

    と有りました。


しかし、人類は量子の解釈問題からはのがれられません。たぶん近い将来実りある知識が入手できると安心しています。先のど一個の光子が同時に二つの穴をどのような状態で通っているのかなど。


意識の情報パターンも少しは、量子効果を考慮しないといけないかも知れません。脳内も当然量子効果が利いています。量子効果は分子レベルにまで直接影響を与えます。するとニューロンの電位レベルにも影響を与えかねません。


このように考えていくと、ニューロンの数が脳内で数千億個あり、さらに訳の分からない量子現象まで考慮に入れないとなれば、気の遠くなるほどの時間が、解析にかかりそうですね。



しかしそうであっても、意識はあくまで脳内情報の意味が一人歩きしたものと考えるべきです。