以前のブログで進化の不思議さの話をしましたけれど憶えていますか、

http://ameblo.jp/zhiliangzhi/entry-11039873024.html


その時には、進化の過程で普通に泳いでいた魚が進化の圧力により急に平目になるなんてことは考えられないと言う事でしたし、

他には、きりんの首はどうして長くなったのか、などなど。

これは体のある一部の変化だけでなく、体全体の機能の同時変化が求められることから、進化の積み重ねで理解出来る現象ではないという事でしたね。

つまり、蝶々の羽のパターンの変化は進化論で説明できるが、どうして昆虫が羽をうごかして空を飛べるようになったのかは進化論では説明が出来ないという事です。


この不思議さに、進化生物学者は何も答えていないし、解決済みのような態度をとっているとの非難を投げかけていました。

私も当然、不思議なことだと思い、それなりにいろいろな本を今現在漁っているところです。


たとえば

「進化はどこまでわかったか」野田春彦著      学会出版センター 1999年


そこには、まず「遺伝情報に起こる変異を選ぶ事によって、方向性のある進化が起こる。変異がなければ進化はない。変異はすべての可能性について無作為におこる。その変異を特定の方向に集積するのは淘汰によってである。」。

と進化の基本を言っています。


そして、問題の点については「遺伝子に生ずる変異が環境によって淘汰される事は明らかであるけれども、変異と環境を具体的に関連させられるのは、いわゆる小進化までであると考えられてきた。小進化というのは生物の形や性質が僅かに修正される程度の進化を示す。新しい門を生じたり、魚類から爬虫類が生ずるように、基本的な構造や生態に変化の生ずるのは大進化と呼ばれている。

大進化が起こるためには、突然変異による僅かな変化が淘汰され積み重なって漸進的に進化が起こるというダーウィン進化以外の機構が必要ではないかという主張は度々されてきた。」と、問題意識をきっちりとお持ちです。

著者によると、大進化はよくわからないのが本当であって、手が出せなかったのです。


でも、最近の分子生物学・遺伝学の発達により、解明が始まったという事らしいです。それは、

ホメオチック遺伝子と同じように、広い範囲の生物の発生の過程で働く遺伝子が多数研究されている。これらの遺伝子の情報によってつくられるタンパク質の分子的な機能が具体的に明らかになれば、大進化と遺伝情報との関係について具体的な理解が可能になるのではないだろうか。

とおっしゃっています。


ホメオチック遺伝子とは、節足動物で発見され、動物や植物の形を決定するのに重要な働きのある遺伝子で、そのなかにホメオボックスという共通の構造が存在することがわかって、大進化も遺伝子の連続的な変化として説明できるのではないかと期待されるようになったのです。

例えば「ショウジョウバエのantennapedia遺伝子に変異がおこると、触覚のできるべきところに脚が生える。このように、変異が起こると本来あるべきでない形ができる事になる遺伝子をホメオチック遺伝子とよび、それが組になって昆虫の体節の形を順次決定している。

と言うものです。


以上のように、現代の科学者達は、何とか進化論の枠内で解決出来ないかと頑張っています、

というより、遺伝子レベル、分子レベルの機構解明が全ての問題を解決するのだという信念を感じました。

というのは、人類が手中に収めている知識はまだまだ不十分であるからです。或る程度の知識がなければ、何も判断できないというのが本当なのでしょう。


その他については次回に。