さて、今日のブログは

「脳の世紀・美を感じる脳、信念を作る脳」を読みます。


著者は森崎信尋、近代文芸者新書、2004年出版。です。

著者の森崎先生は千葉大学医学部の講師をされていました。


それでは、

まず、著者は本能・感情と理性について概観します

ところで、我々の世界を支配している価値構造は二つに大別される。食べる事(個体保存の為に)・性行為を行なう事(種属維持の為に)・・・集約される下部構造と、真・善・美・聖に集約されるヒトに特有な上部構造である。

上部と下部に分けて考えて行くようです。


そして、下部構造の説明、

下部構造は進化の過程でヒトに獲得されてきたものであり、誰でも腹の底からその価値を信じている。その価値を腹の底から信じさせ、欲望を生み出す脳は「辺縁系」である。これは問題ない。脳科学の十分照明するところである。

とあります。


わたしは、脳科学者ではありませんので、「辺縁系」が欲望を生み出しているという証明が、脳科学で十分証明されていることを知りません。そして著者もこれ以上の説明をされていません。「辺縁系」が欲望を生み出すという説明が欲しいところです。


つぎには、上部構造を

問題は上部構造である。上部構造は進化と言うよりも人間の文化と共に獲得されてきた。一見すると、上部構造はヒトの新しい脳の部分である「大脳新皮質」がすべて担当しているように思える。


で最後に本書の目的を

本書は、上部構造が腹の底から信じられるためには、「辺縁系」が絶対必要である事を提示するであろう。」また、

私は、本書を通じて、さまざまな信念を論じるが、信念の座として、大脳新皮質ではなく、「辺縁系」をクローズアップするつもりである。」と。


「大脳新皮質」が理性を担当しているということは、ダマシオ博士が詳細な報告をした、前頭葉を事故で破壊された例で理解出来ます。前頭葉を破壊されると、理性が無くなり人格が変わるようです。


で、著者は、理性を中心とした上部構造機能が「大脳新皮質」だけの働きでなく、「辺縁系」との協調の重要さを主張されるようです。


本能と感情の重要性を訴えられるようで、

本能や感情は人類のお荷物である、本能や感情がなければ人類は冷静な合理的推論と判断により、今より格段に優れて、環境に対処できる。犯罪もへるであろう、無益な戦争も避けられるであろう。」との本能、理性感の認識から、

本能・感情には、個体保存と種属維持にとってのプラスとマイナス面が出てきた。そしてマイナス面だけが強調され過ぎた嫌いがある。

今やプラス面を語るときである!

と、びっくりマーク付きで強調されます。


このように、本能が人類のお荷物だと考えている人はいないんじゃないでしょうか。でも著者の言いたい事は伝わってきます、「辺縁系」が大事であると。


そして、私の知りたい事は、

確かに「辺縁系」が重要だとして、その事実から何がでてくるのか?

ということで、本書を完了すれば見えてくるのでしょうか?