前回以降、進化論の本質は遺伝子を子孫に伝達する場合のミスに起因しているとの事でした。そしてその進化における大進化と小進化に関して、大進化の問題がとりざたされてきたとあります。

例えば、水中から陸に上がる場合の進化の問題、簡単にDNAのミスコピーで説明できる問題ではない、

ランダムで無造作なミスからシステマチックな生命体進化の説明が出来ないというものです。


前回では、我々人類が持っている知識が余りにも貧弱で、現在では進化をどう判断していいかわからない、

問題解決は将来に先送りするしかないとの結論でした。


だから、生物学者、特に分子生物学者がいろいろな実験を行いデータ収集に余念がありません。このような状況で我々素人が出来るのは、色々な本・論文を読み知識を収集し雰囲気を味わうというレベルまででしょうか。


それで一般的入門書から入り、遺伝子・進化・分子生物学・タンパク質の知識獲得を目指します。

まず、「進化論の不思議と謎」 小畠郁生監修     日本文芸社 1998年

の本から。


この本は進化と進化論のエッセンスをわかり易く伝える事を目的とした本ですから、入門書の一つとしては適当なものです。


そこで私が一番知りたい遺伝子のコピーミスもメカニズムについての部分では、

この様な不幸な事故(コピーミス)を防ぐため、遺伝情報を担うDNAには二重三重の安全装置がほどこされている。

高等生物では、DNAの情報には同じような機能を担当する遺伝子が複数あって、一つが万が一の事故で壊れても他の遺伝子がカバーするような仕組みもある。

なのですが、それでも何らかの変化が発生しています。


コピーミスは不思議な事でなくある時間が経過すれば、必ず起こりうる事実で、生物進化の時計として使っているようです。

この時計として使えるミスは核酸レベルの置き換えで、進化としては表に現れて来ない変化なのですが、


例えば、起こりやすい変化としてはネガとポジのDNA鎖が二本に分かれるとき、交差した部分でちぎれてお互いに相手側の切れ端が繋がってしまう場合もある。

これらは、配列のズレ、挿入、欠失、逆転、ダブリ等々が生じてくる事を言っています。ここまで来ると見た目が大きく変わる変化でしょうが、でもこの変化で大進化が起こるとは考えにくいのです。


そこで、私が興味を引かれたのはウイルス進化論の話で

ウイルスが生物から生物へ水平移動し、侵入した生物の遺伝子を書き換えて変化を起す。ウイルスに感染した結果、生物は進化を遂げた。ウイルスは遺伝子を運ぶ乗り物、道具であるという。

垂直方向から水平方向への方向転換は、これまでの進化論とは次元の異なる進化論だ。

爆発的な伝染力であっという間に拡がって、しらぬ間に遺伝子が書き換えられて、気が付いた時には進化している。

すごくファンタスティックな説です。具体的には

生存競争によってキリンの首は長くなったのか?人間がビタミンCをつくれないのは、余分な遺伝子を捨てたからか?こうしたナンセンスをウイルス進化論では、キリンもヒトもウイルスに感染したからである、と説明するのだ。

病気になりっぱなし、なんと楽しい説明なのでしょうか。本当かどうかはこれからの研究に待つべきですが、気持ちのいい仮説です。


私も遺伝子が成体時に変化すれば、さらにその原因がウイルス感染でなく、環境によるならば、さらに楽しい進化論となるでしょう。

すると、卵が先か鶏が先かの論争に決着が付くかも知れません。


このように遺伝子配列の変化の原因と

遺伝子・DNAの配列から、生物の形態がどのように決まるのか

これらがわかると進化論の解明もぐっぅと進みそうな気がしました。